新型コロナウイルス感染が収束しない中、企業はどのようにこの状況を乗り超えればいいのでしょうか。どのような組織的な取り組み、HRM(人材マネジメント)の施策が、企業のレジリエンス、イノベーションと関係があるのでしょうか。こうした問題意識の下、経営学領域で日本最大の規模を誇る組織学会の有志32人の研究者とHR総研が共同調査「組織調査2020」を開始しました。今回は、その中間報告として、企業の経営状況、組織・人事の施策と「イノベーション」、「レジリエンス」との関係性などを検証し、議論を行いました。

講師

  • 中川

    中川 功一 氏

    大阪大学大学院 経済学研究科 准教授

    大阪大学を拠点にしつつ、HRサミット、BOND-BBT MBA、生産性本部などで広く志ある皆さんにイノベーションの必要性と技法を伝えて回っています! 2008年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。主な業績:Innovation in VUCA world (2017 Academy of Business and Emerging Markets, Best Paper Award).『戦略硬直化のスパイラル』(有斐閣)、『ど素人でもわかる経営学』(翔泳社)発売中!YouTubeチャンネル「中川先生のやさしいビジネス研究」でも経営学動画配信中。



  • 服部

    服部 泰宏 氏

    神戸大学大学院 経営学研究科 准教授

    神奈川県生まれ。国立大学法人滋賀大学 専任講師、同准教授、国立大学法人横浜国立大学 准教授を経て、2018年4月より現職。日本企業における組織と個人の関わりあいや、ビジネスパーソンの学びと知識の普及に 関する研究、人材の採用や評価、育成に関する研究に従事。2010年に第26回組織学会高宮賞、2014年に人材育成学会論文賞などを受賞。



  • 宮尾

    宮尾 学 氏

    神戸大学大学院 経営学研究科 准教授

    1975年兵庫県生まれ。2000年京都大学大学院 工学研究科 高分子化学専攻 博士前期課程を修了後、サンスター株式会社にて研究開発や商品企画を担当。同社勤務の傍ら,2006年神戸大学大学院 経営学研究科 専門職学位課程、2010年同博士後期課程を修了し、博士(経営学)を取得。2011年滋賀県立大学 人間文化学部 生活デザイン学科 助教。2014年より現職。主な研究テーマはテクノロジー・マネジメント、製品開発、イノベーションで、特にイノベーションに対する組織的な抵抗を克服する方法を模索している。著書に『製品開発と市場創造』、『ベーシックプラス 技術経営』(共編著)。



  • 佐々木

    佐々木 将人 氏

    一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授

    2008年に一橋大学大学院 商学研究科 博士後期課程を単位修得退学し、武蔵野大学 政治経済学部 講師を経て、2012年より現職にある。研究上の主たる関心は、組織内の組織メンバー間の意識の分化とその統合のメカニズムにある。具体的には、日本企業を対象とした組織行動やマーケティング活動についての質問票調査データを用いた定量的研究を中心に研究を行っている。



  • 寺澤

    寺澤 康介

    ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長

    1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

【第1部】「組織調査2020」中間発表

日本の経営実態を浮き彫りにする、これまでにない調査に取り組む理由

寺澤 「組織調査2020」は、経営学領域で日本最大の規模を誇る組織学会と、HR総研が共同で行っています。経営の状態、業績、イノベーションの状況はどうか、そして組織マネジメントや働き方といったものがどう相関しているのか、学術的な観点から詳細に調査し、実証するものです。本調査は、「マクロ調査」と「ミクロ調査」という2つで成り立っています。現在も調査は継続中ですが、本日は「中間報告」として、マクロ調査の分析結果について報告していただきます。組織学会32名の有志の先生方が参画されている中、今回ご登壇いただくのは4名の先生です。まずは、大阪大学の中川功一先生、調査概要についてご説明をお願いします。

中川氏 まず、私たちが「組織調査2020」を始めた背景をお話しします。日本はある意味、データ先進国であり、企業の売上高や利益、本社所在地、従業員数といったデータは当然のように整備されています。しかし、どんな組織デザインで、DXがどの程度進んでおり、業務時間はどのようなことに使われ、リーダーシップはどの程度発揮され、心理的資本がどのような状態なのか。また、どのような関係性を持つのか。そういった「経営の実態に踏み込んだ総合的なデータ」は存在しません。これは、アカデミアの大きな問題であり、私たちが調査すべきだと考えました。

今回の調査は、組織学会が総力をあげて行う「日本企業のいま」の総点検です。とりわけコロナ禍の現在、「イノベーション」や「レジリエンス」に注目しつつ、DXや働き方などの実態も総合的に探っていきます。これによって基本的なデータが整備されていけば、皆さんの経営判断や人事施策の策定にも有効でしょう。会社の管理すべき対象を定量的に把握し、他社比較をした上で次の打ち手を考える。そうしたことのお手伝いができればと思い、今回の調査を始めました。

続いて、「調査の内容」についてご説明します。この調査は、人事部門の方に、その企業の経営状況、組織等についてお聞きする「マクロ調査」と、その組織の社員にお聞きする「ミクロ調査」から成り立っています。よく、「日本企業は現場が強いが、本社は弱い」、「日本企業は、一人ひとりは優秀なのに、組織としては弱い」といわれます。果たして本当なのか。もし本当ならば、そこに横たわる問題は何か。それを調べるには、組織と個人の両面から調査を行い、その結果を突き合わせるのです。

本日お話しするのは、組織の仕組み・仕掛けと、組織のパフォーマンスといったマクロ調査部分のお話です。今回は、中間報告として、現時点までに集まった56社のマクロ調査の結果をご報告します。まずは全体的な傾向を、宮尾先生にお話しいただきます。
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