これを受け、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「キミスカ」を運営する株式会社グローアップと、グループ企業である、タレントマネジメントシステム「タレントパレット」を開発・運営する株式会社プラスアルファ・コンサルティングが共催セミナー「『早期離職』と『採用ミスマッチ』に終止符を!データ分析で実現する、新卒定着率向上の採用戦略とは」を開催。自社にマッチし、長期にわたり活躍する人材を見抜くための実践的な「データ活用術」などを具体的に解説しました。
以下にセミナーの様子をレポートします。
【プロフィール】

■山夲 哲平氏
大学卒業後、大手SIerにてBtoB向けのシステムネットワークなどIT領域での提案・販売を経験。2013年、プラスアルファ・コンサルティングへ入社し、マーケッター向けに定性情報の見える化やCRMの必要性・選定ポイントなどを支援。現在はタレントパレット事業部にて科学的人事戦略に向けた取り組みやメンバー育成などを推進している。
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
レントパレット事業部 副事業部長

■加藤 佑基氏
東京都市大学経営システム工学科卒。研究内容は「価値観を考慮したニューラルネットワークによる早期離職の構造モデルの提案」。グローアップに入社後、中途人材領域での営業を経験、経営企画室及びマーケティンググループを立ち上げ。全社のマーケティンググループ及びサービス開発等を統括後、キミスカの事業部長に就任。「活躍人材採用」をキーワードに母集団形成だけではなく、採用全体に向けたコンサルティング支援を推進している。
株式会社グローアップ
キミスカ事業部 事業部長

■講演(第一部)
データ活用で挑む攻めの新卒採用~活躍人材の探し方とアプローチ術~
株式会社グローアップ
キミスカ事業部 事業部長 加藤 佑基氏

採用市場はこれからも売り手市場が続く見込み
まず、新卒を中心に現在の採用市場の状況をご紹介します。大卒の求人倍率は2025年卒で1.75倍にまで上昇しており、新卒採用市場は依然として「売り手市場」が続いています。しかし、従業員規模別に見ると、二極化していることが分かります。従業員数300人未満の中小あるいはベンチャー企業では、求人倍率はなんと6.50倍にも達している一方で、1,000人以上の大企業は1.00倍を切っています。この数字だけを見ると、大企業の採用は容易だと考えがちですが、実情は異なります。大企業も、また求める人材の採用に苦戦しています。新卒採用市場では、採用活動の早期化が進んでおり、企業は採用スケジュールを前倒しで進めています。これに伴い、企業の採用に関する行動量も増えました。この動きに呼応して学生も早い時期から就職活動を始めるようになっています。しかし、学生の行動量は減少傾向です。10年ほど前は学生一人当たり平均100社にエントリーしていましたが、現在は25社前後にとどまっています。また、近年の学生の就職活動における特徴として、学生の保守傾向の強まり、大手志向が挙げられます。これは物価高や不安定な世界情勢が学生のキャリア選択に少なからず影響を与えていると考えられます。
企業側は採用した人材を早めに確保したいという心理から、早い段階で内定を出しています。実際、就職活動情報サイトの募集が解禁となる3月1日までに、約3割の学生が内定を獲得しています。しかし、学生が内定を承諾する時期は4~6月が多く、最終的に就職先を決める時期は例年と大きく変わっていません。
今後も求人数は増えていく一方、大卒者は横ばいの見込みで、売り手市場が続きます。学生にとっては、選考通過や内定を獲得しやすいので、質重視で就職活動を行うことが考えられます。企業側は、従来の採用戦略を見直す必要に迫られています。就職情報サイト一辺倒にならず、多面的なアプローチが求められるのです。同時に、学生の入社志望度を高めるための効果的な魅力の訴求が欠かせません。
また、内定出しの時期が早期化している現状では、内定後の学生に対する手厚いフォローに注力することも必要となり、これらの採用活動における業務量の増加に対応するためには、AIを活用した選考プロセスの効率化など、テクノロジーを駆使することも非常に重要な観点です。
採用成功に不可欠な「ペルソナ設定」と実践的な活用法
では、こうした状況を受け、企業としてはどんな取り組みが必要になってくるか。具体的に言及します。まず大切なのはペルソナの設定です。ペルソナの設定というと、属性ばかりに目が行ってしまうのですが、学生のバックグラウンドや性格などを考慮しながら、より詳細な人物像を設定することが大事になってきます。ペルソナを設定する時、キャリアの心理層、就活の行動層、プロフィール層の3つの層に分けて考えることが有用です。心理層では価値観や価値観の動機、キャリアにおける思いなどを考慮し、どういった志向を持っているのか、どうしてそのような志向を持つようになったのか、例えば、同じ成長志向でもその動機は地元に貢献したいからなのか、それともお金を稼ぐためなのか、などと深堀りしていきます。
行動層では、主な情報源は何か(SNS・就活媒体・友人など)、利用する媒体は特定のスカウト型が中心なのか、複数の就職情報掲載サイトなのかなどを想定します。あわせて、プロフィール層では、年齢、出身大学、学部、出身地などラベルの部分を明確にします。ペルソナ設定の際は、適性検査と連動させるのも有効です。性格やストレス耐性などと紐づけると、より詳細な設定が可能になります。

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