新卒採用を取り巻く状況は年々変化しています。社会的情勢の影響を受けることも多く、先が見えない様相を呈しています。こうした状況の中、これまで以上に重要性を増しているのがデータ活用です。データを見ながら変化に気づき、迅速に対応することが求められています。

これを受け今回、ダイレクトリクルーティングサービス「キミスカ」を運営するなど、新卒採用の最前線で活躍する株式会社グローアップが「新卒採用の再現性を高めるアプローチ~ATSを使った分析と改善の方法と考え方~」と題したセミナーを開催。採用管理システム(ATS)の実践的かつ効果的な使い方を伝えながら、新卒採用を成功に導く手法を紹介しました。

以下にセミナーの様子をレポートします。

【プロフィール】


  • 加藤 佑基氏

    ■加藤 佑基氏
    株式会社グローアップ
    代表取締役社長

    東京都市大学経営システム工学科卒。研究内容は「価値観を考慮したニューラルネットワークによる早期離職の構造モデルの提案」。グローアップに入社後、中途人材領域での営業を経験、経営企画室及びマーケティンググループを立ち上げ。全社のマーケティンググループ及びサービス開発等を統括した後、キミスカの事業部長を経て、代表取締役に就任。「活躍人材採用」をキーワードに母集団形成だけではなく、採用全体に向けたコンサルティング支援を推進している。

グローアップ加藤氏①

■講演
新卒採用の再現性を高めるアプローチ~ATSを使った分析と改善の方法と考え方~
株式会社グローアップ
代表取締役社長 加藤 佑基氏

売り手市場が続く新卒採用。学生は量から質への行動変化が見られる

最初に新卒採用の市況感をお伝えします。大卒の求人倍率は、コロナ禍を経て右肩上がりとなり、売り手市場が加速しました。25年卒は1.75倍と、24年卒の1.71倍から0.04ポイント上昇。高止まりしており、学生にとって有利な状況が続いています。

企業の規模別に細かく求人倍率を見てみます。従業員数300人以下の中小・ベンチャー企業は25年卒で6.5倍と非常に厳しい環境に置かれています。一方、300人以上になると軒並み倍率を下げ、5000人以上の大企業では0.34倍です。この数字だけを見ると、大手企業は採用がうまく行っているように見えますが、ターゲットとしている学生からの応募がない、少数の学生にオファーが集中し採用競合と激しく奪い合うということが起こっています。必ずしも順調とは言えず、異なる課題に直面しています。

新卒採用の全体的な動きに目を転じますと、採用の早期化が進んでいます。学生の側から見ると早い時期から就職活動をスタートさせています。早いとはいえ24、25年卒の学生はナビサイトのオープン前に行動を起こす程度でしたが、26年卒になると多くの学生が夏のインターンの段階で既に就職活動を意識しています。
グローアップ加藤氏②
早期化は進んでいますが、売り手市場の状況です。どこでも良いから就職をしたいために早く始めるのではありません。エントリー数は減っており、10年前と比較すると半分以下。企業によってはエントリーを獲得するのにも大きな困難が伴っています。キミスカで調査したところ、エントリー数30以下で就職先を決定した学生が全体の8割弱でした。学生が就職先や希望職種を絞り込んでいる。なお、就職先として人気なのは、昨今の円安・物価高・賃上げなどの世相を反映してか、安定を求め大手志向が強まっているようです。

早期化に伴って、内定は早い段階で出されています。内定率も伸びています。3月のナビサイトオープンの段階で、既に全体の3人に1人を獲得しています。一方で、内定承諾の時期は早まってはいません。当社の調べでは、内定承諾のメインの時期は5~7月で過去から大きくは変化なし。このため、内定出しから内定承諾までの期間が長くなり、フォローの期間も長期化します。企業側にとっては、難しい状況になっていると言えるでしょう。

新卒採用の市況感をまとめます。求人は増えており、人材不足が続いています。学生数は少子化と進学率の上昇を考慮すると、これまでと同程度か微増が予想されます。今後も売り手市場が続くことは避けられないでしょう。学生からすると、就職活動をがむしゃらに頑張らなくても内定は取れる状況です。このため、エントリーする企業や業界を絞り込む、就職活動の量から質への転換が見られます。内定は早期に獲得する一方で、すぐには承諾しません。このため、企業側には多くの内定者を長期間にわたりフォローし続ける必要が生じるのです。

企業はエントリー数を増やし、エントリーしてきた学生の志望度を高め、内定を出した後も逃さないように質の高いフォローをしなければなりません。求められることは多々あります。そうした時に役立つのが、今回の講演テーマのATSです。


この後、下記のトピックが続きます。
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●企業の採用成功に欠かせない「ペルソナ設定」と実践的な活用法
●ペルソナ設定が採用活動の精度を高める理由
●面接の評価データ活用が、より良いスカウトに繋がる
●人材管理の品質のばらつきをなくす、生成AIの力
●採用した人材を「活躍人材」に変えるデータ分析・活用の意義

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