経済産業省は2022年5月17日、「2050年カーボンニュートラル」に向けた中小企業等の脱炭素化と持続的な成長を支援する中小企業支援機関(中小企業団体や金融機関など)による取組みを「カーボンニュートラル・アクションプラン」として取りまとめ、公表すると発表した。同プランは、2022年7月頃に第1弾を公表する予定で、それ以降も適宜更新するという。同省は、本取り組みによりカーボンニュートラルの実現を目指す中小企業などを支援し、2050年カーボンニュートラルおよび2030年度削減目標の実現を目指す。
「カーボンニュートラル・アクションプラン」の作成・公表予定を経産省が発表。支援機関の事例掲載で中小企業の取組み促進へ

企業と中小企業支援機関の双方にメリットがあるアクションプランに

2020年カーボンニュートラルおよび2030年度の削減目標に向け、脱炭素化が推進されている今、企業にとっても脱炭素化への取組みの強化は重要な課題だろう。経産省は、これらの目標実現には、大企業のみならず、中小企業も具体的なアクションを起こす必要があるとしている。

一方で、そうしたカーボンニュートラルの流れの中、中小企業の多くは「脱炭素化の必要性を感じつつも、具体的な方策検討が思うように進まない」といった状況にあるという。同省は、これらの課題解決には、商工会や金融機関などといった中小企業支援機関によるサポートが不可欠であるとしており、支援機関が行う取組みを「カーボンニュートラル・アクションプラン」として公表することで、会員企業などの脱炭素化への取組みと持続的な成長を推進する狙いだ。

本プランは、主に以下のような取組みを盛り込んだ内容を想定しているとのこと。

●省エネ、温暖化対策に関する情報収集および情報提供
●相談対応
●セミナーや説明会、イベント等の開催
●経営指導員の研修内容への「省エネ」や「温室効果ガス排出量削減」の盛り込み
●CO2チェックシートの配布
●専門家派遣
●補助金等の計画策定および申請実施に向けた支援
●J-クレジット制度におけるプログラム型プロジェクトのとりまとめ


同省は、アクションプランの策定において、上記の項目を参考にするよう呼びかけている。また、実際にアクションプランを策定した中小企業支援機関は、指定の登録フォームより支援内容を登録することが可能だ。

アクションプランの策定・公表により、支援を受ける企業のメリットとしては、身近な支援機関の支援内容を把握できることや、支援内容を踏まえて具体的な相談ができること、アクションプランに基づく豊富な支援を受けられることなどが挙げられるという。

他方で、支援機関にとっても、支援内容の認知拡大、事業者が抱える課題の把握および対応スキルの向上、カーボンニュートラルに向けた計画的な支援内容の検討につながる、などのメリットがあるという。このように、アクションプランの策定・公表により、企業および支援機関の双方にメリットがあることから、同省は本プランの積極的な活用を呼びかけている。

日本を含む124ヵ国・1地域が、「2050年までのカーボンニュートラル実現」を表明している。企業の脱炭素化に向けた取組みに注目が高まる一方で、方策検討に迷う中小企業も多いだろう。アクションプランの活用により、自社の脱炭素化に向けた施策検討のヒントが得られるかもしれない。7月のアクションプラン公表を、期待して待ちたい。


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