94歳現役人事コンサルタント、梅島みよが行く第5回 本部から現場へと横浜地区への転勤 | 採用、育成・研修、労務・人事に関する情報ならHRプロ

人事にプロのサポートを―新卒採用、中途採用、人材育成、研修、人材マネジメント、労務、人事システム、適性検査ならHRプロ

  • 大学と企業の合同相談会2018<2018.6.18開催>
94歳現役人事コンサルタント、梅島みよが行く

第5回 本部から現場へと横浜地区への転勤

株式会社マネジメント サービス センター 顧問 梅島 みよ
2018/04/12

人事部で、未熟な教育コンサルタントとして働いていた3年目のある日、上司から横浜地域へ転勤を命じられました。横浜地区は、追浜から川崎までと範囲も広いうえ、そこの各キャンプで管理者訓練が実施されていたのです。転勤後の私の最初の仕事は、横浜港で働く沖仲士のリーダーを対象とする管理者訓練でした。
会場に行くと、恰幅の良い逞しい海の男達が座っていました。その頃は朝鮮戦争が終わったばかりで、現地で戦死した米兵の遺体を運んでくる大きな船を、沖仲士達はタグ・ボートで桟橋まで曳いて来る仕事をしていました。管理者訓練の対象者は、その沖仲士達のリーダーでした。

教壇に立って見回すと、成る程、怖いような威厳のある男達が座っています。年齢は私より遥かに上の50歳前後、仕事経験も豊富な集団と思われ、その威圧感から教壇に立っていてもおのずと足が震えてしまいます。「30歳の小娘が、何を教えられるのだ?」。彼らの顔は言葉に出さずともそう語っています。

でも仕事です。やるしかありません。私は決心して恐る恐る、でも大声で言いました。「私はここに管理者訓練講師として来ました。そして、ここに新しい管理手法のテキストを持っています。ここに述べてある理論をきちんと皆様に伝えますが、実際の管理者経験は全くありません。でも懸命に伝えますから、皆様はご自分の経験と実績で、それに血や肉を付けて、補って聞いてください」。

すると、メンバーの中で特に大きくガッシリした男前の人が「気にいった。ネエちゃん。」と声を掛けてくれ、続いて全員の大きな笑い声に包まれました。「助かった!!」。私はホッとして肩で息をつき、胸が一杯になりました。

後で分かったのは、このとき声を掛けてくれたのは、キャプテン・乙部という、グループ中の大リーダーでした。彼の一言のおかげで、参加者達は優しい笑顔でいてくれ、やっとのことで私は初舞台を務めることができたのです。今になって振り返ってみれば、懸命に伝えるとは言ったものの、私の事前の勉強は不十分でした。しかし、その時思ったのは「初舞台は怖いが、逃げてはいけない。包み隠さず素直に、怖さも白状して、心を込めて言うこと。格好をつけることは無い」ということでした。

コンサルタントは参加者より未熟で物知らず、という場面は多いのです。そういう時でも、ありの儘の自分で、与えられたテーマを真剣に勉強し、仕事に取り組むことが大切です。その後も多くのコースで失敗経験を重ねましたが、結果としてそれが私の成長に繋りました。
  • 1

プロフィール

株式会社マネジメント サービス センター 顧問 梅島 みよ

1924年、静岡県出身。1944年津田英学塾卒業。在日米陸軍司令部(訓練課)で管理者訓練トレーナーとして勤務した後、日立製作所を経て、訓練コンサルタントとして独立。1966年には、米軍時代の仲間と共に経営・人事コンサルタント会社である株式会社マネジメント サービス センター(MSC)を設立。同社社長、会長を経て、現在は顧問を務める。日本における経営・人事コンサルタントのパイオニアとして知られている。


梅島みよ氏 著書『今を生きる90代女性のビジネス・ライフ』

関連リンク

  • 人材育成コラム-プロが教えるコツとポイント-

    自己成長する新入社員を育てるための内定者フォロー・内定者教育の在り方

    新入社員教育、内定者教育、内定者フォローの在り方は時代の変化に合わせて常に変革する必要があります。今回は自己成長できる人材を育てるために非常に大切な、内定時代から入社3年間のゴールデンエイジの教育の在り方についてご紹介します。

  • 大学の就職支援室からみた新卒採用

    第66回 優秀な人材とは??

    今、採用活動は選考シーズン真っ盛りですよね。早い学生はすでに就活を終えていたりもするのですが、そんな中、今回は「優秀な人材とは?」というテーマでお話を進めていきたいと思います。

  • 特別読み切り

    今年度“就活生”に見る新しい傾向と、それに応じた新しいアプローチへ。

    今年の就活学生には、これまでとは明らかに違う「傾向」を感じる。売り手市場による「余裕」も、その理由であるが、「消費マインド」による就活が確立したとみても良いかもしれない。このような「消費マインド」による就活学生に対して、企業側も、選考の視点を変える必要があるのでないだろうか。

  • 人・組織にかかわる調査報告『人材開発白書』

    なぜ部下が育たないのか〜部下育成に必要な3つの観点〜(後編)

    社会人は業務経験を通じて成長していきます。また、経験を通じて成長するためには、“他者”という触媒が欠かせません。とはいうものの、単に他者との接点を増やすだけでは、意味がありません。若手・中堅社員が成長できる“かかわり”とは、どのようなものなのでしょうか。また、そうした“かかわり”を育む組織は、どうすれば作れるのでしょうか。国内企業37社の若手社員2,304人への定量調査結果をもとに、周囲とのかかわりを通じて部下を成長させる方法を説明します。

  • 人材育成コラム-プロが教えるコツとポイント-

    コンプライアンス教育の在り方

    コンプライアンス教育は得てして捉えどころがなく、企業が苦労しているテーマの一つです。今回は、特に若年層のコンプライアンス教育について、その在り方やツールをご紹介します。

  • 働き方改革 実現への切り札とは? 〜インセンティブ制度がもたらす企業と社員のWin-Winの関係〜

    第4回 働き方改革の切り札とは?〜インセンティブ制度の導入による給与体系の変革〜

    3月1日の日本経済新聞・朝刊で、働き方改革関連法案から裁量労働制の対象拡大部分を削除することが報じられた。具体的には、課題解決型提案営業と裁量的にPDCAを回す業務に従事する労働者を裁量労働制の対象に加えることを断念したということであり、経済界からは失望の声が相次いでいるという。個人的にはある程度予測できていたのだが、そもそも可決されたところで根本的に働き方は変わらないと思っていたのは私だけだろうか?何年も先に施行される規制緩和を期待するより、むしろ今ある制度を最大限に活用することが、企業の生産性向上に必要なことではないだろうか?