ユニリーバ・ジャパンの紅茶ブランド「リプトン」は、2018年4月16日、株式会社ガイアックス、株式会社モバイルファクトリー、株式会社オールアバウトの3社が合同で実施する新人研修の一環として、仕事の集中力を高める「マインドフルネス」のセミナーを開催。この合同新人研修は、次世代リーダーの育成を図る複数のベンチャー企業が、2012年から実施しているものだ。一方、リプトンは、紅茶を通じて前向きに頑張る人を応援する「リプトン ポジティブアクション」を2017年から展開。3社の合同新人研修の趣旨に賛同し、セミナーを開催する運びとなった。
「マインドフルネス」を新入社員向け研修で実践~リプトン ポジティブアクション

マインドフルネスとは?アメリカ神経精神医学会認定医 久賀谷亮氏が解説

「マインドフルネス」を新入社員向け研修で実践~リプトン ポジティブアクション
まず、『世界のエリートがやっている最高の休息法』などの著書を出版している、アメリカ神経精神医学会認定医の久賀谷亮氏が、欧米ではすでに多くの企業・個人が取り入れている、マインドフルネスの概要と効果について解説した。

久賀谷氏は日本人について、大多数の人が疲労を自覚している上、休まないのではなく休めない、という点を問題視した。また現代社会の特徴として、スマホなどから入ってくる情報量の多さやスピード感の速さなどに着目し、脳も身体も疲れる時代であり、人々の心は常にさまよっている、と指摘した。

「こんな時代を生きるためには、シンプルで正しい休息法が必要。それがマインドフルネスだ。一言で表すなら『今この瞬間にいる』ということ」(久賀谷氏)

「今この瞬間にいる」とはどういう状態なのか。久賀谷氏は、一匹のネコが部屋の壁の穴に向かって狙いを定め、ネズミが出てくる瞬間を待ち構えている写真を提示し、マインドフルネスとは、このネコのように「今起きている特定の対象に熱心に注意を向ける」ことだと説明した。

さらに、「今」に注意を向ける理由として、ストレスの原因の大半が「過去」と「未来」にあるからだと強調した。例えば、先週の仕事でミスをしてしまったので、翌日に予定している上司とのミーティングが不安だ、といったシチュエーションである。マインドフルネスを活用すれば、これらのストレスに上手く対処できるようになるという。

また、科学的な視点から、脳の中で7~8割のエネルギーを消費するというデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とマインドフルネスの関連についても言及。DMNは、人間の心がぼんやりしている状態の時に活発に働くため、脳はエネルギーを消耗してしまう。マインドフルネスを活用すると、このDMNの活動を沈静化できるため、いわば「脳の省エネ」が可能になるという。

「マインドフルネスのメリットは、上手に休息をとった結果として、集中力と生産性が上がること。逆に、疲れ、ストレス、雑念は軽減される。さらにマインドフルネスは24時間どこでも実施できることも、多くの人に受け入れられた理由だ」(久賀谷氏)

久賀谷氏によると、忙しい時ほど休息が必要だという。世界のトップ企業であるグーグルでは、社内に「一時停止マーク」を掲示して社員に休息を促している例や、薪をくべて火をおこす際は、あえてスペースをゆったりとったほうが燃えやすいという例を提示して、上手な休息と生産性向上の密接な関係を印象付けた。

ビジネスで最高のパフォーマンスを出すために マインドフルネスを活用

「マインドフルネス」を新入社員向け研修で実践~リプトン ポジティブアクション
続いて、働き方改革やダイバーシティの推進で様々な取り組みを展開しているユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社の島田由香 取締役 人事総務本部長が、マインドフルネスのビジネス活用についてアドバイスした。島田氏は約5年前からマインドフルネスを実践しており、マインドフルネスNLPトレーナーの資格も保有している。

島田氏は、ビジネスパーソンが最高のパフォーマンスを出すことができる条件は「好きなことをやってワクワクしていること」だと説明。

「パフォーマンスが高い状態は、頑張って実現するものではない。必要なのは、自分の強みを活かし、弱みを持つ部分は人に手伝ってもらうという姿勢だ。強みとは、人生で成し遂げるべきことを成功させるために一人ひとりが持って生まれたもので、すべての人間にある。一方、弱みも誰にでもあり、これは人に助けてもらうために存在する。だからオープンにさらけ出し、それが得意な人に手伝ってもらえばいい」(島田氏)

そして、マインドフルネスの考え方やスキルを身につけていれば、最高のパフォーマンスを出せる状態に近道でたどり着けると強調した。

また、島田氏は人間の状態を「human doing」と「human being」の2種類に分け、それぞれの生産性を比較した。

「human doing」とは、仕事や家庭など多様な方向に意識が散漫になっており、エネルギーを外向きに消費してしまっている状態である。こちらはいろいろなことに手をつけたものの、一つひとつを終えられないまま時間が経過するため、生産性は低い。一方、「human being」 とは、意識が自分に向いており、エネルギーが内側に向かって入ってくる状態である。こちらはエネルギーを効率良く使えるため、生産性が高まる。島田氏は、マインドフルネスとは、言わば「human doing」から「human being」に戻る最適な方法であると強調した。

加えて島田氏は、2年前に自社に導入し、生産性を3割アップさせ、社員の4人中3人が「自分の生産性が高まった」と回答するなどの成果をもたらした、新人事制度「WAA」(働く場所や時間を自由に選択できる人事制度)について紹介。生産性が高い状態とされる「集中できる環境」「時間と心の余裕がある状態」は、いずれも自分から作り出すことができると、新入社員にアドバイスした。

感覚をフルに使って「今」を見つめる マインドフルネス実践編

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