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HRサミット2013講演レポート

「教えることを科学する」 〜研修開発の際の7つのポイント〜

HRプロ 事務局 セミナーレポート
2013/07/01

主役は講師ではなく学習者。教えるとは学習者に考えさせ、変化させること。

「教えること」の大切さが忘れられている

経営学習論の分野で「『大人の学び』を科学する」をテーマに研究しているが、今、書いている本のひとつに「研修開発入門」というものがある。執筆にあたって、近年の学習研究の知見を総括して「教えること」の7つのポイントをまとめたので、今日はこれをお話ししたい。

 まず、「教えること」とは何か。「教える」というと、「いまさら『教える』なの?それよりOJTでしょ?ワークショップでしょ?」と言う方が多いかもしれないが、あえて、ここに原点回帰したいと最近強く思っている。なぜなら、いま、人材育成の「振り子」が2つの極に揺れすぎていて、「教えること」の大切さが忘れられていると感じるからだ。1つ目は研修でなんか学べない、全ては業務経験しかないという「OJT・経験極」。2つ目は教えちゃだめ、気づかせることが大事だという「ワークショップ極」。しかし、OJTもワークショップも「学びの偶発性」に依存していて、要するにとても時間がかかる。効率を考えるならば「教えること」を躊躇する必要はない。
 また、社会的な文脈から見ると、企業の人材育成では、リーマンショック以降、コスト削減のなかで「研修の内製化」が進み、社内で研修開発を行う動きが高まっている。だが、講師になる社員は、「教えることなんて簡単。誰でもできるよ。しゃべっときゃいいんでしょ」というように考えていることが多いようだ。本当にそうだろうか?

 そこで、皆さんに、今「いくつかの問題」を考えて欲しいと思う。教える方法として、どちらかが適切だろうか? どちらの学習効果が高いだろうか

 (参加者は解答を考え、ディスカッション)

 人は誰もが被教育経験を持っているため、教えること、学ぶことは知っていると思っている。だが、学術の世界では、よく教えること、よく学ぶことのためにはこうすればいいといった科学的研究を行っている。その成果を知ると、皆さんの研修もよりよくなるのではないかということだ。
 前段が長くなったが、「教えること」とは何か。通常の「教える」イメージは、講師が話し、学習者が聞くこと。いいイメージはあまりない。しかし、ここで考えておきたいのは、「教えること」のためには、大切にしたい「2つの軸」があるということだ。手法は何でもいい。聞く、話し合う、活動するなど、多様な学習方法を現場に合わせて活用すればいいが、1つ目の軸は、学習者に「考えさせること」、2つ目の軸は、そのことで学習者に「変化」をもたらすこと。どういう意味かというと「学習者中心主義」、すなわち、教えることの主役は「教師」ではなく「学習者」だということだ。考えさせること、変化させることが大事なのだから、考えさせるための「情報伝達」はOK 。教えるときは自信をもって教えていい。ただし、教師が教えたつもりでも、学習者が考えず、変化しなかったら、教えたことにはならない。だから、実は、教えたかどうかは教え手には決められない。こういう考え方が、いま一番ホットな考え方になっている。

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    講師

    • 島村 公俊氏

      島村 公俊氏

      講師ビジョン株式会社 代表取締役

      2001年、人事系のコンサルティング会社などを経て、2006年ソフトバンク株式会社(旧ボーダフォン)入社。全国の代理店ショップの店長向けにコーチング研修を導入し、退職率低減に寄与。社内表彰される。2007年人事本部人材開発部へ異動。ソフトバンクユニバーシティ設立において研修の内製化を推進し、内製コンテンツの開発および、100名を超える社内講師の育成へ貢献。2013年アメリカの教育団体よりアジア初としてPike’s Peak Awardを受賞。翌年、日本HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞を受賞。2015年より講師ビジョン株式会社を設立し、教え、学びあう文化をつくることを目的に、内製研修の開発支援や社内講師トレーニングを提供している。

    • 小野 琴理氏

      小野 琴理氏

      株式会社ファンケル ファンケル大学 教育企画部 教育企画運営グループ 課長

      2007年 株式会社ファンケルに入社。電話窓口部門への配属を経て、人事企画部門に3年半従事。 2013年 社内教育部門(ファンケル大学)の設立とともに、新入社員から役員層までの研修を行う部署の課長として、社内研修の内製化に積極的に取り組む。 2014年度1,000名を超える従業員を対象に実施した理念研修をきっかけに、従業員の特徴や傾向を把握。 その後、従業員の傾向に合わせた社内研修の構築を行い、2016年度は80%以上の研修を社内講師で実施し、年間のべ2,900名が受講。 また、反転教育の導入においても、企画から構築まで全て社内で完結させ、従業員の研修転移に貢献。 現在は、店舗・窓口部門共通の社内資格制度と教育プログラムの再構築に取り組む。

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      原田 謙太郎 氏

      株式会社ビームス 人事本部 人材開発部 係長

      1998年に日本電信電話株式会社(NTT)​へ新卒入社。2000年に株式会社ビームスへ転職。販売職から店舗マネジメントを経て、2011年に人材開発部へ異動。現場での育成実績を活かし、キャリア自律とリーダーシップ開発をリンクさせた年次研修制度や、経験学習に紐づいた5者面談の仕組みなどを構築。2015年には青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムを修了し専門性を高める。現在は人材開発部の責任者として、大学や他組織との連携など、これまでの研修施策だけにとらわれない、新しい人材育成の可能性にチャレンジしている。

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      江上 茂樹氏

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      1995年に東京大学経済学部卒業後、三菱自動車工業株式会社に入社し、川崎工場の人事・労務部門に配属。2003年のトラック・バス部門分社に伴い、三菱ふそうトラック・バス株式会社へ移籍し、人事・採用・教育を担当。途中、CEOアシスタントを経て、2007年人事・総務本部組織戦略部長、2008年開発本部開発管理部長、2010年人事担当常務人事・総務本部長(兼ダイムラートラックス・アジア人事責任者)を歴任し、独ダイムラー傘下となった同社の人事制度のグローバルスタンダードへの転換を図った。2015年11月サトーホールディングス株式会社最高人財責任者(CHRO)に就任。2016年7月同社執行役員。2017年4月北上事業所長を兼務。

    • 山下 茂樹氏

      山下 茂樹氏

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      1985年立教大学社会学部卒業。キヤノン、モービル石油(現エクソンモービル)にてセールス&マーケティング業務に従事。1998年よりGE横河メディカルシステム(GEYMS)でサービスマーケティングマネジャーとして画像診断装置のサービスビジネスに従事。2000年南カリフォルニア大学MBA取得を節目に、キヤリアをセールス&マーケティングから人事、人材開発に転換。GEYMS、メリルリンチHRリーダーシッププログラムを経て、2002年より、日本イーライリリーにおいて幅広い事業領域でのHRビジネスパートナー及び人材開発、組織開発、社内広報を歴任。シーメンスでのHRビジネスパートナーを経て、2012年より、MSDにて次世代リーダーの採用、育成、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、後継者育成計画等のタレントマネジメント業務を歴任。2017年7月より現職。MBTI認定ユーザー(2007)、CTI認定コーアクティブコーチ(2012)、立教大学GLP兼任講師(2017)

    • 須東 朋広氏

      須東 朋広氏

      多摩大学大学院 経営情報学研究科 客員教授

      2003年、最高人事責任者の在り方を研究する日本CHO協会の立ち上げに従事し、事務局長として8年半務める。 2011年7月からはインテリジェンスHITO総研リサーチ部主席研究員として日本的雇用システムの在り方の研究から中高年の雇用やキャリア、女性躍進、障がい者雇用、転職者、正社員の研究活動を行ってきた。 2016年7月から、今までの研究活動から組織内でなんらかの理由で声を上げられない社員が、イキイキ働くために、一般社団法人組織内サイレントマイノリティを立ち上げる。 同社代表理事として現在に至る。そのほか、専修大学 非常勤講師、HR総研 客員研究員を兼任。

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    講師

    • 井上 陽介

      井上 陽介氏

      株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム マネジング・ディレクター

      消費財メーカーに従事後、グロービスにて企業向け人材コンサルティング、名古屋オフィス新規開設リーダー、法人部門マネジング・ディレクターを経て、デジタル・テクノロジーで人材育成にイノベーションを興すことを目的としたグロービス・デジタル・プラットフォーム部門を立ち上げ責任者として組織をリードする。