年功的配置・処遇をPay For Job/Performanceへ、また、公募主体の人事異動の導入により、キャリア開発の主体を会社から社員へと転換をはかる三菱ケミカル株式会社。人事評価制度にランク付けをしないノーレイティングを導入し、処遇、育成、昇格の仕組みも改革したサッポロビール株式会社。抜本的な人事制度改革を進行中の両社に、HRエグゼクティブコンソーシアム代表の楠田祐氏が改革の背景や狙いなどをうかがいます。

講師

  • 川口

    川口 尚宏 氏

    サッポロビール株式会社 人事部長

    1988年サッポロビール入社。地方支社の営業、企画部門を経て、2006年サッポロブランド戦略部 グループリーダー、2008年東北本部 マーケティング部長、2012年北海道本部 マーケティング部長、2015年から4年間、ブランド戦略部長。2019年から人事部長。入社31年目にして初めて人事部門の業務に携わり、2020年が2年目。



  • 金丸

    金丸 光一郎 氏

    三菱ケミカル株式会社 執行役員 人事部長

    1987年に入社し、以来ほぼ一貫して人事業務に従事。本社、研究所、工場・事業所などの人事を歴任し、人材配置、採用、制度検討、制度運用、労組対応、労務問題対応などを中心に幅広い業務に従事するとともに、2度の大型会社合併ならびに数度の事業構造改革を経験。2011年4月より人事部人事グループマネジャー、2017年4月に人事部長に就任。



  • 楠田

    楠田 祐 氏

    HRエグゼクティブコンソーシアム 代表

    NECなどエレクトロニクス関連企業3社を経験した後、ベンチャー企業を10年間社長として経営。中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)客員教授を7年経験した後、2017年4月より現職。2009年より年間数百社の人事部門を毎年訪問。人事部門の役割と人事のキャリアについて研究している。2016年より、毎週、Podcast『楠田祐の人事放送局~有名企業の人事部長にズバリ聞く!』(ProFuture)のパーソナリティを務める。主 な著書:『破壊と創造の人事』(Discover 21)、『内定力 2017 ~就活生が知っておきたい企業の「採用基準」』(マイナビ)。

三菱ケミカルとサッポロビールにおける人事制度改革の背景と課題

年間の考課ランク付けを廃止したサッポロビール

サッポロビール株式会社 人事部長 川口 尚宏 氏

楠田氏 今、「人事制度の大改革」に取り組まれている三菱ケミカルとサッポロビールの2社から学びたいと思います。では、サッポロビールの川口尚宏さんからお願いします。

川口氏 私どもは、2020年度より、等級制度から育成評価制度、賃金制度と人事制度を全面的に改定しましたが、今日はその中でも「育成評価制度」についてお話しいたします。
従来の育成評価制度は1997年に導入したもので、業績評価、コンピテンシー評価という2軸から評価していましたが、いくつかの課題が出てきていました。そこで、制度改定の目指す姿として、「挑戦しやすい組織風土づくり」、「変化への対応」、「メンバーの育成」、また、「成長人財を抜擢しつつ年功要素を排除する」ということを掲げ、改革に取り組みました。結果的に、育成評価制度を抜本的に改定することとなり、従来の評価制度を廃止して、年間の考課ランク付けをやめました。

従来の評価制度には、環境変化への対応が十分ではないという課題がありました。年度単位で行っていた目標設定や評価をもっとリアルタイムにできないか、一部に見られていた過去踏襲型に近い目標設定に対してもっと挑戦を促したい、年初に設定した目標の達成を硬直的に重視するのではなく、もっと変化に対応できる形にしたい、と考えました。そして、組織目標から個人目標を割り当て、いわば会社起点・外発的だったのを個人起点・内発的な目標に変えたい、加えて、個人目標達成重視から組織貢献重視へ、管理・評価重視から育成・支援重視へ変えたいという狙いもありました。
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