感覚をフルに使って「今」を見つめる マインドフルネス実践編

セミナーの締めくくりとして、再び久賀谷氏が登壇し、新入社員らとマインドフルネスを実践した。

<マインドフルネス呼吸法>
(1)基本姿勢
・椅子に座り、背筋を軽く伸ばす
・目は閉じる(開ける場合は約2メートル先をぼんやり眺める)

【アドバイス】
深呼吸ではなく、軽い呼吸でOK。身体の力を抜き、特に顔、顎、眉間の力を緩める。

(2)身体全体に意識を広げる
・接触の感覚
・身体が地球に引っ張られる重力の感覚

【アドバイス】
頭のてっぺんからつま先まで、普段との違い、緊張、痛み、疲れている部分などを探してみる。「左足の親指」のようにピンポイントに注意を向けるのであれば、靴に触れる感覚、靴下の素材感、温度などを感じてみる。普段見過ごしてきたものに注意するのが、今この瞬間にいるということ。

(3)呼吸に注意を向ける
・呼吸に関わる感覚を意識する
・深呼吸や呼吸コントロールは不要
・呼吸に「1」「2」「10」とラベリングするのも効果的

【アドバイス】
呼吸に注意を向けると、空気が鼻からスーッと入る感覚や、喉を通って身体の中に流れ込む感覚、空気を吸う量の変化などに気づくはず。穴の前でネズミを待ち構えるネコのように、熱心に興味を持つことがポイント。

(4)雑念が浮かんだ時の対処法
・雑念が浮かんだ事実に気づき、注意を呼吸に戻す
・雑念は生じて当然なので、自分を責めない

【アドバイス】
慣れないうちは、マインドフルネスで自律神経の副交感神経が優位になり、眠気を感じる人もいるが、それは自然な反応。まずは5分だけでもやってみて欲しい。

続いて、紅茶を用いたマインドフルネスも実践した。

(1)紅茶を飲む前に
・紅茶を眺め、色や湯気を感じる
・コップから伝わる温度を感じる
・紅茶の香りをかぐ
・紅茶が手元に届くまでのストーリーに想いを馳せる

(2)紅茶を飲む
・味覚を感じる(甘味、酸味、苦味など)
・舌の上で転がし、口内に触れる感触や唾液の分泌を感じる
・紅茶を飲み込み、食道を通り、胃に流れていくのを感じる

【アドバイス】
朝は忙しいが、ときに時間をとって、五感を使って紅茶を飲んで欲しい。そうすることでビジーな状態から小休止をとることができ、心にスペースができることで、最高のパフォーマンスにつながる。
「マインドフルネス」を新入社員向け研修で実践~リプトン ポジティブアクション
新入社員は、目を閉じて久賀谷氏が誘導する声に耳を傾け、静かに意識を集中させていた。マインドフルネスの体験を終えると、新入社員の女性は「感覚を集中させることがこれほど難しいとは知らなかった」と感想を述べ、シンプルながらも奥深いマインドフルネスに驚きを感じているようだった。

従業員の生産性を向上させる施策には、新たな人事制度の導入など様々な手法が考えられる。重い腰を上げて従来の方法を大胆に変革することも必要だが、マインドフルネスの利点は、企業が手軽に取り入れることができる点だ。

マインドフルネスを学ぶセミナーを開催する際、一般的な研修を行う会議室さえあれば、特別な設備は不要。また、マインドフルネスは時間と場所を問わず、費用もかからず、1人で実践できるため、従業員は日常生活で習慣化しやすい。導入した企業では、生産性向上のみならず、従業員の医療費が削減された事例もある。

身の回りに情報や選択肢があふれている現代社会において、マインドフルネスの活用は、いきいき働く従業員を増やす有効な手立てとなるだろう。
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