株式会社i-plugは2023年10月19日、「希望年収額に関するアンケート」の結果を発表した。学生を対象とした調査は2023年9月23日~27日に実施し、2025年卒業予定の学生(以下、25卒生)658名から回答を得ている。また、企業を対象とした調査期間は2023年9月11日~25日で、新卒採用を実施する企業322社から回答を募っている。なお、本調査では、同社が昨年同時期に実施した2024年卒業の学生(以下、24卒生)を対象とする調査結果も踏まえて比較している。これにより、25卒生の年収希望額や企業の提示額、希望額との差についての許容範囲などが明らかとなった。
上がる“新卒の希望年収”…25卒生の4割以上が初年度「400万円以上」を希望。「福利厚生」や「業務内容」での穴埋めが必須か

新卒1年目の希望年収は「300~399万円」が最多。「400万円以上」希望は増加傾向に

少子高齢化などによる労働人口の減少から、採用市場では売り手が優位となっており、企業における新卒生を含めた人材の確保は困難を極めている。就活生にとって、どの程度の年収をもらえるかは勤務先を決める重要なポイントとなり得るが、25卒生は初年度の年収に対し、どのような希望を持っているのだろうか。

はじめにi-plugは、25卒生(2023年調査)を対象に「新卒配属1年目に希望する年間の給与額(額面)」を尋ね、2022年調査(※)の24卒生の結果と比較した。すると、「300~399万円」が最多の39.4%だった。他方で、「400~499万円」が26%、「500~599万円」が7.9%、「700万円以上」が7.1%、「600~699万円」が2.7%となった。400万円以上の年収を希望する学生が全体の43.7%と、昨年の調査(2022年調査)と比較して、約12ポイント増加していることがわかった。この結果から、希望する年間給与額が、昨年の調査時よりも高まっていることが推察できる。

※24卒生対象(2022年)の調査期間:2022年10月12日~16日
新卒配属1年目に希望する年収

企業の提示額は「300~399万円」が最多。「400万円以上」は1割未満、学生の希望とは乖離か

続いて同社が、企業を対象に「25卒の新卒入社者へ提示している平均の年間給与額(額面)」を尋ねたところ、「300~399万円」と回答した企業は59.9%で最も多かった。前設問において、25卒生の4割以上が「400万円以上」を希望した一方で、「400万円以上」を実際に提示している企業はわずか8.7%だった。この結果から、学生の希望と企業の提示額にはギャップがあることが示された。
25卒の新卒入社者へ提示している平均の年間給与額

希望年収以下での「辞退」は昨年より増加傾向。防止には「福利厚生/業務内容」の充実がカギか

続いて同社は、25卒生に対し「内定先から提示された給与が希望の年収以下である場合、内定を辞退するか」を尋ね、24卒生の回答と比べた。すると、「その他条件によっては辞退しない」との回答が8割を超えて最多となり、昨年と比較して大きな変化はなかったという。一方で、「辞退する」(6.4%)とした学生が、昨年と比較すると倍近くとなっていることから、年収を重視する学生が増加傾向にあるとうかがえる。

そこで、「その他条件によっては辞退しない」とした25卒生を対象に、「どの条件が自分の希望と合致していれば“辞退しない”と考えるか」尋ね、上位10位を示した。その結果、25卒生の調査では、「福利厚生が充実している」(71.8%)がトップで、24卒生の結果(57.5%)と比べて約14ポイント高くなった。続いて、「業務内容」(56.5%)、「同僚や先輩などの社員の人柄が自分と合う」(52%)となった。
どの条件が自分の希望と合致していれば“辞退しない”と考えるか

希望金額との許容額の最多は「50万円以内」。昨年と比べ大きな変化は見られず

最後に同社が、25卒生を対象に「希望金額との差はいくらまで許容するか」を尋ね、24卒生の回答と比較した。すると、「50万円以内」(51.8%)が最多で、「51万円~100万円」(37.2%)が続いた。25卒生と24卒生の結果に大きな差は見られなかった。
希望金額との差はいくらまで許容するか
本調査結果から、25卒生の初年度年収希望額は「400万円以上」が4割を超え、前年より約12ポイント増加したことがわかった。一方で、実際に希望額を提示する企業はわずか1割未満にとどまり、双方にギャップがあると判明した。年収だけでなくその他の条件を重要視する声もあることから、新卒採用戦略を考える企業では、福利厚生の充実や既存社員とのコミュニケーション機会の確保も検討してみてはいかがだろうか。

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