今年度から施行された「労働施策総合推進法の改正」により、直近3事業年度の「中途採用比率の公表義務化」が開始され、企業では、これを受けてキャリア採用(中途採用)の方針に、何らかの変化が起きているのだろうか。
また、効果的なキャリア採用からオンボーディングに向けて、どのような施策を講じているのだろうか。
HR総研では、各企業におけるキャリア採用に関する取り組みや課題、成果等に関するアンケートを実施し、その結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●2021年度キャリア採用計画数、「前年度と同等」が6割程度以上
●「中途採用比率の公表義務化」の認知度5割、大企業で比率上昇予定は4割
●大企業で募集職種「IT関連」が最多、中堅・中小企業では「営業」が最多
●30代の中間層を求める企業が多数
●大企業では「成果」「経験職種」を重視、中堅・中小企業では「人柄」も
●最も成果が出ているサービスは「人材紹介」、今後は「リファラル」に注力か
●企業規模により人気が異なるwebサービス
●効果が感じられるオンボーディング施策は「上司との定期的な面談(対面)」

2021年度キャリア採用計画数、「前年度と同等」が6割程度以上

2021年度の「キャリア採用」採用計画数を企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「11〜30名」が最多で21%、次いで「6〜10名」と「51〜100名」がともに15%などで、「採用予定なし」は19%となっている。301〜1,000名の中堅企業では「11〜30名」が20%、「1〜5名」と「6〜10名」がともに18%などで、「採用予定なし」は最多で33%と3割を超えている。300名以下の中小企業では「1〜5名」が最多で45%、次いで「採用予定なし」が42%と4割を超えている。「採用予定なし」の割合は、前回調査時(2018年度)の17%から25ポイントも増加しており、依然としてコロナ禍以降の中途採用を抑制している中小企業が多いようだ。(図表1-1)。

【図表1-1】2021年度の「キャリア採用」採用計画数
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告
この状況について、前年度と比較した増減を見ると、すべての企業規模において「ほぼ同じ」が過半数となり、大企業では58%、中堅企業では62%、中小企業では71%となっている。大企業と中堅企業では「減っている」より「増えている」が多く、「増えている」はそれぞれ30%、29%と3割程度である一方、中小企業では「増えている」(12%)より「減っている」が多く17%となっており、企業規模によりキャリア採用計画数の動きに異なる傾向が見られる(図表1-2)。

【図表1-2】2021年度のキャリア採用の計画数の増減(前年度と比較)
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告
「キャリア採用」採用計画数の11月時点における達成率については、「すでに達成した」は17%と2割未満にとどまり、「50〜80%未満」が最多で35%、「20〜50%未満」15%、「20%未満」が14%など、キャリア採用に苦戦している企業が少なくないことがうかがえる(図表1-3)。

【図表1-3】2021年度「キャリア採用」採用計画数の、11月時点での達成率
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告

「中途採用比率の公表義務化」の認知度5割、大企業で比率上昇予定は4割

2021年4月に施行された「労働施策総合推進法の改正」により、常時雇用する労働者の人数が301人以上の大企業に対して、直近3事業年度の中途採用比率についての公表を義務付けられた。本改正の目的には、労働力人口の減少や働き方に対する価値観の多様化が進む日本において、社会全体で働き方の選択肢を広げ、働く意欲のある労働者が長く働ける環境を整備するとともに、従来型の雇用形態である「新卒一括採用」からの脱却もあるとされている。
この「中途採用比率の公表義務化」についての認知度を見てみると、「以前から知っていた」が27%、「以前から少しだけ知っていた」が24%などとなっており、これらを合計した認知度は51%と半数程度となっている。一方、「今回初めて聞いた」の割合が最も多く31%では十分に認知されているとは言えず、今後のさらなる浸透が望まれる状況となっている(図表2-1)。

【図表2-1】「中途採用比率の公表義務化」の認知度
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告
この法改正を前提に、今後の中途採用比率を上げる予定について聞いた結果を企業規模別に見てみると、大企業では「公表義務化を受けて、予定している」が8%、「公表義務化に関わらず、予定している」が最も多く36%で、これらを合計した「予定している」は44%となっている。また「検討中」が31%となっており、75%と全体の4分の3は予定もしくは検討をしている。中堅企業になると「公表義務はあるが、予定していない」が49%でほぼ半数を占め、中小企業にいたっては「規模的に公表義務がなく、予定していない」が70%を占めている。法改正の目的から見ても、やはり新卒一括採用により新卒入社者がメインとなる大企業で、目に見える変化が出てくることが予測される(図表2-2)。

【図表2-2】企業規模別 中途採用比率を上げる予定の状況
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告
また、「中途採用比率を上げる予定がある」とする企業では、その方法として「中途採用数を増加する」が圧倒的に多く73%を占め、「新卒採用数を減少する」ことで、中途採用比率を上げようと考える企業は20%にとどまっている。

【図表2-3】中途採用比率を上げる方法
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告

大企業で募集職種「IT関連」が最多、中堅・中小企業では「営業」が最多

2021年度キャリア採用をしている企業における募集職種については、大企業では「IT関連職(AI・データ分析除く)」が最多で63%、次いで「営業職」が54%などとなっており、中堅・中小企業では「営業職」が最多でそれぞれ58%、45%で、次いで「経理・財務」がそれぞれ34%、24%などとなっている。大企業と中堅・中小企業では募集職種の傾向が異なっており、特に「IT関連職(AI・データ分析除く)」や「AI・データ分析関連職」、「研究開発職」が大企業では中堅・中小企業より高い割合で募集されており、DX推進を始めとした大規模なイノベーションに注力していることがうかがえる(図表3-1)。
ただし、「特に採用難易度が高い」と感じている職種も「IT関連職(AI・データ分析除く)」が最多で26%、次いで「AI・データ分析関連職」が14%、「営業職」が13%などとなっており、需要の高い職種はそれだけ熾烈な争奪戦となっている(図表3-2)。

【図表3-1】2021年度の「キャリア採用」で募集している職種
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告
【図表3-2】募集職種のうち、「特に採用難易度が高い」と感じている職種
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告

30代の中間層を求める企業が多数

募集している階層を見ると、「一般社員(中堅層)」が最も多く71%、次いで「一般社員(若年層)」が53%、「係長・主任クラス」が50%などとなっている(図表4-1)。
また、年齢層で見ると「30〜34歳」が最多で83%、次いで「35〜39歳」が65%、「26〜29歳」が64%などとなっている(図表4-1)。
実務レベルを任せられ、ある程度の職務経験を積んだ即戦力となりうる人材が、多くの企業で求められていることがうかがえる。

【図表4-1】2021年度の「キャリア採用」で募集している階層
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告
【図表4-2】2021年度の「キャリア採用」で募集している年齢層
HR総研:「キャリア採用」に関する調査 結果報告

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】キャリア採用に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年11月12〜18日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・キャリア採用担当者・人事担当者
有効回答:215件

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