松岡 「OfferBox」は、学生・企業ともに利用数が大きく伸びておりますが、就職ナビと比較して何が評価されているのでしょうか?
中野氏 学生に関しては非常にわかりやすいです。「OfferBox」で決まった学生の就職先を見ると、プロフィールに第一志望業界から第三志望業界まで入れていただいているのですが、結果的に志望業界以外に就職している人が65%に上ります。つまり想定していなかった企業からオファーが来て驚くとともに、新たな自分の可能性に気づく、というところが評価されている点ではないでしょうか。一方、企業に関しては、43万人もいる就活生のうち、出会えるのはほんのわずかな人数です。本来は出会えなかった学生たちに対して、企業側からアプローチできるのがダイレクトソーシングの強みであり、評価されている点だと思います。ダイレクトソーシングが活用されるようになったのは日本が一番遅かったのですが、世界で広がり、日本のキャリア採用に広がり、ようやく日本の新卒採用でも利用されるようになってきました。
松岡 「OfferBox」でもAIを活用されているとか。
中野氏 弊社としては、あまりテクノロジー色を前面に出してはいないのですが、裏側では最新のAIを活用しています。企業が「OfferBox」を利用することで、オファーを送る、送らない、または学生がそれを承認する、辞退する…といったデータが貯まっていくのですが、これまでにどんな学生にオファーを送ったか、などの行動履歴を解析しAIが学習。個社ごとの「会いたい学生」かつ「オファーを承認しやすい学生」が、トップページや検索結果のページに表示され、企業の学生探しをよりスムーズにします。
松岡 先ほどご紹介した「インターンシップ事前選考落選企業への志望度」のところで、選考から落ちると学生の志望度がダウンするというお話をさせていただきましたが、その対策として、できるだけ落とさない、あるいは受け入れ人数を大勢確保できる1Dayを実施するという形があると思います。しかし一方で、1Dayでは満足できない層も一定数あるのが現状です。特に上位校学生ほど複数日程のインターンシップを望んでいます。「OfferBox」ではその点についてどのような対策があるのでしょうか?
中野氏 枠が限られている中、たくさんの人に告知してしまうと、逆にたくさんの人を落選させることにも繋がります。ではどうすればいいのかと言えば、逆転の発想で、たくさんの人に告知しなければいいわけです。単純に送らない限りは認知もできないので、インターンシップでも十分対策は可能だと思います。重要なのは、検索の段階で時間をかけて一人ひとりを慎重に絞り込むことです。一人当たりどれくらいプロフィールを読み込んだかをアンケート調査をしたところ、一人につき10分くらいかけている企業は、その後の歩留まりが良く、逆に時間をかけず、とりあえず送ろうというスタンスの企業は、その後の歩留まりが悪いという結果が出ました。初めは少し大変ですが、時間をかけて検証したものは、その後すべてデータとして残り、それをAIが勝手に学習し、蓄積・改善していきます。要するに、そうやってじっくり時間をかけて、「会いたい人とだけ会う」というのがこの話の逆側にあると感じました。
松岡 AI採用に関しては、どのような考えをお持ちでしょうか?
中野氏 テクノロジーを導入する一番大きな目的は、人がやらなくてもよい部分の工数を減らすことだと思います。AIに代わってもらうことにより、空いたリソースをどこに使うべきか。これをセットで考えることが重要です。選考は、その大多数が「落とす作業」と「連絡する作業」に費やされますので、その部分はAIに任せ、空いた時間はAIではできないこと、例えば学生と話したり、共感してもらったり、口説いたりする時間に割くのが理想だと思います。多くの学生は志望動機として「共感できるかどうか」を重視しますが、その重要な部分をAIに任せるのは難しいでしょう。さらに動画面接で1つ注意すべきなのは、画像や音声のみで相手を正確に見極めることができるのか、という点です。もちろん人間が面接をしても好き嫌いなど個人によって基準がバラバラになりますから、それをAIによって是正させるという大きなメリットはありますが、できるだけ初期の段階は面接が得意な人、人を見極めるのが得意な人に見てもらって、最初にきちんとAIに学習させること。一方で共感の部分に関しても、それが得意な人に任せるなど、うまく使い分けることが大事だと思います。
松岡 では話題を変えて、20年卒の時期がかなり前倒しになる、また21年卒に関してはオリンピックの影響もあり、さらにスケジュールが前倒しになると言われている中で、この早期化について企業はどのようなことを考えたらよいでしょうか?
中野氏 ここはいったん頭の中を白紙にしたほうがよいと思います。そもそも採用したい層がどの時期に動いているのか、もう一つは、早い時期に動くことでどのようなメリットがあるのかを考えるべきでしょう。「OfferBox」のデータによると、活躍する人が出現する時期は他の就活生とまったく同じ時期なので、活躍する人を発見するだけなら、早く動く必要はありません。しかし、その人と実際に会う率は早い時期のほうが高いです。また、早めに動きすぎると、フォローするのに大変苦労します。よって、「活躍する人がいるのか、いないのか」、「その人は会いやすいのか、会いにくいのか」、さらには「その人を採用まで持っていけるのか、持っていけないのか」、この3つのポイントについてバランスよく戦略を立てていくことが重要だと思います。
松岡 2019年卒の振り返りと、20年卒に向けた対策についてお話をさせていただきました。何か参考になることがあれば幸いです。本日はご静聴いただき、誠にありがとうございました。