株式会社アイデムは2023年11月2日、「仕事探しに関するアンケート調査」の結果を発表した。調査期間は2023年9月2日~10月5日で、同社が運営する総合求人サイトで求人に応募した人419名から回答を得ている。本調査から、正社員およびパート・アルバイトを希望する理由と社会保険の加入希望との関係性などが明らかとなった。
“非正規雇用の社会保険加入”は約4割が「こだわらない」。適用拡大踏まえ加入メリット周知が必須か

“求人応募件数”は正社員希望者で「目安なし」が最多も、パート・アルバイトでは7割が「目安あり」

2022年10月1日から社会保険の適用対象が拡充され、従業員数101人以上の企業で働く人についても社会保険の加入対象となった。一定の条件を満たせば、正社員だけでなくパートタイムやアルバイトなどの非正規雇用者も厚生年金保険や健康保険といった社会保険に加入できることとなったが、希望する雇用形態により社会保険の加入意思に違いはあるのだろうか。

はじめにアイデムは、「今回の求職活動期間の求人応募件数の目安」を尋ねた。すると、全体では「件数に目安はなく、よい条件があれはすべて応募したい」が最も多く、38.4%だった。以下、「2~5件」が32%、「1件だけ」が23.2%、「6~10件」が6%、「11件以上」が0.5%と続いた。7割以上が「1件だけ」以外を選んだ。

希望雇用形態別にみると、正社員では「件数に目安はなく、よい条件の求人があればすべて応募したい」は51.7%となり、パート・アルバイト希望者(29.6%)よりも目安を設けていない割合が高かった。一方で、パート・アルバイト希望者では「1件だけ」が27.4%、「2~5件」が37.4%、「6~10件」が5.7%と、応募件数に目安を設けて活動している人が7割にのぼることが示された。
求職活動期間の求人応募件数の目安

正社員を希望する理由は「将来にわたって安定して働きたいから」が半数超に

続いて同社は、正社員雇用を希望する人を対象に「なぜ正社員を希望するのか」を複数回答で聞いた。すると、全体では「将来にわたって安定して働きたいから」が58.4%で最も多く、以下、「社会保険に加入できるから」が42.7%、「自身のキャリア(仕事経験や意識、技術など)を維持・向上したいから」が31.5%と続いた。

性別でみると、「男性」のほうが「女性」よりも「自身のキャリアを維持・向上したいから」が18.1ポイント、「他の雇用形態より教育制度が充実していると思うから」が12.3ポイント、「興味のある仕事が正社員での募集だったから」が9.1ポイント高かった。これを踏まえて同社は、「男性は特に、気になる職業や関心のある仕事のスキルアップのために正社員を希望している人が多いのではないか」と推察している。

一方、「女性」のほうが「男性」よりも「将来にわたって安定して働きたいから」が22.1ポイント、「他の雇用形態より収入が得られると思うから」が12ポイント高くなった。女性は特に、安定して働きたいという意向を持っていることがうかがえる。
なぜ正社員を希望するのか

パート・アルバイトを希望する理由は「都合のよい時間や曜日に働きたいから」が最多

次に同社が、パートまたはアルバイトを希望する人に対し「なぜその雇用形態を希望するのか」を複数回答で尋ねたところ、全体の回答で最も多かったのは「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」で57%だった。続いて、「生活との両立を図りたいから」が34.8%、「すぐに働き始めたかったから」が23%となった。

性別でみると、「男性」のほうが「女性」よりも「すぐに働き始めたかったから」と「気楽に働きたいから」が同率の14.3ポイント、「一定期間で計画的に働けるから」が9.3ポイント高かった。男性のほうが、一時的にできる仕事を探している人が多いようだ。

一方、「女性」のほうが「男性」よりも「扶養の範囲内で働きたいから」が17.7ポイント、「正社員としての職が得られないから」が12.2ポイント、「生活との両立を図りたいから」が9.8ポイント高かった。女性は、収入や働く時間に制限がある人と、希望の雇用形態での勤務が叶わずパート・アルバイトを選んでいる人が混在していることが見て取れる。
パート・アルバイトを希望する理由

非正規雇用希望者は4割以上が「社会保険加入の有無にこだわっていない」

最後に同社は、非正規雇用を希望する人(パートやアルバイト、契約社員や嘱託社員、および派遣社員の計)に「社会保険への加入希望」を聞いた。すると、全体では「社会保険加入有無はこだわっていない」が40.3%、「社会保険に加入できる仕事につきたい」が32.7%、「社会保険が適用にならない職場、範囲で働きたい」が14.7%となった。

2021年10月と2022年8月に実施した同様の調査と比較すると、希望内容の割合が大きく変動することはなかったが、「社会保険が適用にならない職場、範囲で働きたい」との回答は年々減少していることがわかった。また、過去2年間と比べると「わからない」と回答した割合も高かった。これを踏まえて同社は、「今話題になっている“年収の壁”の解消に向けた取り組みにより、対応を決めかねている人がいる可能性もある」との見解を示している。

さらに年代別にみると、「社会保険に加入できる仕事につきたい」は「50代」で43.3%と最も高く、“年収の壁”を気にせず働きたいという人が多いようだ。一方、「社会保険が適用にならない職場や範囲で働きたい」は、「40代」が24.3%で、他の年代よりも高かった。

また、「60代」では「社会保険加入有無はこだわっていない」が53%で半数を超えた。「30代以下」は制度を知らない学生なども含まれていることもあってか「わからない」が46.3%と4割を超え、制度の認知に対して他の年代より課題があると推察できる。
社会保険への加入希望
今年度(2023年)の調査によると、非正規雇用者では「社会保険加入有無にこだわっていない」が4割を超えたことがわかった。過去2年間と比べると、非正規雇用者は「社会保険が適用にならない職場や範囲で働きたい」の回答が減少傾向である一方、「わからない」との回答が多くなり、例年より対応を決めかねている人も多いようだ。企業は社会保険の加入メリットを周知させるとともに、「キャリアアップ助成金」を利用するなどし、社会保険の適用拡大を進めていきたい。

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