「経営戦略と人事戦略の連動」が重要視される中、人事に求められる役割はますます高度化・複雑化している。経営課題や事業課題に向き合いながら、人事としてどのように関わっていけばいいのか。そして、企業の持続的成長に対して、人事的な観点でどんな行動を起こすべきなのか。連載「先進企業の人事から学ぶ――経営課題や持続的成長へのコミットメント」の第5弾は、株式会社丸井グループで人事部長を務める原田 信也氏が登場。今回は、インタビュアーのノンピ取締役・経営企画本部長三浦氏が、手挙げ制の文化が浸透している丸井グループによる社員の「やらされ感」から「楽しさ」へシフトさせる仕組みのほか、人事としてのスタンスや人的資本経営を軸とした今後のチャレンジなどに迫った。

プロフィール

  • 原田 信也 氏

    原田 信也 氏

    株式会社丸井グループ
    人事部長

    1999年株式会社丸井(現丸井グループ)入社。店舗販売、売場責任者を経験後、本社にてアパレルのプライベートブランドのエリアマネージャー、バイヤーを担当。その後、お客様との共同開発商品企画、事業戦略担当、事業責任者を務める。2021年より人事部で人材開発課長、2024年より現職。「人の成長=企業の成長」という経営理念の下、社員の「好き」を応援し、「フロー」を体験できる人と組織づくりに取り組む。

  • 三浦 孝文 氏

    三浦 孝文 氏

    株式会社ノンピ
    取締役 経営企画本部長

    NTTドコモと電通のつくったモバイル広告会社のD2C、レシピサービスのクックパッドで人事を経験後、2017年に当時のオイシックスに入社。大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、シダックスとの経営統合プロセスを人材企画や経営企画の部長として経験。2024年2月からノンピへ出向し現職。
    ※ノンピの企業様向けケータリングサービス『EAZY CATERING』

社員の「やらされ感」を「楽しさ」へ変えていくため、開かれた人事組織を目指したい ――エピソード5:丸井グループ 人事部長 原田 信也氏

変化を前向きに受け入れるために、「やらされ感」ではなく「楽しさ」のある文化へ

三浦氏:本題に入る前に、まずは原田さんのこれまでのキャリアについて教えていただけますでしょうか。

原田氏:私は、1999年に新卒で当時の株式会社丸井に入社しました。就職氷河期の時代で将来が不確実な中、「変化に対応できる会社」で働きたいと考え、その可能性を感じた丸井を選びました。入社後は、まず販売の現場からスタートして、小売りと金融が一体となったビジネスを展開する丸井の自社運営売場で、接客やカードのご案内など、店舗運営の基礎を学びました。売り場責任者を経験した後は、商品開発や出店戦略、プライベートブランド事業の責任者など、さまざまなポジションを経験しています。人事部門には4年前に異動し、人材育成担当課長を3年間、そして現在は人事部長を務めています。

三浦氏:長く現場をご経験された上で、最近人事に異動されたのですね。原田さんは人事部長として、経営とのコミュニケーションの機会も日々増えていると思います。現在、特にフォーカスしている経営課題に対して、人事としてどう向き合っているのでしょうか。

原田氏:現在、経営課題に対して人事として意識している点は、大きく2つあります。まず1点目は、経営戦略と連動した人材戦略・人事制度を常に意識するということです。丸井グループでは「変化を嫌わず当然のこととし、前向きに変化を楽しめる組織を目指す」ことを掲げています。企業文化としても「やらされ感」ではなく「楽しさ」、「上意下達のマネジメント」ではなく「支援するマネジメント」というのを浸透させていっているところです。
社員の「やらされ感」を「楽しさ」へ変えていくため、開かれた人事組織を目指したい ――エピソード5:丸井グループ 人事部長 原田 信也氏

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