『第7回健康寿命をのばそう!アワード』の受賞者決定 全国に広がる生活習慣病予防のためのユニークな取り組み 今回は、あの話題の保険が最優秀賞を受賞

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

『健康寿命をのばそう!アワード』をご存じだろうか。健康寿命を延ばすための取り組みから、優れたものに贈られる賞で、厚生労働省が「健康寿命をのばしましょう。」をスローガンに行う国民運動、『スマート・ライフ・プロジェクト』の一貫として行われている。従業員等の健康維持のみならず、健康管理を経営的な視点で考え、実践する“健康経営”にもつながる取り組みとして注目を集め、多くの企業や自治体が参加。2018年11月に第7回のアワードの授賞式が開催された。式では最終審査に残った企業や自治体が取り組み内容をプレゼンテーションし、その場で各賞が決定した。ここでは受賞した取り組みや授賞式で語られた話を中心に紹介する。
2018年11月19日(月)、場所は厚生労働省・講堂。企業や自治体の担当者が次々と登壇し、白熱のプレゼンテーションを披露していく。テーマは「生活習慣病の予防にどう取り組んでいるか」。『第7回健康寿命をのばそう!アワード』最終審査の一幕である。

健康寿命とは、自立して過ごせる期間のことだ。男女とも平均寿命80歳を超え、長寿大国となった今、より長くアクティブに生きていけるかが課題の一つとなっている。そのために、生活習慣病の予防をはじめ、心身の健康に配慮することが健康寿命を伸ばし、人生の最後まで楽しく生活を送れることにつながる。

この健康寿命を伸ばす取り組みを積極的に行い、関わる人の活力向上と組織の活性化を促す企業や団体、自治体が増えている。それは、健康管理と組織への影響を意識し、結果として生産性・業績の向上へとつなげる “健康経営”という理念が強く意識されてきているためだ。組織において、活力があって働きやすい環境かどうかは、企業や団体であれば採用・雇用に、自治体であれば地域の方の生活の質などに大きく影響する。

また、社会的観点からも健康増進は重要なテーマであり、国も各種施策を進めている。厚生労働省が提唱する『スマート・ライフ・プロジェクト』も、その1つだ。生活習慣病の予防に直接つながる4つのアクション(適度な運動、適切な食生活、禁煙、健診・検診の受診)を呼びかけ実践していこうというもので、2011年にスタート。いまでは4,500以上もの企業・団体・自治体が参加する国民運動へと成長している。
健康増進への優良な取り組み事例を表彰する『健康寿命をのばそう!アワード』の認知度も着実にアップ。第7回を迎えた2018年は73件の応募を集め、授賞式当日の最終プレゼンテーションと審査を経て、以下の通り最優秀賞1点、優秀賞3点(企業、団体、自治体の3部門で1点ずつ)が決定した。本年からスポーツ庁が同アワードの審査・表彰に参加し、特にスポーツ・運動関連の優れた取り組みにスポーツ庁長官賞が贈られるようになったのも大きな特徴だ。

下記で、受賞企業と取り組み内容をまとめた。このほか厚生労働省健康局長優良賞・保険局長優良賞も選出されており、企業・団体名と取り組み名を紹介する。詳しくは、第7回健康寿命をのばそう!アワードの公式サイト(http://www.smartlife.go.jp/award/)で確認できる。

厚生労働大臣 最優秀賞

住友生命保険相互会社

健康増進を軸としたCSVプロジェクト〜Vitalityで健康寿命の延伸を目指す〜


健康寿命の延伸を目指して下記3つの行動に取り組んでいる。とりわけ世界各国で890万人が加入(2018年9月現在)しているという健康増進型保険「Vitality」は、同社が「世界で最も成功している健康増進プログラム」と自負を抱くほどの成功を収めている。
●健康増進型保険「Vitality」の提供
健康状態オンラインチェックや健康診断の受診、スポーツイベントへの参加など健康増進につながる行動に応じて、保険料割引、フィットネスジム利用料やスポーツ用品の割引といった特典(リワード)を受けられる新タイプの保険。
●スミセイ“Vitality Action”の実施
現役の日本代表や五輪メダリストらトップアスリートが参加・指導する親子スポーツイベント、ランイベントを開催し、社会全体へ健康増進を働きかける。
●職員とその家族が健康になる健康経営の推進
働き方変革による労働時間の削減などを盛り込んだ「住友生命グループ健康経営宣言」策定。

厚生労働大臣 企業部門 優秀賞

ヤマトグループ・ヤマトグループ健康保険組合

目指せいきいき健康家族!〜ライフスタイルに合わせた主婦健診のベストミックス〜

母体企業であるヤマト運輸において、従業員の被扶養者(家族/とりわけ主婦)の健康診断受診率が低い(2013年度で40.7%)という問題に着目。家事・育児で多忙な主婦のライフスタイルに配慮した取り組みにより、受診率向上(2013年度-2017年度比で12.3%向上)や無関心層の減少(5年以上未受診者1,343人減)を実現した。
●ライフスタイルに合わせた「主婦目線」の受診環境整備
町の宅急便センターや巡回会場など健診場所を50,000か所以上に拡大/しっかりコース・お手軽コースなど健診項目のベストミックス化/基本健診無料+節目年齢のがん検診無料でお得感を演出。
●受診機会の周知/無関心層対策
39歳到達者への案内、無関心層向け受診券つき案内、小学生向けマンガ・チェックシートなどターゲットを絞ってアプローチ。

厚生労働大臣 団体部門 優秀賞

丸子中央病院

丸子中央病院 山田シェフのいきいきレシピ・職員レストラン

減塩レシピを年間約30万枚配布(レシピ数は約150品/ホームページでも閲覧可)するほか、職員レストランを一般にも開放し、地域の健康増進に食を通じて取り組んでいる。
●病院×スーパーマーケットのコラボによる減塩レシピ
『料理の鉄人』への出演経験も持つ病院の専属シェフ・山田康司氏が、食材本来の味を生かして減塩でも美味しく食べられる「いきいきレシピ」を考案。糖尿病専門医のコラム、栄養量なども記載し、長野県内に33店舗を展開するスーパーマーケット・ツルヤ全店舗で配布。
●レストランによる健康管理
医療を提供する側の健康も大切に考え、約15品目、野菜量1食平均200gの職員ランチを毎日120食提供。

厚生労働大臣 自治体部門 優秀賞

福井県

福井発「スニーカービズ」運動〜スニーカーを履いてプラス1000歩〜

世帯あたりの乗用車保有台数が都道府県別第1位(1.75台)で、1日あたりの歩数は全国平均以下の県民に「歩きやすい靴を履きましょう」と呼びかけ、1日プラス1,000歩(10分間)を目標とする運動。下記の各点がアピールポイントで、県職員による検証では1日平均約1,300歩、最大約3,000歩の歩数増加を実現。現在県内300以上の事業所で実践中。
●誰にでもできる
通勤・勤務時間に履くヒールや革靴をスニーカーなど歩きやすい靴に替えるだけ。
●自然な歩数増加
「運動しましょう」という曖昧なメッセージではなく「スニーカーを履こう」とすることで継続的かつ自然な歩数増加を促す。
●お金がかからない
スニーカーは既に所有または比較的安価で購入可能。県も低予算(ポスター印刷代など30万円程度)で推進。

スポーツ庁長官 企業部門 優秀賞

株式会社NTT東日本-関信越

3つのアプローチで進める健康経営の推進

「社員の安全・健康は事業運営上の最優先課題」という基本方針のもと以下3つの取り組みを実施。チーム対抗戦や家族参加などの工夫も盛り込み、31日31万歩(1日1万歩を31日継続)を456名が達成したほか、家族を巻き込んだ健康意識の向上(約300名が参加)、職場内コミュニケーションの充実といった成果を得た。
●自身の健康への意識を『高める』
検診受診や歩数などに応じてマイレージを獲得できる「NTT Kenpo Smart Life Park」を活用したウォークラリーを実施。
●自身の健康状態を『認識する』
文部科学省制定の「新体力テスト」に基づく体力測定と健康チェック(血管年齢・ストレスチェック)を実施。
●自身の健康にむけて『実践する』
呼気一酸化炭素濃度測定、粉塵計、風速計により、禁煙状況やビル内喫煙環境を可視化。

スポーツ庁長官 団体部門 優秀賞

社会福祉法人聖隷福祉事業団 浜松市リハビリテーション病院

“市民いきいきトレーナー”の養成とその活躍支援

浜松市認定のトレーナーを養成する「市民いきいきトレーナー養成講座」を2011年3月より開催。認知度アップやトレーナーの組織化も進展し、トレーナーによる体操教室にはのべ37,000人以上の市民が参加。この活動がトレーナー自身の生きがいともなっている。
●3段階からなる市民いきいきトレーナー
まずベーシックコース(現在までの認定数は484名)で運動学・解剖学などの専門的知識と同病院が考案した「浜松いきいき体操」を習得。その後の経験値に応じて、リフレッシュコース(306名)、アドバンスコース(39名)の受講も可能となる。
●市民目線の健康増進活動
受講対象者は55〜75歳の浜松市民。トレーナーは原則ボランティアとして、各地域で介護予防の重要性と自己管理の大切さを紹介し、幅広い年代が無理なく実践できる「浜松いきいき体操」の普及に務めている。

スポーツ庁長官 自治体部門 優秀賞

富山県

元気とやま!健康寿命日本一推進プロジェクト ─県全体で健康づくりに取り組む機運醸成─


下記のような取り組みの結果、平成28年の富山県の健康寿命は男性72.58歳、女性75.77歳となり、前回・平成25年と比べて男性1.63歳、女性1.01歳延伸。全国順位も男性8位、女性4位と大幅に上昇した。
●「富山県健康寿命日本一推進会議」を設置
経済団体や医療関係者、健康づくり関係団体などによる会議を3回開催。課題の共有と連携強化を図り、県全体で健康づくりに取り組む機運を醸成した。
●「楽しみながら」「継続して」運動習慣の定着に取り組む施策の推進
スマートフォン歩数計アプリを活用した健康ポイント事業、歩行数の増加とBMIの減少を目指す企業チーム対抗戦「100日健康運動会」などの実施。
●家庭と外食の両面から「日常生活」の中で食生活の改善に取り組む施策の推進
公立小中学校272校の給食パンを15%減塩、「野菜をもう一皿!食べようキャンペーン」、飲食店172店舗からなる「健康寿命日本一応援店」による普及啓発。

厚生労働省健康局長 企業部門 優良賞

・株式会社両備システムソリューションズ
みんなを幸せにする、 たくさんの健幸づくりプロジェクト
・ブラザー工業株式会社
健康が社員と会社を幸せに コラボヘルスで進める健康経営

厚生労働省健康局長 団体部門 優良賞

・鳥取県生活協同組合連合会
みんなでチャレンジ!! とっとり虹の健康コース
・コープデリ生活協同組合連合会
女子栄養大学の監修による弁当「からだ健やかシリーズ」の販売を通じた健康提案
・医療法人社団清幸会 行田中央総合病院
仲間力で職員の喫煙者を減らす Fresh Air Teamの取組

厚生労働省健康局長 自治体部門 優良賞

・茨城県牛久市
生涯かっぱつ!小学生チャレンジ!『朝ごはんに野菜のおかずを30日間たべよう』
・生駒市役所健康課
生駒市歩けば健康にあたる ─健康寿命 奈良県1位を目指して─
・健康ますだ市21推進協議会
住民と共に歩む健康ますだ市21の取り組み
・愛知県知多市
ラジオ体操に着目した地域の運動習慣・絆づくりを組織的に推進

厚生労働省保険局長 優良賞

・五光建設株式会社
サヨナラ メタボ!
・公益財団法人福岡労働衛生研究所
制度の枠を超えた健診環境づくり 新しい健診事業「あんさんぶる」

健康寿命を延ばす取り組みは「年代や立場を超えて」「継続する」のがポイント

健康づくりに求められるのは、年代や立場を超えて実践できる多様な取り組みだ。表彰式の後に行われた、ゲストによるトークセッションでも触れられており、フリーアナウンサー・枡田絵理奈さん(写真右、左の人物)による「母は50歳からジム通いを始め、父はウォーキング、96歳の祖母も自分の足で歩いている。プロ野球選手である夫には素材の効能を教えてあげて食事から健康を意識してもらっています」といった談話や、「学校での運動や市民スポーツなどを通じて健康行政に貢献していきたい」という鈴木大地スポーツ庁長官(写真右、右の人物)の話からも、それは明らかである。
健康づくりに求められるのは、年代や立場を超えて実践できる多様な取り組みだ。表彰式の後に行われた、ゲストによるトークセッションでも触れられており、フリーアナウンサー・枡田絵理奈さん(写真右、左の人物)による「母は50歳からジム通いを始め、父はウォーキング、96歳の祖母も自分の足で歩いている。プロ野球選手である夫には素材の効能を教えてあげて食事から健康を意識してもらっています」といった談話や、「学校での運動や市民スポーツなどを通じて健康行政に貢献していきたい」という鈴木大地スポーツ庁長官(写真右、右の人物)の話からも、それは明らかである。
とりわけ今回注目を集めたのは、最優秀賞に輝いた住友生命の健康増進型保険「Vitality」だ。健康増進に取り組むきっかけと継続させるモチベーションを、本業である保険商品によって提供している点が素晴らしく、評価委員長を務めた永井良三・自治医科大学学長(写真右)からは「ストラクチャー(組織・体制)、マネジメント(管理・運営)、アウトカム(成果)という3つのポイントを重視して審査したが、これらに加えて『Vitality』は社会的インパクトと継続性の点でも優れていた」との講評が寄せられた。

住友生命が示した「本業で人々の健康増進に広く貢献する」という道筋が高く評価された意味は大きい。保険会社以外も「自社に何ができるか」と考える契機となるはずだ。もちろん自社従業員の健康増進も重要であり、今後『スマート・ライフ・プロジェクト』や『健康寿命をのばそう!アワード』は“健康経営”と“本業を生かした社会貢献”が両輪となって盛り上がっていくのではないだろうか。
また、冒頭で述べたように本アワードの最終審査では、永井委員長や「いきいき健康大使」を務めるプロスキーヤー・冒険家の三浦雄一郎氏(写真右)ら評価委員を前に、受賞候補者が直接プレゼンテーションを実施している。各企業や自治体が健康づくりに懸ける情熱をアピールする場としても定着しつつあり、受賞実績だけでなく、その“熱さ”もイメージアップにつながっている印象がある。

健康経営によって企業の業績が向上し、地域や社会への貢献も果たし、イメージアップも期待できる。『スマート・ライフ・プロジェクト』(http://www.smartlife.go.jp/)と『健康寿命をのばそう!アワード』に参加する意義は極めて大きいといえるはずである。来年の応募を目指して、今できることからでも活動を始めてみてはいかがだろうか。
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