フォースバレー・コンシェルジュ株式会社と株式会社麺食、株式会社PitPaは2023年4月6日、NFTとVC(Verifiable Credentials)を活用した「キャリア証明書」の発行を開始したことを発表した。3社は今後もNFTを活用した証明書の発行を通じ、海外人材のキャリア支援や採用・育成モデル構築を目指すとともに、海外人材と日本企業の関係性を強固にするべく取り組みを進めていく考えだ。
NFTで外国籍人材の雇用証明を発行。フォースバレーや麺食らが海外人材採用・育成モデル構築に向け「キャリア証明書」発行を開始

海外人材の職歴とキャリアの可視化に向け、NFTとVCによる職歴・学歴証明書を発行

フォースバレーと麺食、PitPaの3社は、海外人材の採用・キャリア開発支援を目的に、「NFT」(Non Fungible Token:非代替性トークン)と、国際技術標準化団体が定めた規格である「VC」(Verifiable Credentials:内容の検証がオンラインで可能な自己主権型のデジタル証明書)を活用した「キャリア証明書」の発行を開始した。

FC事業を主な事業とする麺食は、日本国内外への事業展開の推進過程において、外国人材との協力が不可欠であると認識しているという。同社ではこれまでも、グローバルマーケットでの競争力を高めるため、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を行ってきた。しかしその中で、外国人材の職歴の確からしさと、同社で得たキャリアの可視化に課題を感じていたという。

他方のフォースバレーとPitPaは2022年より業務提携し、世界186ヵ国の地域のグローバル人材を対象にNFT証明書の発行を開始。同プロジェクトの第一弾として、同年12月にはネパール最高学府であるトリブバン大学と戦略的覚書を締結。ネパールと日本両国でNFT証明書の発行を開始したとのことだ。今回の麺食での職歴をNFT証明書で発行する事例については、本プロジェクトの第2弾となるという。

今回のプロジェクトは、3社がネパールの私立大学Mid-Valley International College(以下、ミッドバレー)と連携して取り組んでいる。具体的には、ミッドバレーが開校した日本就職コース「Connect Job Class」を2022年度に修了し、2023年4月に麺食に入社したネパール人卒業生に対し、各機関から「学位」と「職歴」に関する証明書をフォースバレーが発行した。なお、これらの証明書は、国際技術標準化団体のW3Cが提唱する「Verifiable Credentials(VC)」の規格に準拠した形で発行されている。このことで、第三者が発行者に問い合わせることなく情報の真正性を検証できるため、リファレンスチェックのコストを下げられるメリットがあるという。

3社は、本プロジェクトについて以下の3点がポイントであるとしている。

●海外大学がデジタル学位証明書を発行し、日本国内での雇用ともつながった世界発のクロスボーダー事例であること

●日本企業に人材を輩出した海外の教育機関に対し、「育成還元金」を提供予定であること

●NFT証明書の発行を通じ、個人と企業、ひいては国の持続可能な成長を実現する「人材還流エコシステム」を形成すること

NFTで外国籍人材の雇用証明を発行。フォースバレーや麺食らが海外人材採用・育成モデル構築に向け「キャリア証明書」発行を開始

VCによる情報の真正性が確保された証明書の発行で、海外人材のキャリア支援につなげる

また、フォースバレーは、「キャリア証明書」を発行する理由について、下記の3点をあげている。

●個人と企業が、国境を跨いでアイデンティティを管理・検証できる

●職歴を蓄積・可視化し、海外人材のキャリア支援につなげられる

●海外人材に対する企業ブランディング向上につながり、優秀な人材を惹きつけられる


この「学位証明書」と「キャリア証明書」を活用することで、これまでブラックボックス化されてきた、海外人材の来日前後の学びや仕事の実績を可視化でき、滞在中のみならず帰国後のキャリアアップにもつなげることができるようになるとのことだ。

3社は今後も、NFTを活用した証明書の発行を通じ、海外人材のキャリアを支援していく方針だ。また、本取り組みを通じ、海外人材と日本企業との関係性をより強固にし、世界に誇る海外人材の採用・育成モデルの構築を目指すとしている。


本取り組みは、海外を含む人材還流システム構築につながる好事例といえそうだ。海外人材を受け入れる企業にとっても、真正性の高い証明書があることで雇用においての安心材料となり得るだろう。今後もこうしたNFTを活用した職歴証明書の発行などが海外人材の雇用に活用されていくことを期待したい。

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