40~50代転職者の転職サービスへの登録が激増している中、「ミドル世代やシニア世代の人材を活用したい」という企業も増加しています。一方で、そうした世代の採用に際しての、「本当にうちに来てパフォーマンスを出してくれるのか」といった不安や、「期待していた役割を果たしてもらえなかった」「会社にうまく定着しなかった」といった失敗など、「痛い目」に遭う企業もまた増えています。今回は、ミドル・シニア層の、幹部候補となる世代の中途採用において注意すべき点や、採用してはいけないタイプ、またその見抜き方を紹介します。
40~50代の幹部クラス採用は、6つのチェックポイントで「採用ミス」を回避

40~50代幹部採用の面接で必ず聞きたい「3つの質問」

ここ最近、非常に増えているのが、短期(数ヵ月~1年以内)での再転職に踏み切る、「40~50代の幹部クラス転職者」です。皆さんの会社でも、採用にあたって転職サービスを活用しているかと思いますが、登録者を見ると、高い割合で「短期転職」をしている、もしくは「短期転職」をしようとしている人が見受けられるでしょう。中には短期転職を、一度のみならず複数回繰り返している人も急増しています。

短期転職の理由は様々ですが、転職者側から見た理由は、大きくは以下の3つに大別されます。

■入社後、実際の諸条件や職務内容がオファー時と異なっていた
■入社した会社の上長や経営者と相性が悪かった
■アサインされた職務の荷が重すぎた


転職者側も企業側も、選考プロセスの中でお互いに確認・チェックをしていたはずですが、こうした転職者側の事情による短期離職が非常に多くなっており、当社にもそうした方からの再転職相談が殺到しています。

中には、企業側の体制や体質に原因があるケースもあります。そうした部分は確認の上、万が一問題がある場合には、是正することをおすすめします。上記の通り、オファー提示条件と入社後の雇用要件を変えてしまったり、幹部陣にコミュニケーションや人格的な問題があったりといった状況を放置すると、今後の採用や会社の風評にも致命的な影響を及ぼします。
とはいえ、こうした短期離職の原因は、「採用選考時の人材チェックポイント」にあることは間違いありません。

当社では、クライアント企業各社に、面接時に以下の各項目について質問するようアドバイスをしています。

Q.1:転職動機
Q.2:現職(前職)の退職理由
Q.3:興味・志望の度合いや意向の中身


これに対し、避けるべき応募者の回答の特徴が、以下のようなものです。

A.1:転職動機を聞かれ、「年収」や「肩書」に関する回答をする
A.2:退職理由を聞かれ、現職批判を繰り広げる
A.3:志望度を聞かれ、漠然と「興味あります」と答える


上記3つに該当する40~50代転職者は、どれほど職歴が魅力的だったとしても、基本的に採用は避けるべきでしょう。

また、ミドル・シニア層の幹部クラス人材に必須で求めるべき「姿勢」、「考え方」、「行動パターン」には、以下のようなものが挙げられます。

(1)「自分が貢献し、成果を出せる場」を求めていること。また、「成果に対して、しかるべき評価をしてほしい(年収や肩書きは、後からついてくるもの)」という姿勢。
(2)退職の理由がネガティブなものであった場合(多くの場合、ネガティブな事象で退職する)、「自分がこうできればよかったのですが」という気持ちと考えがある
(3)応募先企業への具体的な興味、自分なりの仮説期待があり、それを明快に話せる


先ほど挙げた、「3つの質問」をしていただくことで、避けておきたい幹部人材なのか、もしくはぜひ入社して欲しい幹部人材なのか、あらかた判別がつくでしょう。ぜひ、参考にしてみてください。

「幹部人材の採用ミス」の確率を激減できるチェックポイント

さらに、追加で以下の3点についても確認しておくと、より入社後のミスマッチを回避できるでしょう。

Q.1:仕事に対する姿勢、考え方
Q.2:上司としての振る舞い
Q.3:これまでの歩みと、それが今後にどう影響しそうか


この3点に関して、「採用を見送るべき応募者」と「前向きに採用を考えるべき応募者」の違いは、以下の通りです。

【採用を見送るべき応募者】
A.1:前例踏襲主義(「前の会社・部署ではこうだった」という考えが根強い)
A.2:肩書的・年齢的な上下関係にこだわる
A.3:「前職で失敗して転職してきた」、「レベルダウンで入社してきた」といった意識から、負のオーラが出ている


【前向きに採用を考えるべき応募者】
A.1:具体的かつ未来志向の会話や、モノの見方ができる。これまでの成功体験に縛られず、「学びを重ね、チャレンジしていきたい」という気概を持っている
A.2:上下分け隔てなくフラットである。問題発生時に、部下に「精神的安定感」を与えられる
A.3:核となる成功体験がある。他の意見ではなく、「自分が何をやりたいか」をしっかり持っている


ここまでご覧いただき、おおよそ「どのような『考え方』『姿勢』『行動』を持つ人材を採用することが望ましいか」、「どのような候補者は避けるべきか」といったことが確認いただけたかと思います。

私は、幹部・リーダー採用においての前提として「『原因』志向であり、『DO』型の人材」を採用しましょうとお伝えしています。
40~50代の幹部クラス採用は、6つのチェックポイントで「採用ミス」を回避
40~50代の幹部クラス採用は、6つのチェックポイントで「採用ミス」を回避
選考中の採用候補者が、「結果」志向・「BE」型の人材ではないか、注意深く確認しておくことをおすすめします。

「結果」志向・「BE」型の人材が、「仕事が全くできない」ということはありません。しかし、「今後の会社の成長や変革を託したい」、「環境変化にも立ち向かい、チームを牽引してくれる幹部を迎えたい」という意向がある場合には、避けておいたほうがよいでしょう。

こういった人材は、何かマイナスなことがあると、すぐに問題から逃げてしまうようなことも考えられます。“同志”を求める経営者の皆さんからすれば、不本意な結果になるリスクの大きい人材であると言えます。冒頭に述べた、「短期離職してしまうタイプ」の中にも、これに該当する人が少なくありません。多大な労力とコストをかけて採用した幹部がそのような状況になっては、大きな痛手になってしまいますよね。

40代・50代の幹部クラスの採用が、会社の今後の経営において、「人材強化・活用」の面で大きなメリットとなることは間違いありません。

優秀な「幹部候補人材」が転職市場に多く存在していることを考えても、そのような人材の採用成功は、会社の成長や変革に大きく寄与してくれるでしょう。同時に、幹部クラス採用の失敗は、経営者にも関連部署全体にも、非常に大きなマイナスの影響を及ぼしかねないため、絶対に失敗が許されません。

最後に、中長期的に活躍・成長してくれる40~50代の幹部クラス転職者の見極めポイントを3つ挙げておきましょう。

◆「学習力がない人」ではなく、「学習力と学習欲の高い人」
◆「能力主義な人」ではなく、「成果主義の人」
◆「言う人(野党人材)」ではなく、「やる人(与党人材)」


40~50代の幹部クラス人材であっても、入社後に継続的に成長していってくれる人でなければ、会社としても困ってしまいます。いわゆる、「リスキリング力」がある幹部の採用が重要です。そして、なにより「成果にこだわりアウトプットを出せる人」、「常に改善・改革をリードしてくれる人」であることが必須です。

今がチャンスの「40~50代の幹部クラス採用」を、ぜひ成功させ、皆さんの会社の非連続的成長が叶うことを願っております。
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