パーソルキャリア株式会社は2025年9月29日、同社が運営する調査機関『Job総研』が実施した「2025年 人事評価の実態調査」の結果を発表した。調査期間は2025年9月10日~16日で、社会人男女391人から回答を得ている。調査結果から、評価制度への不満の有無など、従業員のリアルな声が明らかになった。


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人事評価に「不満あり」が7割超、転職意欲にも直結か。AIによる評価で求められる“公平性”と“透明性”

人事評価のために「上司の意向に従う」、「アピールを増やす」人が多数

企業における人事評価は、従業員のモチベーションやキャリア形成に直結する重要な仕組みだ。しかし評価を受ける側の従業員においては「上司へのアピールが評価に影響する」、「主観的な判断が避けられない」といった不満も根強く、それが転職意向に結びつくケースも少なくない。近年は人的資本経営の推進やAI評価の導入など、公平性・透明性の確保に向けた取り組みが進んでいるが、実際に評価制度に対して従業員はどのような本音を持っているのだろうか。

はじめに「人事評価のために普段行っていること」を尋ねたところ、最も多かったのは「上司の意向に積極的に従う」で29.9%だった。次いで「上司へのアピールを増やす」が27.6%、「資料などを丁寧に作成する」が23%となっている。

また、「人事評価のためにアピールするか」を尋ねると、過半数の58.6%が「する」と回答。内訳は「よくする」が13.3%、「する」が16.9%、「どちらかといえばする」が28.4%だった。
人事評価のために「上司の意向に従う」、「アピールを増やす」人が多数

「アピールは評価に活きる」との一方で、疲れや精神的消耗も

次に、「人事評価のためにアピールする」と答えた人に対し、その影響について尋ねると、「アピール疲れを感じる」が最多の32.3%となり、続いて「精神的に消耗する」が28.4%、「無駄な仕事が増える」が27.1%だった。

一方、「アピールが評価に反映されているか」については、「活きていると思う」と答えた人が82.1%と大多数を占め、内訳は「とても活きていると思う」が13.1%、「活きていると思う」が33.2%、「どちらかといえば活きていると思う」が35.8%だった。
「アピールは評価に活きる」との一方で、疲れや精神的消耗も

人事評価に7割が「不満あり」、多くが昇格より転職を選択

続いて、「人事評価に不満を持ったことがあるか」を全員に聞くと、69.6%が「ある」と答えた(とてもある:20.5%、ある:21.2%、どちらかといえばある:27.9%)。

また、「人事評価を受けて昇格や昇給を待つか、転職を選ぶか」については、69%が「転職」と回答。内訳は「断然転職」が17.9%、「転職」が16.1%、「どちらかといえば転職」が35%だった。
人事評価に7割が「不満あり」、多くが昇格より転職を選択

評価への不満が「離職・転職」に直結する傾向

「人事評価を理由に転職を考えた経験があるか」を尋ねると、「ある」と回答した人は65.5%(よくある:14.8%、ある:26.1%、どちらかといえばある:24.6%)だった。

そこで、転職を考えた経験がある人に実際の転職状況を聞くと、51.6%が「転職した」と答え、他は17.6%が「検討中」、30.9%が「転職していない」とした。
評価への不満が「離職・転職」に直結する傾向

「AIによる人事評価」は公平性に期待、誤解やデータ偏りに不安も

次に、「AIによる人事評価で期待すること」を尋ねると、48.3%が「公平で客観的な判断」を挙げ、続いて「上司の主観を減らす」が45.8%、「評価基準の透明性」が35.5%となった。

一方、「AIによる評価で不安に感じる点」では、「AIに誤った解釈をされる」が最多の38.1%、次いで「努力や工夫が評価されない」が37.1%、「偏ったデータに左右される」が36.3%だった。
「AIによる人事評価」は公平性に期待、誤解やデータ偏りに不安も

希望の評価者は「AIより上司」が約7割、信頼関係の重要性が浮き彫りに

最後に、「AIによる人事評価への印象」について尋ねると、51.2%が「不安がある」と回答し、内訳は「とても不安がある」が13.6%、「不安がある」が14.8%、「どちらかといえば不安がある」が22.8%だった。

さらに、「上司とAIのどちらに評価してほしいか」を聞いたところ、68.7%が「上司」と答え、内訳は「断然上司」が12.5%、「上司」が14.8%、「どちらかといえば上司」が41.4%となった。
希望の評価者は「AIより上司」が約7割、信頼関係の重要性が浮き彫りに
今回の調査からは、人事評価に対する従業員の不満や不安が依然として大きく、評価制度が転職意欲にも直結している現実が明らかになった。一方で、AIによる公平・透明な評価への期待も高まっており、人事評価の在り方そのものが変革期を迎えているといえる。企業にとっては、従業員の本音に向き合い、納得感のある評価プロセスを構築することが、エンゲージメントの向上と人材定着につながるだろう。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000262.000013597.html

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