このような就活動向を把握するため、HR総研と就活会議(就活会議株式会社)では、26卒学生を対象に2025年3月初旬時点の「就職活動」と「就職意識」に関するアンケートを実施した。本レポートでは、主に学生のキャリアイメージの違いによる「就職活動」と「就職意識」の動向に関する調査結果について報告する。
キャリアプランが明確な学生は4割程度、キャリア教育を受ける機会による違いも
まず、26卒学生の「自身のキャリアプランの有無」について見てみる。
本調査では、キャリアプランとは「将来の仕事や働き方の理想、社会人としてイメージする理想の姿などを実現するための計画」と定義している。
文系・理系ともに「ぼんやりとしたイメージは持っている」が最多で、それぞれ53%、49%と半数程度に上っている。これに次いで、文系では「明確に持っているが、行動はこれからである」が23%、「明確に持っており、実現に向けて行動している」が18%となっており、これらを合計した「明確に持っている」(以下同じ)の割合は41%と4割に上っている。理系では「明確に持っており、実現に向けて行動している」が25%で文系より7ポイント高く、「明確に持っているが、行動はこれからである」が19%となっており、「明確に持っている」は44%と文系と同様に4割程度に上っている(図表1-1)。
少なくとも「ぼんやりと」はキャリアイメージを持っている学生が9割以上とほとんどを占めるものの、「明確に持っている」といえる学生は多数派ではないようだ。
【図表1-1】文理別 自身のキャリアプランの有無

このようなキャリアプランの有無の状況を、「明確に持っている」学生群、「ぼんやりとしたイメージは持っている」学生群、「イメージを持っていない」学生群の3グループに分けて、これらのキャリアプランの有無別に、以降の調査結果の違いをみていくこととする。
「キャリア教育」を受けた経験のある機会については、「明確に持っている」と「ぼんやりとしたイメージは持っている」の学生群では「大学の授業で受けたことがある」が最多で、ともに44%と4割程度となっている。「明確に持っている」の学生群では次いで「大学入学以前に受けたことがある」が18%となっており、2割以下ではあるものの他2グループの1割未満より顕著に高い割合であることが分かる。一方、「イメージを持っていない」学生群では「受けたことがない」が最多で50%とちょうど半数に上っており、次いで「大学の授業で受けたことがある」が35%と4割未満にとどまっている。
したがって、キャリアプランを「明確に持っている」学生ほど、キャリア教育を大学やそれ以前に受ける機会に恵まれていたという傾向が見られている(図表1-2)。
【図表1-2】キャリアプランの有無別 「キャリア教育」を受けた経験のある機会

次に、長期的なキャリアプランの実現に向けた行動に対する不安感の状況をキャリアプランの有無別に見てみる。
いずれのグループにおいても「ややある」が最多となっており、特に「ぼんやりとしたイメージは持っている」学生群では55%と6割近くにも上っている。また、「大いにある」は「明確に持っている」学生群では50%、「ぼんやりとしたイメージは持っている」学生群では13%、「イメージを持っていない」学生群では25%と4分の1に上っており、「イメージを持っていない」学生群での割合が最も高くなっている。ただし、「大いにある」と「ややある」を合計した「(不安が)ある」の割合は、「ぼんやりとしたイメージは持っている」学生群で68%と7割近く、次いで「明確に持っている」学生群で62%と6割、「イメージを持っていない」学生群で55%と6割近くとなっており、イメージを持っている学生の方が持っていない学生より不安感を持つ人が多い傾向が見られている(図表1-3)。
自身の将来に対する理想のイメージを持ったからこそ、それを実現するために行動する中での不安や、どのように行動すべきかわからないなどまだ動けていない自分への不安も、より明確に抱きやすくなるのだろうか。
【図表1-3】キャリアプランの有無別 長期的なキャリアプランの実現に向けた行動に対する不安感

仕事に専門性を活かしたい意向、キャリアプランが明確な学生の7割近く
自身の専門性を活かして働くことへの意向については、まず文系と理系で違いを比較してみる。文系では「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が最多で35%、「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」の12%と合わせた「専門性を活かしたい」(以下同じ)の割合は47%と半数近くとなっており、専門性にこだわらない学生も半数程度以上いることがうかがえる。一方、理系では「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が最多で38%と4割近く、次いで「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」が30%で、「専門性を活かしたい」が68%と7割にも上っている。したがって、文系より理系の方が「専門性を活かしたい」とする学生の割合が顕著に高いことが分かる(図表2-1)。
【図表2-1】文理別 自身の専門性を活かして働くことへの意向

続いて、キャリアプランの有無別に見てみると、「専門性を活かしたい」は「明確に持っている」学生群では65%、「ぼんやりとしたイメージは持っている」学生群では54%、「イメージを持っていない」学生群では30%となっており、キャリアプランが明確な学生ほど仕事に専門性を活かしたい傾向が顕著となっている(図表2-2)。
【図表2-2】キャリアプランの有無別 自身の専門性を活かして働くことへの意向

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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研×就活会議】2026卒学生の就職活動状況に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、就活会議(就活会議株式会社)
調査期間:2025年3月6~8日
調査方法:WEBアンケート
調査対象: 2026年卒業予定の「就活会議」会員学生
有効回答:294件
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Eメ‐ル:souken@hrpro.co.jp
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