エン・ジャパン株式会社は2020年5月、「社内失業者」に関する実態調査結果を発表した。調査期間は2020年2月19日~3月17日で、同社が運営する人事向け総合サイトを利用する企業381社から回答を得た。これにより、「社内失業者」の現状と問題解決に向けた課題が明らかになった。
「社内失業者」は予備軍含め約3割の企業に存在。誰もが活躍する環境を作るために何をすればいいのか

人事の7割以上が「社内失業」という言葉を認知している

正社員として雇用されつつも、仕事がない状態の人を「社内失業者」と言うが、この言葉は人事担当者にどれほど認知されているのだろうか。まず「社内失業という言葉を知っているか」と尋ねると、「内容も含めて知っている」が38%、「概要だけ知っている」が33%と合計71%が知っていると答え、広く浸透していることがわかった。
「社内失業者」は予備軍含め約3割の企業に存在。誰もが活躍する環境を作るために何をすればいいのか

社内失業者は「サービス関連」、「300人以上」の企業に多い

次に「社内における社内失業者の有無」を聞いた。その結果、「いる」が9%、「いる可能性がある」が20%と、約3割の企業が「社内失業者がいる」と回答。また業種別に見ると、社内失業者がいる割合が最も多いのはサービス関連業で「いる」が8%、「いる可能性がある」が29%で合計37%となった。
「社内失業者」は予備軍含め約3割の企業に存在。誰もが活躍する環境を作るために何をすればいいのか
また従業員規模別でみると、最も多いのが従業員規模1,000人以上で、「いる」「いる可能性がある」の合計が47%だった。次いで従業員規模300人~999人の企業が合計45%となる。従業員数が300名以上の企業では、半数に迫る企業が予備軍を含めて社内失業者の存在を感じている様子が伺える。
「社内失業者」は予備軍含め約3割の企業に存在。誰もが活躍する環境を作るために何をすればいいのか

年代別、職種別、役職別で見た場合、高い傾向を示している従業員属性とは

次に、社内失業者が「いる」または「いる可能性がある」と回答した人に、社内失業者の年代や部署、役職について聞いた。その結果、「50代」との回答が最も多く、61%と他の年代に比べて突出していた。
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また、社内失業者を職種別でみると、最も多いのが企画職(経営企画、広報、人事、事務他)で46%、次いで営業職(営業、MR,人材コーディネーター他)で30%となった。
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さらに、社内失業者の役職を聞いたところ、最多が「一般社員クラス」で71%、次いで「マネージャー・管理職クラス」で36%となった。
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社内失業に至る要因について、7割以上が「該当社員の能力不足」と回答

社内失業者が「いる」または「いる可能性がある」と回答した人に、社内失業者の要因を聞いたところ、最も多かったのは「該当社員の能力不足」で75%、次いで「該当社員の異動・受け入れ先がない」が49%となった。
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社内失業者への対策は「教育」や「自己啓発支援」が多い

また、社内失業者に対する今後の対策を聞くと、「該当社員の教育」が最多で41%、「自己啓発や学びなおし支援」と「職階の見直し」がそれぞれ25%という結果になった。
「社内失業者」は予備軍含め約3割の企業に存在。誰もが活躍する環境を作るために何をすればいいのか
さらに、自由回答で社内失業者に対する悩みを聞くと、以下のような回答が得られた。

・人材不足の部署に、社内失業している社員を異動させることで生じる待遇や反発を考えると、適切ではないと感じる。(広告・出版・マスコミ関連/50~99名)

・会社側が本人の異動希望希望を聞くなど対応しようとしても、組織として柔軟に対応できない。対象者は、能力の低い人が多く、引き取り手がいない。(メーカー関連/50~99名)

・事業形態の変化に対応しきれない者へ対処が難しい。また、人員数では足りていても、人材能力と人員数がイコールとならない。(商社/100~299名)

予備軍を含めると約3社に1社の割合で「社内失業者」がいるという実態が明らかになった。社内失業者がいる状態は、企業と従業員のどちらにとっても健全とは言えないだろう。打開策の一つとして、企業側からも従業員のキャリアアップや学び直しを働きかけ、すべての従業員が活躍を目指せる環境の再構築に取り組む必要があるのかもしれない。

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