住友商事株式会社は2021年3月16日、従来の部門の枠組みを越えた新たな営業組織「エネルギーイノベーション・イニシアチブ(Energy Innovation Initiative、以下EII)」を同年4月に新設すると発表した。これは、同年5月に発表予定としている次期中期経営計画の重点施策として取り組むもので、「カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)社会の実現に資する次世代事業の創出」を目指すとしている。
住友商事、カーボンニュートラル社会の実現に向けた新組織「エネルギーイノベーション・イニシアチブ」を設立へ

「環境問題の解決」と「経済成長」を同時に実現する、次世代事業の創出へ

世界的な人口増加と経済成長にともなうエネルギー需要は、増大の一途をたどっている。その一方で、「気候変動問題」は地球規模で取り組むべき喫緊の課題だ。このような中、「環境負荷の低減」と「経済成長」を同時に達成させる、持続的なエネルギーサイクルを構築する必要性が高まっている。

今回、住友商事はカーボンニュートラル社会の実現に向け、脱炭素・循環型エネルギーシステムを利用した次世代事業を創出するべく、社内の専門的知財や人材などの経営資源を、EIIに投下する意向を示した。副社長執行役員を筆頭に、機動力を持って戦略を遂行していくという。

具体的には、新組織「EII」に、中長期視点での事業開発が必要な「水素・蓄電池事業」、「森林事業」、「バイオマス燃料事業」、「次世代エネルギー関連事業」を集約する。ここで、社内外からのさまざまな知見や人材を活用した多角的アプローチを行い、バリューチェーン全体を俯瞰し、以下の3つを軸とした事業拡大に注力していく構えだ。

1.水素・アンモニアの利活用等、「カーボンフリーエネルギー開発と展開」
2.大型蓄電事業・リユース蓄電池事業等、「新たな電力・エネルギーサービスの拡大」
3.森林などによる環境価値創造事業、次世代バイオエネルギー開発等、「CO2の吸収・固定・利活用」


同社では、EIIによる次世代事業の創出を通じて、2020年6月に定められた「気候変動緩和」や「循環経済の実現」などの重要社会課題の解決により、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してきたいとしている。

持続可能な社会を見据えた活動は今、企業にとって一つの大きな課題となっている。産業のバリューチェーン全体の中でどのような役割を担えるのか、改めて考えてみてはいかがだろうか。

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