“強い個性”が集うソニーグループ。その情報システム部門として、デジタル変革を牽引するソニーグローバルソリューションズ株式会社。同社では、経営課題や現場社員の声を動機として、社員同士が能動的に繋がり学び合う仕組みづくりに取り組んでいる。HRテクノロジーを通じて、多様な個性をデータ化し、人的ネットワークを生み出す取り組みを通じて、「繋がり資産」を全社的に蓄積・共有する文化の醸成を目指している。今回、この取り組みが、「第7回 HRテクノロジー大賞」で『大賞』を授賞した。その記念講演として、前半はソニーグローバルソリューションズ株式会社 人事総務部・人事1課 統括課長 春原 将俊氏に取り組みの原点となったことや成功に導いたポイントをお話しいただき、後半では慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授/山形大学学術研究院 産学連携教授 岩本 隆氏とディスカッションを行った。

第7回 HRテクノロジー大賞『大賞』

ソニーグローバルソリューションズ株式会社

知と経験のダイバーシティをHRテクノロジーで実現
~多様な個性のデータ民主化で、能動的な繋がりと学び合いを生むEmployee Experience~

人事情報の活用は人事や組織上のマネジメントに限られることが多い中、社員同士が未知の繋がりに気づき、新たなネットワーク作りができるような仕掛けを施した独自アプリ『TALENT NETWORK』を構築。社員の担当業務や保有スキル、各職場で取り組める業務や学び、個人の趣味までを社内公開することにより、動的な人材ポートフォリオに基づくリスキルや学び直し、社内異動といった社員の主体的なキャリアアップを支援するなど、『TALENT NETWORK』は既製の人事SaaSシステムだけでは対応しきれない会社特有のニーズに柔軟に応えるための優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 春原 将俊 氏

    春原 将俊 氏

    ソニーグローバルソリューションズ株式会社
    人事総務部・人事1課 統括課長

    デジタルコンテンツを配信するITベンチャー企業を経て、2007年ソニーグローバルソリューションズ株式会社入社。HRBP、人事制度企画、パフォーマンスマネジメント、海外事業所の人事制度改革プロジェクト等を経験。2015年シンガポールに駐在し、ソニーのIS(情報システム)体制グローバル化のため組織設計・人事制度の企画から導入、運営まで実行。2018年5月より現職。新卒採用、人材育成、主にグローバル組織のHRBPを統括。
  • 岩本 隆 氏

    岩本 隆 氏

    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授/山形大学学術研究院 産学連携教授

    東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。 日本モトローラ(株)、日本ルーセント・テクノロジー(株)、ノキア・ジャパン(株)、(株)ドリームインキュベータを経て、2012年6月から2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より山形大学学術研究院産学連携教授。2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。 (一社)ICT CONNECT 21理事、(一社)日本CHRO協会理事、(一社)日本パブリックアフェアーズ協会理事、(一社)SDGs Innovation HUB理事、(一社)デジタル田園都市国家構想応援団理事、「HRテクノロジー大賞」審査委員長、HR総研アドバイザーなどを兼任。 2020年10月にISO 30414リードコンサルタント/アセッサー認証取得。
「知と経験のダイバーシティ」実現に向けた、データ活用による“多様な人材の繋がりや学び合い”を生む『Employee Experience』とは

テクノロジー活用による能動的な繋がりと学び合いを生む『Employee Experience』の取り組みとは
ソニーグローバルソリューションズ株式会社 人事総務部・人事1課 統括課長 春原 将俊氏

取り組みのきっかけは「経営課題」と「現場社員の声」

ソニーでは創業以来、大事にしている社風として「自由闊達」という言葉をよく使います。グループ内のオンラインイベント等で、実際社員に「今のソニーに対してどんなイメージを持っているか」とアンケートを取ってみても、「自由」という回答が最も多く、それくらいグループ全体に浸透しています。そうした中で、人材に関しては「多様な個を軸とする人事戦略」を基本的な考え方としています。これは社員一人ひとりが自立し、互いに影響し合い、全世界11万人の多様な人材の生み出す価値を最大化することです。様々な人事施策を発信していますが、今回の取組みもこの考えがベースとなっているとご理解いただければと思います。

ここからは今回の取り組みに関する具体的な内容となります。そもそも今回の取り組みは、経営課題と現場社員の声、この2つから生まれました。弊社トップマネジメントは、「多様な人材が繋がり磨き合うことで、新しいことにチャレンジする組織をつくりたい」ということを常にメッセージとして発信しており、我々人事としてはそういったベクトルにいかに人事施策を合わせていけるかを日頃から考えています。

一方、現場の社員からは、「自分の持つスキルを、必要とする人に役立てたい」といった人や、「スキルの高い人から直接学びたい・知り合いになりたい」、「ソニーの仲間がどんなことを勉強しているのか知りたい」、「同じことに興味がある有志とコミュニティを形成したい」、「コロナ禍でのリモートワークで人の繋がりが作りづらくなった」といった声が聞かれました。こうした経営課題と社員の声をもとに取り組みを開始したのが、本日ご紹介する「多様な個性(スキル、知識・経験、資格、趣味etc.)のデータ化と、社員が能動的に人的ネットワークを形成できる環境構築」です。私たちはこの取り組みによって、社員のタレント情報を民主化することで多様な人材が共鳴し、磨き合う組織文化を創造することを目指しています。

次にソリューションの構造についてご紹介させていただきます。もともとソニーグループではSaaS人事情報システムを広く導入しており、こちらに組織情報や上司の情報、ポジション、勤務場所といった基礎情報が格納されています。そして今回新たに弊社の人事メンバーと社員向けソリューション開発を担当するメンバーがタッグを組み自社開発したのが、社員のネットワーキングを支援するプラットフォームである、『TALENT NETWORK』というソリューションです。加えて、『TALENT NETWORK』とは別に、社員がこれまでに経験してきたプロジェクト情報が見られる自社開発のデータベース(Project DB)もあり、これら3つを掛け合わせて、うまくデータを連携させています。
「知と経験のダイバーシティ」実現に向けた、データ活用による“多様な人材の繋がりや学び合い”を生む『Employee Experience』とは

この後、下記のトピックで、講演録が続きます。
続きは記事をダウンロードしてご覧ください。

【講演】
テクノロジー活用による能動的な繋がりと学び合いを生む『Employee Experience』の取り組みとは
ソニーグローバルソリューションズ株式会社 人事総務部・人事1課 統括課長 春原 将俊氏

●社員同士の繋がりを生み出す4つの機能
●グローバル展開と「繋がり資産」の創出・蓄積へ


【トークセッション】
「知と経験のダイバーシティ」を進めたことで見えてきた世界とは
ソニーグローバルソリューションズ株式会社 人事総務部・人事1課 統括課長 春原 将俊氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授/山形大学学術研究院 産学連携教授 岩本 隆氏

●経営や社員と向き合い、目的を実現するために何をすればいいのかを考えた結果が「HRテクノロジーの活用」
●トータル1,200のスキルをデータ化
●社員一人ひとりの主体性と自分事化による価値創造



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