株式会社ネオマーケティングは2020年2月、全国の25~59歳のビジネスパーソン1,200名を対象におこなった「プロジェクト推進に関する意識調査」の結果を発表。調査期間は2020年1月17~20日。プロジェクトに関わるメンバーとプロジェクトマネジャー(以下、PM)、それぞれの視点からプロジェクトを進める上で課題となることは何かが明らかになった。
3人に1人が、プロジェクトマネジャーのスキル不足でプロジェクトの頓挫を経験

メンバーの約4割がPMに起因するプロジェクトの迷走を経験

チームメンバーとともにおこなう「新商品の開発」や、事業推進のために必要なメンバーの「採用業務」など、企業内には多くのプロジェクトが存在する。意思決定を促し、推進する役割を担うのが「PM」だ。成功に不可欠な存在だといえるだろう。

しかし、成功に導くはずのPMが原因で、プロジェクト自体が迷走・炎上した経験があるかをビジネスパーソンに聞いたところ、約3人に1人にあたる38%が「経験したことがある」と回答。その原因として最も多くあがった理由は「プロジェクトに関わる人たちの合意形成ができていなかったから」で48.9%だった。次いで「プロジェクトの進捗を可視化しなかったから」が41.7%、「プロジェクトの計画、目標設定能力が足りなかったから」が39.8%となった。

このほか、「はっきりとした指示をしなかったから」、「コミュニケーション力が足りなかったから」など、PMのマインド面に対する不満の声も多くあがる結果となった。PMの個人のスキルやマインドが原因でプロジェクトがうまくいかない経験をしたビジネスパーソンには、自社のPMを、言わば「名ばかりPM」だと考えている人が多いことがうかがえる。
3人に1人が、プロジェクトマネジャーのスキル不足でプロジェクトの頓挫を経験

半数以上が、PMにより人間関係が悪化した経験あり

次に、プロジェクトメンバーを対象に、PMが原因で人間関係が悪化した経験があるかを尋ねたところ、半数以上が「経験あり」と回答(55.9%)。その理由としては、「仕切りが悪かったから」が56.8%で最多。次いで、「無駄な工数を生み出したから」が42.7%。「技術的知識、プロジェクト経験が乏しかったから」が35.8%となった。
3人に1人が、プロジェクトマネジャーのスキル不足でプロジェクトの頓挫を経験

PM経験者の約6割が「会社を辞めたくなった」

一方、PM経験者に、「マネジャーを担ったプロジェクトがうまくいかなかった経験があるか」を尋ねた。すると、70.3%が「うまくいかなかった経験がある」と回答した。このことから、PM自身も、プロジェクトがうまく進んでいないと実感していることがうかがえる。

また、「PMを経験したことによって会社を辞めたいと思った経験があるか」を聞くと、57%が「思ったことがある」と回答。プロジェクトの推進にあたり、PMには多大なストレスがかかることがわかった。

PMに対する「教育の有無」では、認識の溝が明確化

では、大きな不安を抱えているPMに対し、企業は何も対策をとっていないのだろうか。「企業としてPMへの教育の重要性を認識し、教育しているか」について調査したところ、役員クラスの57%が「教育している」と答えた(「認識していて、教育もしている」と「認識していないが、教育している」の合計)。しかし、PM経験者、メンバーの回答は、「教育を受けていない」が6割以上にのぼる(「認識しているが、教育はしていない」と「認識も、教育もしていない」の合計。PMが61%、メンバーが70.3%)。企業と社員との認識に溝があることがわかった。PMへの教育には、階層によって認識にズレが生じているという課題が明確になった形だ。
3人に1人が、プロジェクトマネジャーのスキル不足でプロジェクトの頓挫を経験

「PMO」が「名ばかりPM問題」の解決のカギに

プロジェクトマネジメント支援の専門家によると、PM経験のない人がアサインされた結果、管理不足と可視化不足により、全体を統括できず、プロジェクト全体に支障をきたすケースが多いという。さらに、本来PMとは、マネジメントのプロフェッショナルが着任すべきであり、個人のスキルの習得や向上だけでは不十分だとも。また、「名ばかり」と呼ばれてしまうPMを教育し、PMの機能不全によるプロジェクトの頓挫を解決するには、プロフェッショナルスキルを持った「プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)」が必要だとしている。

PMOとは、スキルや経験は当然のこと、プロジェクトを成功させるための強い信念やリーダーシップなどの「人間力」を兼ね備えた人や組織のこと。プロジェクト推進の成功へのカギは、優れたPMOとプロジェクトマネジメントツールをいかに活用できるかにかかっているといえるだろう。

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