
正社員の人手不足割合が51.4%で過去最高に。4月時点で高止まり
深刻かつ慢性的な人手不足が経営の大きな足かせとなっている企業も多いだろう。特に正社員の確保は喫緊の課題であり、多くの企業が採用難に直面しているのが現状だ。そうした中、現在の企業における人手不足の状況は、具体的にどのようになっているのだろうか。はじめに帝国データバンクが、「正社員の人手不足」を感じている企業の割合を調べたところ、51.4%と約半数にのぼった。同社はこの結果について、「毎年4月は新卒新入社員などの入社によって人手不足割合が緩和する傾向にあり、今年も同様の動きがみられたものの、依然として半数を超える結果となった」としている。なお、4月の数値としては2023年と同水準になり、過去最高を記録したという。
また、非正社員の人手不足割合は30%で、4月としては2年連続で低下しているものの、3割台の水準で推移している。

業種別の人手不足状況は?
続いて同社は、正社員の人手不足割合について業種別に算出している。その結果、人手不足割合が最も高かったのは「情報サービス」で、69.9%と前年同月比1.8ポイントの低下だったものの、システムエンジニア不足などの影響から依然として深刻な状況が続いている。次いで高かったのは「メンテナンス・警備・検査」で、69.4%だった。同業種の企業からは、「人手不足が深刻で、清掃業務の受注に対して安定した人員確保が難しい状況が続いている」(ビルメンテナンス)や、「人手不足によって売り上げが減少した。低賃金が影響して採用は難しいが、請負価格の値上げ交渉が難航している」(警備業)などの厳しい声が挙がったという。
他方、非正社員では「飲食店」が65.3%となり、業種別で最も高い割合となっている。ただし、依然として高水準ではあるものの、2023年4月(85.2%)、2024年4月(74.8%)と比較すると低下傾向のようだ。また、同様の傾向にある「旅館・ホテル」(51.8%)も合わせて、就業者数の多くを非正規職員・従業員が占める両業種の数値が回復している点について、同社は「スポットワーク・DXなどの普及が背景にあるとみられる」としている。その他、個人向けの小売・サービス業を中心とした労働集約型の業種が上位に多く並んでいる。

「2024年問題」の建設・運送業では約7割が人手不足に
また、2024年4月の時間外労働の新たな上限規制適用を契機とした「2024年問題」から1年が経つ現在、建設業で正社員の人手不足を感じている企業は68.9%、道路貨物運送業では72.2%となり、全業種(51.4%)を大きく上回った。これらの業種の企業からは、「手持ち工事はあるが人手不足の影響が色濃く、生産性が上がらない」(土工・コンクリート事業)、「仕事はあるが単価が上がらず、人手も足りず利益が減っている」(貨物軽自動車運送)といった声が挙がっているという。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001077.000043465.html