著者の小笹氏(現・株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役会長)は、「これらのバズワードに振り回されることで、手段が“目的化”している現状」に警鐘を鳴らしている。「企業が社会的な要請に応えようとするあまり、従業員の時間や労力が見えないコストとなって生産性を損ない、働く人の効力感や誇りまで奪う現実が待っている」と説く。
本書は、「会社とは何か」「組織はどうあるべきか」「働き方の本質とは何か」といった根源的な問いに、40年にわたり組織変革の現場をリードしてきた同氏が実践知と最新のファクトデータをもとにした“解”を示す内容になっている。
経営者や管理職はもちろん、人事・経営企画・IR・広報などのコーポレート部門、さらには次世代のビジネスパーソンにも示唆を与える、企業変革の「必携書」である。
【書籍情報】
書籍名:組織と働き方の本質 迫る社会的要請に振り回されない視座
発売出版社:日経BP 日本経済新聞出版
書籍発売日:2024年4月15日

▼内容紹介
「本質を見抜くことなく、表層的な流行に踊らされることは企業にとっても、働く人にとっても毒にこそなれ薬にはならない」
トレンドワードに捕らわれず“核心”を捉えよ!
組織変革の第一人者が、経営・マネジメントの“あるべき姿”を解説。
近年、企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化を続けており、今後の予測が極めて困難なため、「経営の中長期的な見通しがつかない」と言われるようになっています。その影響で、「各企業は世の中の潮流に乗るためにバズワードに飛びつくものの、いつの間にかその本質を見失い、『手段』が『目的化』してしまっているケースが多発している」と、著者は警鐘を鳴らしています。
「人的資本経営」「パーパス経営」「ジョブ型雇用」「自律分散型組織」「働き方改革」「女性管理職比率」「ダイバーシティ」……。実に多様なキーワードが広まり、国や社会からの要請も増えています。しかしながら、それらの本質を見抜くことなく、当面の対応をしがちになり、従業員の時間と労力は会社の見えないコストとして生産性を押し下げ、また対応した人間の仕事への効力感や誇りを奪っているケースが散見されると、著者は分析しています。
「このままでは、経営者や管理職層、働く人々が徒労感や無力感に襲われてしまうのではないかという憂いと、日本企業の国際競争力がさらに低下してしまうのではないかという危機感を抱くようになりました。私の過去の経験や現在の立場上、どうしてもこのまま世の風潮に対して沈黙していてはいけないという感情に突き動かされたのが、本書を執筆することになった理由です」と著者は語ります。
(出版社ホームページより/HRプロ編)
▼目次
第1章 会社・組織・マネジメントの本質1「会社」とは、いったいナニモノなのか
2「組織」の成立要件と存続要件
3「マネジメント」の本質的な役割
第2章 社会的要請の本質
1「女性管理職比率」の罠
2「人的資本経営」の真相
3「働き方改革」の困惑
4「日本版ジョブ型雇用」の正体
第3章 個人の働き方の本質
1「働く個人」は「投資家」である
2「ワークライフバランス」の落とし穴
3「キャリアデザイン」の幻想
4「副業・兼業」の是非
第4章 組織変革の本質
1「自律分散型組織」の限界
2「パーパス経営」の成否
3「ダイバーシティ」を深掘る
4「組織変革のメカニズム」を解き明かす
第5章 環境変化適応の本質
1「テクノロジーの進化と仕事」の未来を展望する
2「労働市場適応」のサバイバル
3「均衡状態に安住する」+「手段の目的化」という病
▼著者プロフィール
【小笹 芳央(おざさ よしひさ)】株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役会長
経営コンサルタント
1961年、大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材開発部、ワークス研究所主幹研究員、組織人事コンサルティング室長を経て、2000年に独立。同年、世界初のモチベーションにフォーカスしたコンサルティング会社、リンクアンドモチベーションを設立し、代表取締役に就任。行動経済学、社会システム論、心理学などを基盤にモチベーションエンジニアリングという独自の基幹技術を確立。大手企業から中堅中小企業まで幅広く組織改革の支援を行っている。2013年より現職。リンクアンドモチベーションは2008年に現東証プライム市場に上場。CVCとしても出資先企業多数、約半数がIPOまたはバイアウトなど驚異的な確率を実現中。
著書に『会社の品格』(幻冬舎新書)、『モチベーションマネジメント』(PHP研究所)など計27冊。累計発行部数は約100万部。
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