「試用期間」とは、人材を採用する際に、勤務態度など、社員としての適性を評価判断するために設けられる期間のことです。新卒採用の場合には、3~6ヵ月程度としている企業が多いようです。

試用期間を設けること自体は法的に問題ありません。最高裁の判例では、採用するか否かを決定する際は、その従業員の資質、性格、能力といった適格性の有無に関連する事項について、必要な調査を行い、適切な判定資料を十分に収集することができないので、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保するために試用期間を設けることは合理的である、としています。ただし、試用期間を設ける場合には、就業規則や労働契約書(雇用契約書)に、その内容を明記する必要があります。

また、試用期間中における従業員と企業の関係は、「解約権留保付労働契約」が結ばれている状態とされます。企業によっては、試用期間中は仮採用、試用期間終了後に本採用としているケースも見られますが、解約権留保付とはいえ労働契約が結ばれているわけですから、試用期間終了後に本採用しないというのは解雇に当たります。

解雇は客観的合理性と社会的相当性の2つがなければ、法的に認められません。正当な理由となるのは経歴詐称、勤務態度の悪さ、出勤不良などで、「何となく合わない」「期待していた能力ではない」といった理由では解雇権の濫用とみなされます。また、通常の解雇と同じく30日前の予告か、予告手当の支払いが必要となります。

試用期間中は労働契約が締結されている状態ですから、当然、企業には、雇用保険、健康保険、厚生年間などの各種社会保険に加入させる義務があります。給与についても、いうまでもなく、支払いの義務があります。試用期間終了後の給与額とは別の金額を設定することは可能ですが、国が定める最低賃金を下回る額にすることはできません。