データ分析をもとにマスから個に向けた人事施策を深化。日立製作所のピープル・アナリティクスの成果に迫る

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

格差是正や労働時間の短縮など、すべての企業に課された「働き方を改革せよ」という大命題に、株式会社日立製作所は“ ピープル・アナリティクス”を武器として立ち向かっている。具体的には、社員へのサーベイから意識データを収集し、行動データと掛け合わせてAIで分析し、社員一人ひとりに寄り添った人事施策の高度化と生産性の高い組織作りに活かす取り組みだ。同社サービスプラットフォーム事業本部では、2018年10月にピープル・アナリティクスを活用した日立人財データ分析ソリューションの提供をスタート。並行して、自社での活用も推進し、データから新しい気づきを得られ、イキイキと働ける環境作りと生産性向上につなげているという。では同社の施策は、どのように進められ、どのような成果をあげているのだろうか?

2つのサーベイ結果×行動データの分析で、社員・組織の現状を探れ

空前の人手不足。個々の社員がガムシャラに働くことでカバーしたいところだが、働き方改革関連法案は企業に対し労働時間の短縮を求めている。つまり、少ない人財×限られた時間という条件下で、価値ある商品やサービスを生み出し、市場に提供していかなければならない状況だ。企業運営が極めて困難な時代といえるだろう。

ブレイクスルーのためにはイノベーションが必須となる。日立製作所が取り組んだのは“ピープル・アナリティクス”。社員と組織の生産性意識、あるいは配置配属に対する納得感などを調査・分析し、現状を把握したうえで有効な対策を打ち、働きやすい環境を作り上げて生産性を高めようという組織運営だ。この取り組みのキーとなったのは、筑波大学からの学術指導をもとに同社が開発した2種のサーベイである。

●生産性サーベイ
個人の生産性を決定づけるものとして6つの因子(役割理解度、挑戦意欲度など)を、また組織としての生産性を左右するものとして5つの因子(働き方の許容性、目標明確性など)を設定。計11の因子について調査・スコア化する。

●配置配属サーベイ
個人の配置配属についてのフィット感に関わるものとして6つの因子(組織貢献意識度、相互刺激感知度など)を、またどういう組織なら配置配属のフィット感が高まるかを示すものとして5つの因子(価値観調和性、環境快適性など)を設定。計11の因子について調査・スコア化する。

いずれもWEBシステム上で数十問の設問に答えることにより、各社員の因子状況が5段階で評価されるというもので、たとえば生産性サーベイで「心身調整度」という因子が高スコア(心も体も状態がいい)なら、業務をスムーズに回せて生産性も上がるはず、といった判断が可能となるわけだ。

サーベイ結果は個々の社員とその上司・チームマネージャーに向けたリポートとしてフィードバックされ、自らの課題に気づいてもらったり、チームの状況分析、アドバイス、マネジメントに役立てられたり、といった形で活用される。生産性や配置配属に対する社員の意識、組織の現状を見える化することで、きめ細かな対策が可能となり、生産性を上げることもできるはず。それが、このサーベイの目的だ。

さらに日立では、このサーベイ結果にひと工夫を凝らしている。個々のサーベイ結果と行動データ(いわゆる勤怠や出張履歴、パソコン使用時のログなど)を掛け合わせ、同社が開発した人工知能技術「Hitachi AI Technology/H」などを用いて詳細に分析したのである。

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AIによる分析で見えてきた、生産性アップへのカギ

「意識と行動とを掛け合わせて分析することで、さまざまなことが見えてきました」
そう語るのは日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部の饗庭健司氏だ。

同社では2018年10月、さまざまな部署の7,700名を対象に前記のサーベイを実施した。その対象となった部署の1つがサービスプラットフォーム事業本部。AIやIoT・クラウドサービス、セキュリティなどのデジタル技術の開発と通して顧客データから価値を創出しデジタルソリューションを加速する「Lumada(ルマーダ)」事業を支える部門である。

「例えば、週後半の時間外労働と生産性との関係です。行動データ分析で『金曜日の残業が多い』と出ている人ほど生産性意識が低く、逆に少ない人は生産性に関わる“創造性”や“効率性”が高いという傾向が明らかになりました。また、出張回数が多いほど生産性への意識が高いということも見えてきました。仮説を立てるなら、外に出たり、誰かと会ったりして刺激が多いといいアイディアが浮かんで生産性も高まる、ということでしょうか。いずれにせよ、これまでの手法では気づかなかった事実の発見、新しい気づきを数多く得られました」(饗庭氏)

こうした“気づき”をもとに対策を講じ、組織運営に生かす。それがピープル・アナリティクスの本質だ。同事業本部では、サーベイ結果×行動データの分析をもとに、さまざまな人事施策を実施したという。

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