労働人口の減少、就活ルールの廃止、さらにはコロナ禍によるオンライン採用の普及。
新卒採用を取り巻く環境が大きく変化する中では、採用手法そのものを進化させ、時代に適応させていかなければならない。

今回は、伊藤忠商事株式会社で新卒採用チームのリーダーとして採用業務を牽引する島村優大氏と、ダイレクトリクルーティングサービス『キミスカ』など多彩な新卒採用事業を展開する株式会社グローアップ 新卒事業部 マネージャーの加藤佑基氏による対談を実施。

伊藤忠商事の新卒採用における取り組みをもとに、これからの新卒採用のあり方を語っていただいた。

プロフィール


  • 島村 優大 氏

    伊藤忠商事株式会社 人事・総務部 採用・人材マネジメント室
    島村 優大 氏

    2019年に入社。入社1年目には、インターンシップ企画において「事業拡大」をテーマにプログラム作成、その運営を担当。2年目には採用PRツールを主に担当。すべてのPRツールの「WEB化」を実行。3年目には2023年度新卒採用リーダーとして「ゼロベース」というテーマで戦略を立案するなど、伊藤忠商事の新卒採用業務を牽引する存在として活躍している。

  • 加藤 佑基 氏

    株式会社グローアップ 新卒事業部 マネージャー
    加藤 佑基 氏

    2015年新卒としてグローアップに入社。中途人材領域での営業経験後、2016年より経営企画室を立ち上げ。その後、全社のマーケティング及びサービス開発に携わり、『キミスカ』のマーケティング統括として、年間15万人の就活生が使うサービスへと成長させ、現職。自社の採用担当者として、採用全体の設計からインターンシップなどのコンテンツ作成も行ってきた。キミスカのコンセプトでもある『ありのまま』の採用・就活の実現に向けて日々活動をしている。

島村様・加藤様

環境・価値観の変化に応じ、採用の手法を多様化・進化させる時代へ

加藤氏 まずは御社における新卒採用のスタイルをお聞かせください。

島村氏 選考は4段階に分かれていて、第1段階が、エントリーシート(ES)、適性検査、自己PR動画、学校の履修成績を見る書類選考。第2から第4の段階は面接で、2023年度新卒採用では、一次はオンライン、二次と最終は対面でおこなっています。
島村様
「繊維」「機械」「金属」といった8つのディビジョンカンパニーと「人事」「経理」といった「コーポレート業務」のそれぞれからヒアリングの上、人材戦略上の観点から経営会議に諮り決定された採用目標数の達成が、新卒採用の一つのゴールとなります。

加藤氏 「単純に数を取るのではなく、活躍してくれる人でなければ」という思想、いわば量から質への転換が、昨今の採用シーンでは語られるようになっています。その「質の担保」について、御社ではどのように考えておられるのでしょうか。

島村氏 弊社では、新卒採用においては即戦力を求めているわけではなく、入社後のOJTや丁寧な研修制度などで成長を促していくため、将来活躍するだろうというポテンシャルの高い人材を採用しています。

その考え方に基づきながら、採用選考時点での一人ひとりの個性・能力・専門性を把握することが求められており、定量面では、面接評価点や適性検査点数を用い、過去からの傾向とどれくらい差異があるのか分析すると共に、定性面では、各面接官からフィードバックや採用担当が接する中で把握した情報に基づき、当社の社風や求める人材像に合致するか判断しています。

加藤氏 当然、書類選考や面接時の見極めが重要となりますよね。
加藤様
島村氏 社員に対する人事評価と同じ目線で評価しています。社員に求めるコンピテンシー項目の値が高い人材であれば、入社後も活躍してくれるだろうという考え方に基づいています。しかし、VUCAの時代、弊社もビジネスを進化させていく必要があるため、数年前に従来の価値観・評価基準を大切にしながらも、今後必要とされる人材要件を再定義し、評価手法も見直しました。

具体的には、人物をどんどん深掘りしていくような設計にこだわりました。たとえばESは、自身の経験や思考について、論理的に説明できるかを重視したものに改めました。自己PR動画も、これまでどのような人生を歩んできたのか、細かく説明する形式となっています。

これ以外にも毎年のように手法は見直しています。こうした変化の背景には、時代に合わせて変わり続けなければならない総合商社総合商社という業態が起因しています。一見すると、「書類+面接」という毎年変わらない形のように見えますが、中身は時代に合わせて進化させていくのが弊社の新卒採用の特色ではないかと思います。




この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。
●採用手法を多様化・進化させる時代に必要なこと
●学生への見極めは社員への人事評価と同じ目線で評価する
●YouTube、LINE、Instagram…
 伊藤忠商事が実践する「SNS活用」の極意
●再認識すべき、インターンシップ本来の目的
●今後重視される採用シーン~ダイレクトリクルーティングとジョブ型採用の関係

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