佐川急便を中核とする、総合物流大手のSGホールディングスグループでは、さらなる発展に向け、人的資本経営の実践及び、それらを強力に推進するために人事担当者一人ひとりのレベルアップや意識改革に取り組んでいます。その一環として、グループの全人事担当者向けの学びと気づきの機会として「HR Professional College」を実施しました。プログラムは全8回にわたり人事領域に関連する幅広いテーマで講義とディスカッションを行い、大きな成果を上げました。

※HR Professional Collegeとは
SGホールディングスグループ全事業会社の人事担当者を対象にした、8か月間にわたる育成プログラム。各社人事が適切な課題設定や企画ができるようになり、グループ全体の人的資本を高めていくことを狙いに実施。

HR Professional College


そこで今回は、SGホールディングス株式会社 人事部の須賀 ますみ氏にご登場いただき、株式会社リードクリエイトの吉田 卓氏、並川 喜則氏よりグループ人事の抱える課題や、研修で得た変化、人事に求められる役割などをお伺いしました。(以下敬称略)
※本記事の内容は、取材時(2025年7月)の情報に基づいています

【出演者プロフィール】


  • 須賀 ますみ氏

    ■須賀 ますみ氏
    SGホールディングス株式会社
    人事部 担当部長

    大学卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。金融系大規模SIプロジェクトのプロジェクトマネージャーなど経験後、人事へキャリアチェンジ。2018年に佐川急便株式会社に転職し、人事担当部長を務める。2023年にSGホールディングス株式会社に移り、現職。グループ全体の人事領域を牽引している。

  • 吉田 卓氏

    ■吉田 卓氏
    株式会社リードクリエイト
    常務取締役

    大学卒業後、大手金融機関に入社。企画部門を経て、人事部で育成・評価・異動業務に従事。2005年、株式会社リードクリエイトに入社。リーダーの選抜・育成を軸に人材開発支援を担当し、これまでソリューションに携わった企業は500社以上。一般論に留まらない「実践知」をベースにしたセミナーも多数開催。2021年より現職。

  • 並川 喜則氏

    ■並川 喜則氏
    株式会社リードクリエイト
    ソリューション事業本部 マーケティング推進チーム リーダー

    2008年、株式会社リードクリエイトに入社。人事評価や360度、アセスメントプログラムの設計や導入、運用支援を中心に、各社の人事課題解決に取り組む。2020年からは全社の営業改革を推進。現在は各社人事の支援をするとともに、マーケティング組織の責任者としてプロモーション、インサイドセールスを統括している。

SGホールディングス須賀氏、リードクリエイト吉田氏、並川氏

人事の「言語化力」不足と育成機会の不足の解消に向けて

並川 須賀さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。「HR Professional College (以下:HRPC)」をスタートさせてから、気づけば1年以上が経ちますが、まずはこのHRPCを始められた背景からお聞かせいただければと思います。

もともと須賀さんからは、コーポレート人材、とりわけ人事パーソンの育成を強化したいという課題感をお伺いしており、一方で弊社としても、多くのSGホールディングスグループの各社様とお取引をさせていただく中、各社人事の方々に「もったいないな」と感じる場面もたびたびございました。須賀さんはホールディングスのお立場からグループ人事をどのようにしていきたいとお考えですか?

須賀 今後、さらに強化したいポイントとして「適切な課題設定を行うこと」がございます。そう感じる理由として大きいのは、言語化するのが得意ではないという点です。曖昧な表現をしたり、抽象的な言葉を使ったりするので、論点がぼやけてしまうんです。ですので、HRPCの第1回のテーマは「人事に必要な言語化力」にしていただきました。これができるようになれば、さらにグループ人事を強固なものにできると思い、私自身もずっと強化したいと思っていたことでした。
SGホールディングス須賀氏
また、日々目の前の業務に忙殺されているため、人事メンバーの育成になかなか手が回らないという課題もありました。よって足元の強化という意味で、まずはホールディングスの人事メンバーの育成に注力したいと考えていましたが、せっかくこういう企画をするのならば、グループ全体で底上げをしたほうがいいのではないかと思いました。

幸いにも、リードクリエイトさんには当グループ内の10社以上をご支援いただいており、見方によっては、吉田さんや並川さんのほうが私よりグループ人事の現状を詳しく理解されているかと思います。そういう皆さんとタッグを組んで、人事に関して様々なことを何度も壁打ちさせていただきながら企画を進められたのは、とても心強かったです。

並川 HRPCを始める前にも「言われたことをきちんとできるのに加え、自分の守備範囲を広げてほしい」とご相談いただきましたが、やはり業務の縦割りが影響している面もあるのでしょうか。吉田もHRPC期間中に「労務担当は労務のことだけ考えていればいいのではありません。従業員にしてみれば、皆さんは等しく人事ですよ」とずっとお伝えしていた通り、そういった意識改革も必要だと感じておりました。一緒にお仕事をさせていただいても、自分たちで考えるというより、勉強しろと言われたら勉強する、といったスタンスを感じることもありました。
リードクリエイト並川氏
須賀 言われたことがきちんとできるというのも素晴らしいとは思いますが、今以上に自分から情報を取りに行ったり、学びに行ったりする姿勢は持ってほしいところです。ですので、特に若いメンバーには事あるごとに自己研鑽の必要性も伝えるようにしています。HRPCのような取り組みに関しても、本来はホールディングスが主導して動くべきではないのかもしれませんが、何か学びのきっかけになればと思い、始めました。

とはいえ、「会社が研修を用意してくれた。自分たちはそれに参加すればいいんでしょ」というスタンスにならないように、HRPCを企画する際は、プログラムに自社の状況や課題を相互に意見交換する場面を必ず盛り込むなど、より主体的に取り組める建付けにしていただきたいということはお願いしました。

協力:株式会社リードクリエイト


この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

●人事担当者の「自分事化」を促す仕掛け
●グループ人事の学び合いを強めるネットワーク構築
●人事の究極の役割は「社員をしらけさせないこと」
●人事施策の連動に欠かせない「学びの姿勢」と「共通言語」
●社員に変化を求める前に、まずは人事が変わるべき

  • 1

この記事にリアクションをお願いします!