昨年末、スターウォーズ フォースの覚醒を見て来た。忙しい最中に。グレーな脳味噌が煮詰まってSOSを発していた。今だ、と映画館に飛び込んだら、3Dバージョンの時間帯だった。
久しぶりである。 突然、懐かしいサウンドと共に、異空間に浮遊した。3D用の眼鏡は、宇宙人への変身を約束してくれる。 あっという間の130分余の宇宙旅行だった。スピード感、ダイナミックな映像は、2、3日残像が消えなかった。映画の中のフォースは超能力のように扱われているが、それは“自分を信じきる力”なのではないか、と登場人物たちのフォースの力比べからも、確信するようになった。
アラ還と思える、とある人物が長い眠りから目覚めるのだ。今後の展開にぞくぞくする一方、やりなおしもできるという心揺さぶるメッセージを受け取った。

映画と共に年を重ねた世代は、きっと密かな希望を感じたのではないだろうか。アラ還にして、なおも、呼び覚まされるものは何なのか。または、アラ還だからこそ、呼び覚さまされるものがあるのか。
フォースがそのようなものであるならば、自信を持つことで湧きあがるパワーが、人生を変えていく事例をお話したい。
覚醒の年

ある障害者の方の採用で気づいたこと

ある精神障害者の方の採用に関わった。 
働き始めた1年程は、本人・企業・サポートしてくれる方々、全員での試行錯誤が続いた。今でも、初めての人や新しい仕事など、環境変化があるときには都度丁寧な説明が必要であるが、緩い、しかしきちんと日や時間を決めた働き方に落ち着き9年余りにもなると、大きなサポートは不要になるほどになった。  

私自身もその方とのご縁で延べ何百人という精神障害を持つ方々と触れる機会を持ち、メンタルな障害は特別なものではない、という実感を持つに至った。私達誰もが持っている素質のうち、一部分が突出したり、弱かったりするだけなのだ、ということである。 
健常だとは思いこみに過ぎず、環境などが変化すれば、誰にでも表出する可能性を持ったものだ。

普通だと思い込んでいる私達は、ただ鈍感なのかもしれない。または、レジリエンスを身に付けているのだろう。

さて、その方が勤務に落ち着いてきたころ、「1人でお好み焼きを食べに言った」と言うので、「1人で?」と聞き返した。「お好み焼きを1人で食べに行くって、淋しくない?」と。

すると、「親にお金を下さい、と言わなくても、自分で働いたお金で、1人で食べにいけることがすごく嬉しい」と話したのだ。障害年金を受けてはいるが、自分で働いた成果を実感できること、生きている手ごたえを感じるのである。
私は、働いてお金を得る、という素朴な喜びを忘れていたことに気づき感動した。可能な範囲で社会参加し、働く環境づくりを実現する重要さを実感した出来ごとだった。
たとえ確固たる信念を持っていても、自分も環境も一時として同じ、ということはない。相対的に変化する環境に影響され、より信念を強めることもあれば、挫折することもある。

変化に対応できる個であることが、これからもっと求められるようになる。自分の現在地を知ることは、船出に必須である。 大まかな“私天気図”で個の状況をイメージしたものが、下図である。ストレスチェックや健康診断といった現在地を知るためのツールとあわせて、自分の強み・弱みを確認してみはどうだろうか。



激しい気象変動、スピードアップし複雑化する社会の変化が予測される今後に、柔軟な頭、体制、ツールを使いこなし、バランスを大切にした航海が求められる。

新しい年に、それぞれのフォースは覚醒を待っている。
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