第10回:フリーランスがお薦めする「モチベーションや利益を下げない在宅ワーク」のコツ

その働き方改革は利益が出るのか【連載】

昨今のさまざまな環境の変化で、読者の皆さんの中にも、在宅勤務や時差出勤、そしてテレワークなどの働き方にシフトをしなければならなくなった方たちもいらっしゃると思います。中には、「通勤電車に乗らなくて済む」、「自分のペースで仕事ができる」とポジティブにとらえている人もいるかもしれませんが、経営側は現状をポジティブにとらえることはできないでしょう。

周囲に「働いている人」がいない状態でどこまで自分を律せるか

なぜなら多くの会社のビジネスモデルは、在宅ワークなどを前提、想定したものではないため、この状態が続くと、売上や利益もおのずと下がることは明白だからです。また、未だに日本の企業は「週休2日、フルタイム出社」が前提の会社が圧倒的に多く、経営者もそれを好む傾向があります。つまり、こうした有事の勤務体系に、経営者も、社員も、慣れていないのです。

経営者は「在宅勤務にして社員はきちんと働いているのだろうか」という発想になるでしょうし、社員も「会社で働く以上にモチベーションが上がって作業量をこれまで以上にこなせるようになった」という人はやはり少ないのではないかと思います。

なぜなら私自身が会社員から独立してフリーランスになった際に、会社員時代のように、がむしゃらに働こうと思っても、在宅ではなかなかそのようにできなかったからです。やはり「周囲に働いている人がいる」という環境は大きいのです。

フリーランスの人たちの中にもわざわざカフェで仕事をする人がいるように、多くの人は周囲が仕事をしているほうが仕事のやる気が起きやすく、その環境から外れてしまうと、なかなか仕事のモチベーションはあげづらいのではないかと思います。

そこで今回は、私のフリーランスの経験から、在宅ワークでも仕事のモチベーションを維持する方法をいくつか取り上げてみたいと思います。

<3つのポイント>
・自分自身が自分の上司になる
・自分でご褒美のニンジンをぶらさげる
・今日1日やることを書き出し、終わったら都度消していく

自分を奮い立たせる「ルール」を作ってみよう

・自分自身が自分の上司になる
自宅には仕事のパフォーマンスや集中力を下げようとする誘惑が溢れています。リビングや冷蔵庫にあるテレビやお菓子、飲み物。ベッドサイドにある読みかけの漫画や雑誌。そして手元にはスマートフォン……。上司がいれば、このようなものに手を伸ばすことはなくても、自宅にはその上司はいませんから、仕事を始めてしばらくして「ああ疲れた」、「集中できない」、「この作業面倒くさいなあ」となった瞬間に、それらのものに触手が伸びてしまうのです。そしてそのまま1時間、2時間、と経過していくこともあります。自宅で仕事をするというのは、数日だけの話ならいいのですが、継続して行うというのは想像しているよりもモチベーションの維持方法が大切になります。

私の場合は、自分自身が自分の上司になったと仮定して、その日一日の自分の仕事ぶりを評価するようにしています。そうやって、「今日は仕事の合間にワイドショーを見てお菓子を食べ、挙句に予定していた量をこなせなかった。集中力の欠けた一日だったな」と客観的に評価することで、いかに自分が「弱い人間か」ということを自覚することができます。

これが仮に何も振り返りがないとすると、「ああ今日も全部終われなかったな。まあいいか。上司も見ていないし、会社から連絡もないし、叱られないし」で終わりです。これを繰り返すと、完全に堕落した人間になっていきます。そして徐々に今もらっている給与と能力が見合わなくなっていきます。

会社はいつでも社員を評価しています。だらだら自宅でやり過ごす社員がいる一方で、これがチャンスとばかりに、自宅で自分のアイデアや企画書をまとめて、こっそり役員に提出している人もいるはずです。職場でそのようなことをしたら、同僚や先輩に見つかって嫉妬されたりするかもしれませんが、在宅勤務ならそのような心配も不要です。私が会社員なら、この機会を逃さずにチャンスととらえて、自分をアピールすると思います。

職場ではよくも悪くも上司や周囲が小言を言ってくれますが、自宅では自分の仕事ぶりは誰も管理してくれません。自分でするしかないのです。楽をしたり手を抜いたりすると必ずその反動はきますので、自分で自分を客観視する習慣を持つことは在宅ワークでは特に大切です。

・自分でご褒美のニンジンをぶらさげる
私自身、未だに「こんなにも在宅ワークで仕事のモチベーションを上げるということは大変なのか」と痛感している一人です。そして試行錯誤した上に、一つ続けている習慣として「自分で自分にニンジンをぶらさげる」というものがあります。

私は甘いものが好きで、特にチョコレートが大好きです。ある時、フランス人の友人が、帰省土産にチョコレートを買ってきてくれました。それがとてもおいしかったのですが、フランスのチョコレートは1粒がとても高価です。だから1日分の仕事の目標を終えた時に一粒食べるルールにして、自分のモチベーションを維持していました。

今は転じて、このような文章を書く仕事の際は、そのため用にわざわざ高いチョコレートを自腹で買い、原稿を書き始める前に一粒チョコレートを食べ「高価なチョコレートを食べてしまったのだから、今日必ず原稿を仕上げるぞ」と決意して、パソコンに向かって必ずその日に終わらせるようにしています。

「作業的な仕事は、やり終えた後にニンジンを」、「創造しなければいけない仕事は、考え始める時にニンジンを」というように、自分で自分にルールを課すことによって、モチベーションをコントロールするのもいいと思います。

・今日1日やることを書き出し、終わったら都度消していく
頭の中で、「今日はこれとこれをやって、あとはあの人に連絡をして……」と思っていても、会社ではそのやり方で十分できていたものが、自宅で作業をしていると、実はなかなかできないものです。気づいたら「あれ、もう17時……じゃあ、締め切りはあさってだし、また明日やればいいか」となり、1日があっという間に過ぎてしまうのです。

私の場合は、その日に終わらせなければいけない仕事、早めに終えておきたい仕事は、必ず付箋やメモに手書きで「やることリスト」として項目をわざわざ書き出して、パソコンの端や玄関にタスクとして貼っておきます。そして一つ終わるごとに二重線で消していきます。頭の中だけでなく、実際に可視化してタスクを目視することで、まず作業にとりかかることがしやすくなり、そして終わったら、実際に手を動かしてタスクを消していくことで、作業の達成感と「次にとりかかろう」という集中力を維持することができるのでおすすめです。在宅ワークは自分が思っている以上に身体を動かさず、また人と喋る機会も激減するので、自分で身体的な動作をする機会を作っていくとメリハリがつくと思います。



全て自分の経験からくる「自己流」ですが、どれか一つでも参考にしていただき、仕事のパフォーマンスを維持して「利益を下げない在宅ワークの働き方」の実践につながれば幸いです。
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著者プロフィール

流創株式会社 代表取締役 経営コンサルタント/作家 前田 康二郎

数社の民間企業で経理総務、IPO業務、中国での駐在業務などを経て独立。現在は「フリーランスの経理部長」としてコンサルタント活動を行うほか、企業の顧問、社外役員、日本語教師としての活動、ビジネス書やコラムの執筆なども行っている。著書は『AI経理 良い合理化 最悪の自動化』のほか、『スーパー経理部長が実践する50の習慣』、『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』、『伸びる会社の経理が大切にしたい50の習慣』『経営を強くする戦略経理(共著)』、『スピード経理で会社が儲かる』、『ムダな仕事をなくす数字をよむ技術』、『自分らしくはたらく手帳(共著)』など多数。節約アプリ『節約ウオッチ』(iOS版)も運営している。また、2020年6月26日に新著『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』が発売された。

流創株式会社
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