常に、時代の最先端を行くビジネスに挑むことで、事業を拡大させてきたソフトバンク。2025年2月には、米OpenAIとソフトバンクグループの合弁会社「SB OpenAI Japan」を発表した事が話題を呼びました。同社では、「人」と「事業」をつなぎ、双方の成長を実現することを人事のミッションとして掲げ、人的資本経営を推進しています。

そこで今回は、それら取り組みが、どのような価値と進化をもたらしているのか。人事労務システム『One人事』を提供するOne人事株式会社 HRTech SaaS事業部長 宮原 一成氏がソフトバンク株式会社 執行役員 コーポレート統括の源田 泰之氏にお話を伺いました。(以下敬称略)

【対談者プロフィール】


  • 源田 泰之氏

    ■源田 泰之氏
    ソフトバンク株式会社
    執行役員 コーポレート統括

    1998年、ソフトバンク株式会社に入社。営業を経験後、2008年より人事領域を担当。企業内研修機関であるソフトバンクユニバーシティおよびソフトバンクグループの後継者育成機関のソフトバンクアカデミア、新規事業提案制度(ソフトバンクイノベンチャー)の責任者のほか、公益財団法人 孫正義育英財団の事務局長も兼務。また、教育機関でのキャリア講義や人材育成の講演に多数登壇されるなど、多方面で活躍。

  • 宮原 一成氏

    ■宮原 一成氏
    One人事株式会社
    HRTech事業本部 HRTech SaaS事業部 事業部長

    1998年、マイクロソフト株式会社に入社。営業職に従事し営業本部長等を務める。2011年、ビル・ゲイツが全世界の従業員の中からトップクラスの成績を収めた者に与えるChairman’s Awardを受賞。2016年、株式会社チームスピリットに入社し、営業責任者、ビジネス部門担当の取締役等を務める。その後、外資系企業での日本市場の立ち上げおよび国内スタートアップでのアライアンスの立ち上げを経て、2024年、One人事株式会社に入社。SaaS事業の責任者として活躍。

ソフトバンク源田氏、One人事宮原氏

経営戦略や事業戦略ありきの人材戦略が大前提

宮原 本日は4つのトピックスについて、源田様とお話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。まず最初は、ソフトバンク流人的資本経営の柱についてです。まずは、ソフトバンク様の人的資本経営に対する狙いからお聞かせいただけますか。

源田 人的資本情報の開示は当然なことです。しかも、ただ単に開示しても意味がありません。むしろ、大切なのは社員が成長する環境をどう作るかだと思います。それは、すごく難しい課題ですが、やらないと意味がありません。事業の成長と社員の成長が完全にリンクするケースもあれば、そうではないケースもあります。ただ、それを両輪でやっていかなければいけないと思っています。
ソフトバンク源田氏
宮原 私も全く同じ考えです。人的資本データを開示することが目的になってはいけません。結局、事業が成長しなければ、どんなに開示したとしても意味がないですし、株主からも評価されないのです。もちろん、この辺りは会社によって考え方が違ってくるかもしれません。ソフトバンク様は、事業成長に向けて特に重視されている人材戦略の柱について、どのようなお考えをお持ちですか。

源田 人材戦略を構造化し見える化することは、すごく大事だと思っています。まずは、大前提として経営戦略や事業戦略ありきの人材戦略であることです。そこの考え方を持たないといけません。その上で、筋肉質な会社や組織にしていくために、人材ポートフォリオをどう組み替えながら新規事業にシフトしていくかが、ポイントになってきます。

宮原 経営戦略と人材戦略が密にアラインしていることは、大事だと思います。ソフトバンク様は次々と新規事業を立ち上げられていますが、そうなると、二つの戦略をアラインさせるのはかなりハードルが高くなるのではないですか。

源田 難易度はかなり高いです。ただ、一つの強みとして、ソフトバンクにはグループ会社が数多くあるため、それらの組織群を生かすことで対応できています。色々な事業を手掛けていて、多様な人材が在籍していますので、何か新たな事業をスタートさせようとなったときに、どういう組み合わせで、どこからどんな人を持ってきて体制を作るか、ということが考えやすい状況にあると思います。

宮原 私自身は、日頃から様々な企業をご支援させていただいているのですが、ソフトバンク様の人的資本経営の取り組みを拝見していると、2点ほど特徴があると感じています。1つ目が、本気で社員の成長や育成をお考えであること。2つ目は、社員の皆さんが年齢関係なく挑戦をされており、称賛されていることです。この2つの文化は、他社との大きな違いであると思います。
One人事宮原氏
源田 「社員の成長に本気である」と言っていただけたのは、非常に嬉しいですね。研修のラインアップもかなり揃えています。しかも、実践的な学びが最も重要だと思っているので、部門側と人事が一緒になって作り上げたものが沢山あります。また、チャレンジを尊重する風土と言うお話もありましたが、会社自体が常に大きなチャレンジをしています。おかげで、社員はすごく良い経験をさせてもらえていますし、それが成長への機会となっています。

協力:One人事株式会社


この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

●導入=人事課題の解決にあらず。源田氏が語ったタレントマネジメントに対する考え
●組織の進化「自律」が欠かせない真意とは
●事業と社員の成長をリンクさせるために求められる人事の役割
●ソフトバンクが描く、未来の人材戦略

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