「就活ハラスメント」防止のための法改正を求め、厚労省や文科省に提言を提出すると日本ハラスメント協会が発表

企業のハラスメント対策を支援する一般社団法人日本ハラスメント協会(以下、日本ハラスメント協会)は2021年10月11日、「就活ハラスメント」などの防止を目的とした「パワハラ防止法改正」を求める署名を、厚生労働省・文部科学省・日本経済団体連合会(以下、経団連)に提出すると発表した。これにともない、オンラインで2つのキャンペーンを立ち上げ、署名への協力を募っている。この活動により、企業に対する「就活ハラスメント相談窓口」の設置など、ハラスメント防止のための法改正を求める考えだ。

ハラスメント相談を受けキャンペーンを立ち上げ、オンラインで署名を募る

「就活ハラスメント」とは、「就活セクハラ」、「就活オワハラ」等を指し、企業の採用担当者等が就職活動中の学生に対して行う不法行為のこと。2020年6月に職場でのパワハラやセクハラを防止するための「女性活躍・ハラスメント規制法(以下、パワハラ防止法)」が施行となったが、「就活ハラスメント」に関する企業側の対策は努力義務にとどまるなど、その解決に向けての課題は依然として残っている。そこで、日本ハラスメント協会は、2019年に全国の学生が無料で相談できる「就活ハラスメント無料相談ホットライン」を設置。2021年卒の就活生を対象とした被害相談件数は、142件にのぼったという。

そういった学生らの声を受け、同協会はパワハラ防止法の改正を国に求めるため、2つのキャンペーンを立ち上げた。オンライン署名サイト「Change.org」にて署名を募り、厚労省や文科省、経団連に提言を提出する。それぞれの内容は以下の通り。

キャンペーン1:「#就活ハラスメント相談窓口を2022年4月から企業に義務化してください」

【賛同者】
全国31大学、905人(2021年10月11日現在)

【署名提出先】
厚生労働省・文部科学省・経団連

【提言趣旨】
1.2022年4月以降、新卒採用を実施する全企業に対して「就活ハラスメント相談窓口」の外部設置を義務化する

2.「就活ハラスメント」の発生またはその疑いがある場合、当事者から事実確認をした上で適切な対処を実施。企業は内容を記録し、厚労省に報告する義務を負う

3.ハラスメント被害者が不利益な選考を受けないよう、事実確認前でも行為の疑いのある者をすみやかに採用関連業務から除外。また、被害者と接触しないように配置変更を実施

4.「就活ハラスメント」の発生または疑いがあるにもかかわらず、企業が適切な対処をしない場合、厚労省が指定する第三者機関より是正指導を実施。指導に従わない場合、企業名を公表する

5.「就活ハラスメント」の発生が確認された場合、企業は被害者に対する賠償責任を負う

6.「就活ハラスメント」が紛争に発展した場合、企業は専門の民間ADR等を活用し解決する

キャンペーン2:「#セカンドハラスメントをなくしてください!国が『不利益取り扱い禁止証明書』を発行して被害者を守ってください!」

【賛同者】
876人(2021年10月11日現在)

【署名提出先】
厚労省

【提言趣旨】
1.ハラスメントの相談者、通報者が「不利益取り扱い禁止証明書」の発行を希望した場合、国が指定する第三者機関に書類の申請し、これを取得しなければならない。また第三者機関は、「不利益取り扱い禁止証明書」を、行為者に対し発行・通知し、記録を行う。企業の担当者は、行為者に発行された「不利益取り扱い禁止証明書」の写しを調査対象者全員に配布する

2.「不利益取り扱い禁止証明書」が発行された行為者は、発行日から5年間、他者に対する不利益な行為を禁止する

3.不利益取り扱いを受けた相談および通報を受けて事実認定された場合、使用者は第三者機関に報告の義務を負う。行為者は国が管理する「システムのブラックリスト」に記載される

4.「ブラックリスト」は国が指定する機関のシステム上で管理され、加盟企業は閲覧・検索可能。人材採用活動の参考とすることができる

5.「ブラックリスト」の有効期間は認定日から3年間とする。期間が経過すると自動的に削除される。

6.「不利益取り扱い禁止証明書」が発行された行為者が、セカンドハラスメントなど新たに当事者として名前が挙がった場合、使用者は特例で行為者を即解雇できる。それに対する行為者の抵抗は不可能とする。

7.悪質なハラスメントにより被害者が労災を申請し認定された場合、使用者は第三者期間に報告の義務を負う。行為者は国が指定する「ブラックリスト」に入る

8.「不利益な取り扱いに該当する」と被害者本人が判断した際、被害者本人が希望しない場合および社会通念上相当な理由がない場合は、通常の人事異動や配置転換の時期であっても業務命令として被害者の就業環境を変えることはできない。就業環境を変えるには、被害者本人の同意を得ることとする


以上の提言を、2021年10月27日にそれぞれの提出先へ提出するという。日本ハラスメント協会は、これらの提言によりパワハラ防止法を改正し、「就活ハラスメント相談窓口」設置を義務化するなど、ハラスメント防止に寄与していきたい考えだ。

本提言が政府に提出されるに至った背景には、就活ハラスメントの実態があることがうかがえる。就活生がハラスメントを受けずに公平な就職活動ができるよう、企業としてより一層防止に努めていきたい。