ディップ株式会社は2021年5月28日、「DXサービスの導入状況」に関する調査結果を発表した。調査期間は2021年4月2日~5日で、従業員規模50名以上の企業に所属する全国の22~69歳の男女1,000名から回答を得た。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大下における、企業のDXの進捗状況などが明らかとなった。
新型コロナの発生から1年以上が経過し、企業のデジタル化は加速したのか。規模別・部門別の状況を公開

DX化が進んでいる企業は2割未満。事業規模や部門でも感じ方に差が

新型コロナの感染症拡大により、企業のDX化が加速している。感染拡大から1年以上が経過した今、DX化はどの程度進んでいるのだろうか。

はじめに、「勤務先でどの程度DXができているか」と尋ねると、全体では「できていない」との回答が過半数を超え、51.3%に。一方「できている」は17.4%にとどまった。「できている」の割合を企業規模別で見ると、中小企業の11.4%に対し、大企業は23.4%と12ポイント高くなった。また、部門別では「営業・販売部門」が13.8%だったのに対し、「管理部門」が21%となり、7.2ポイントの差が見られた。
自社企業においてDX化が進んでいるか
さらに詳細に把握するために、「中小企業/営業部門」、「中小企業/管理部門」、「大企業/営業部門」、「大企業/管理部門」の4つの属性に分けて分析を行った。その結果、「DX化が進んでいない」が最も多かったのは、「中小企業/営業・販売部門」で67.6%に。以下「中小企業/管理部門」が51.2%、「大企業/営業・販売部門」が46%、「大企業・管理部門」が40.4%と続いた。この結果から、「大企業」よりも「中小企業」、「管理部門」よりも「営業・販売部門」でDX化が進んでいない状況が明らかとなった。
企業規模別・部門別に見たDXの導入具合

「導入済み」ツールには管理系が多く並ぶ

続いて「デジタルツールを導入済み」とした企業に、具体的なツールの種類を尋ねた。すると、第1位は「勤怠管理・Web給与明細などの労務管理ツール」で62.6%に。第2位は「経費精算・管理などの経理ツール」で55.5%、第3位は「予定管理・情報共有などのグループウェア・ポータル」で51.9%と、管理系のツールが上位3項目を占めた。
導入しているデジタルツール

ツール導入が進まない背景にはデジタル人材の不足が

また、「デジタルツールの導入が進まない」とした企業に対して「その理由」を尋ねると、最も多かったのは「ツール導入後の明確なビジョンを描けていない」(15.7%)で、以下「デジタル活用に長けた人材が不足」(15.5%)、「どのツールが良いのかわからない」(14.7%)と続いた。いわゆる“DX人材”と呼ばれる「デジタルツールに対する理解が深い人材」や「導入を推進する人材」の不足が、導入に向けたボトルネックとなっていることが浮き彫りになった。
デジタルツールの導入が進まない理由

導入効果は「手間の削減」が圧倒的

最後に、実際にデジタルツールを導入した企業に対し、「ツール導入の効果」を尋ねた。その結果、63.2%が「効果を実感している」と回答。そのうち、実感している効果の内容は「業務にかかる手間の削減」が53.3%と圧倒的に多く、以下「データ管理・分析の精度向上」が21.9%、「社員のデジタルリテラシー向上」が18.7%となった。「手間の削減」が最大のメリットと言える管理系ツールの導入が進んでいることに加え、対象者もそのツールを使いこなしているため、期待通りの成果を得られていることがうかがえる。
デジタルツール導入の効果
コロナ禍によりデジタルツールの導入が進むなど、「企業におけるDX化」は進展しているが、その導入状況には格差があるのが現状のようだ。今後さらに進むデジタル化にどのように対応していくか、DX人材の採用も含めて検討することが重要となりそうだ。

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