職場要因が研修成果に果たす役割の大きさ

「教えることを科学する」
さらに「原則5:学習環境をデザインする」。特に大事なのは、インタラクティブにやりとりしながら学習する環境だ。たとえば、テーブルや椅子が可動式だとグループ学習やワークをやりやすい。一方向ではなく双方向で学ぶ方が学習効果は高くなる。このことはすでに多くの研究で実証されている。
 さて、「原則6:研修前後をデザインする」だが、2000年代の経営学習論の最大の特徴は、研修事前・事後の職場要因が研修成果に果たす役割がいかに大きいかを認識したことだ。ここでまた、近くの方と考えてほしい。成果につながる研修の成功要因を分析したとき、「1:現場での事前準備」「2:研修中の学習」「3:現場での事後の適用」は、それぞれ何パーセントくらい成功に寄与するだろうか?

 …正解はこうだ。「1:40%」「2:20%」「3:40%」。研修の効果は研修の事前と事後でかなり決まってしまう。だとするなら、職場の人にどう乗ってもらうかを考えることは大事だ。

 最後は「原則7:学び続けることを支援する」。大人が学んだことは、そのままでは忘れられてしまうから、リマインダーが必要だ。ここ数年、僕が日本生産性本部との共同研究のすえ、開発に携わったマネジメント研修「マネジメントディスカバリー」は、管理職に成り立ての方向けのフォロー研修だ。こちらの研修では、1年後に向けたアクションストーリー=目標達成の物語を作ってもらい、それに合わせてメールなどでリマインダーを行っている。また、研修後、ともに学び続ける仲間のつながりを作ることも大事になる。そこに関する目配りも行う。

 以上、7つの原則をお話ししたが、どんな感想を持たれただろうか。「教えること」は教えることができると僕は思っている。皆さんの会社で社内講師育成プロジェクトといったことを始めるときは、参考にしてほしい。

講演者 紹介

中原 淳氏
東京大学 総合教育研究センター准教授。
1975年生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、マサチューセッツ工科大学客員研究員などを経て現職。「大人の学びを科学する」をテーマに企業・組織における人々の成長・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は職場学習論、学習支援学。『企業内人材育成入門』、『ダイアローグ 対話する組織』(いずれも共著・ダイヤモンド社)など著書多数。働く大人の学びに関する公開研究会Learning barなど各種ワークショップを自らプロデュースしている。

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