株式会社マイナビは2025年7月23日、「マイナビ 2026年卒 企業新卒採用活動調査」の結果を発表した。調査期間は2025年6月3日~20日で、3,068社より回答を得ている。本調査は、企業の新卒採用に対する意識や採用活動全体の動向を把握することを目的に2001年(02卒)より毎年実施しており、今回調査では初任給引き上げの加速やインターンシップ実施率の高まりなど、採用戦略の大きな変化が明らかになった。


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【26卒採用】初任給引き上げ88.8%、企業の7割が生成AI活用を容認──マイナビ調査で判明した最新動向とは

インターンシップ実施企業が過去最高を記録

人手不足が深刻化する中、企業の新卒採用競争がさらに激しさを増している。特に2026年卒採用では、インターンシップや早期選考を通じた“囲い込み”が一段と加速。多くの企業が初任給を相次いで引き上げ、学生との接点を持つための母集団形成施策にも注力している。一方で、学生側も就活のスタートが年々早期化し、生成AIの活用など新しい動きも広がりを見せるなど、採用の現場は大きな変化の渦中にある。そうした中、26卒採用における企業側の最新動向や課題はどのようになっているのだろうか。

マイナビの調査によると、2026年卒向けのインターンシップや仕事体験の実施企業は61.9%に達し、2001年の調査開始以降で過去最高を記録した。特に「インターンシップ型」が増加傾向にあり、学生との早期接点の重要性が一段と高まっていることがうかがえる。
2026年卒向けのインターンシップの実施
一方で、インターン施策における課題として最も多かったのは「応募者が集まらない」(68.8%)との悩みであり、特に中堅・中小企業では「知名度不足」による母集団形成の難しさが浮き彫りとなっている。加えて、「担当人員が足りない」、「時期が重なる」など、現場のリソース不足や時期の競合も実施のハードルとなっている。
インターン施策における課題

26卒採用活動における問題点とは?

次に、採用活動における現時点での問題点について聞いたところ、「母集団(エントリー数)の不足」(68.8%)が前年に続いて最多となったものの、前年と比較すると微減した。一方、「マンパワー不足(他業務との兼ね合い含む) 」(33.8%)や「合同企業説明会での集客不足」(30.4%)、「27年卒のインターンシップ準備への悪影響(時期の被り) 」(7.4%)などは年々増加傾向にあり、今年もその傾向が継続していた。
採用活動における現時点での問題点

初任給引き上げ、3年連続で実施の企業も3割超に

企業の人材確保競争は報酬面にも及んでおり、初任給の引き上げを実施した企業は88.8%と、前年度の84.4%からさらに増加した。

また、「3年連続で引き上げた」と回答した企業は全体の31%に達しており、特に上場企業では40.6%が連続引き上げを実施している。新卒採用市場では「給与水準での差別化」が顕著になっているようだ。
初任給の引き上げを実施した企業
何年連続の引き上げか

「採用力強化」や「他社との差別化」に効果実感も、収益圧迫や給与逆転に悩む声

初任給の引き上げについては、「求職者に対して効果的なアピールに成功した(応募数が増えた、内定辞退が減った等)」(21.1%)や、「他企業との待遇の差を縮めたり、差をつけることができた」(36.8%)といったポジティブな効果を実感する企業が増加傾向にある。これらの割合は前年より上昇し、一方で「特に効果や影響は感じられなかった」(19.7%)という回答は減少。初任給の引き上げが採用力の強化や他社との差別化に一定の効果をもたらしていることがうかがえる。
初任給の引き上げによる効果実感
一方で、初任給を引き上げる際に直面した課題について尋ねたところ、最も多かったのは「既存社員との給与逆転が起きないように、全社員の給与も引き上げる必要があった」(49.1%)だった。これに対し、「その課題は解決できた」と回答した企業は41%であり、多くの企業が全体のバランスを取りながら初任給を見直している様子がうかがえる。

しかし、他の課題では解決が進んでいない実態もある。「引き上げコストによる企業収益の圧迫」(21.6%)や「これ以上の引き上げが難しい段階にある」(15%)といった声に対しては、「解決できた」とする企業の割合が少なく、初任給の継続的な引き上げに限界を感じている企業も一定数存在していると考えられる。
初任給を引き上げる際に直面した課題

学生の生成AI活用に、企業の7割が前向きな姿勢

学生がエントリーシート作成などに生成AIを活用することへの企業の姿勢について尋ねたところ、「使い方に注意すれば問題ない」(64.1%)、「積極的に活用すべき」(6.9%)を合わせて、71%が容認する姿勢を示した。一方で、「活用すべきではない」(15.1%)、「分からない/判断できない」(13.9%)という慎重派も一定数存在しており、対応は企業によって分かれるようだ。

また、AI活用に対応するために、面接での質問変更や、エントリーシートの記述内容に対する精査の強化など、評価方法の見直しを進める企業も出てきている。
エントリーシート作成などに生成AIを活用することへの企業の姿勢
調査結果から、2026年卒の新卒採用市場では、インターンシップや初任給の引き上げ、生成AI対応など、多方面で企業努力が続いている様子が見て取れた。採用活動は単なる「人数確保」から「質と多様性の追求」へと移行しつつあり、今後も企業の戦略的な対応が問われる。特に、生成AIを活用する学生にどう向き合うかは、採用の公平性や候補者の見極めに直結する重要なテーマとなりそうだ。

出典:https://www.mynavi.jp/news/2025/07/post_49642.html


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