ProFuture代表の寺澤です。
近年、新卒採用においてもAI人材やデータアナリストなど一部の高度スキルを保有する人材に対しては、これまでの同期で横一線の初任給ではなく、700万~1000万円規模の初任給を提示する企業が徐々にですが現れてきています。多くは採用が困難なエンジニア人材を対象としていますが、中にはくら寿司のように海外出店を担えるようなビジネスレベルの英語力と簿記の知識を保有する文系人材をも対象とする企業も出てきています。
第134回 2023年卒の就活におけるオンラインインターンシップ参加やプレエントリーの状況とは
一方、新卒入社者の初任給を一律で大幅に引き上げる動きはあまり見られていませんでしたが、今年、二つの動きが出てきています。一つは、バンダイナムコグループの例です。2022年4月入社の大卒初任給を昨年の22万4000円から29万円へと約30%も引き上げるというものですが、こちらは、業績に連動して上下の変動幅が大きい賞与の年収における比率を下げ、安定的な月額給与の比率を高める報酬制度の見直しに伴うものとのこと。

もう一つは、日本酒「獺祭」の蔵元である旭酒造の例です。こちらは大卒初任給を昨年の21万円から30万円へと約43%もの大幅な引き上げとなっていますが、同社のケースは、年収に占める賞与比率の見直しではなく、純粋に給与の引き上げによるものです。既存社員については2021年10月に先行して引き上げを行っており、入社2年目以上の社員の給与が今春入社者を下回ることはないとのこと。また、同社は2022~26年の5年間を処遇改善期間と位置づけ、基本給の倍増を計画し、毎年大幅な引き上げが予定されています。総額人件費の大幅な上昇が見込まれますが、採用力の強化、エンゲージメントの向上、技術の確実な継承等が、好調な業績のさらなる向上に必ず寄与するものと信じた経営者の英断です。

2000年代初頭に大卒平均初任給が20万円を超えて間もなく20年が経過しようとしていますが、その間の金額の上がり幅はわずか2万円にも満たないものです。同社の試みが停滞する初任給相場に一石を投じ、人的資本経営が叫ばれ始める中、若年層への投資がより積極的に進むと面白くなりそうですね。

対面形式のインターンシップ参加は約半数

さて、今回も前回に引き続き、HR総研が「楽天みん就」と共同で2022年3月に実施した「2023年卒学生の就職活動動向調査」の結果を紹介します。前回は、2023年卒学生の就職意識を中心に取り上げましたが、今回は具体的な就職活動の状況について見ていきましょう。

まずは、「インターンシップ」からです。インターンシップの参加社数、そのうち対面形式とオンライン形式のインターンシップ参加社数を文系・理系別に示したものが、[図表1]です。
[図表1]インターンシップ参加社数
文系を見ると、全体で「0社」(「応募をしていない」と「応募はした」の合計、以下同じ)は16%ですから、残りの84%はなにがしかのインターンシップに参加したことになります。社数別では、「10社以上」が27%で最も多く、次いで「4~6社」が20%となっています。4社以上(「4~6社」から「10社以上」の合計、以下同じ)は57%と6割近くにも上ります。

実施形式別に見ると、オンライン形式の「0社」は21%ですから、残りの8割近くは参加した経験があるのに対して、対面形式の「0社」は52%と過半数に及び、参加経験のある学生は半数以下ということになります。4社以上の参加割合を見ても、オンライン形式の49%に対して、対面形式はわずか6%しかなく、オンライン形式のインターンシップの割合が圧倒的に多いことが分かります。

理系も文系と同様の傾向が見られ、全体で「0社」は文系より少ない12%に過ぎず、残り88%はインターンシップに参加した経験を持っています。オンライン形式の参加率85%(「0社」15%の残り)、対面形式の参加率50%(「0社」50%の残り)は、いずれも文系をやや上回ります。4社以上のインターンシップに参加した割合では、全体が59%、オンライン形式が51%と文系よりもわずかに多いものの、対面形式は4%と文系をわずかに下回っています。

対面形式では、「1社」の割合が文系の22%に対して理系は30%と大幅に上回っており、複数日程で開催されることの多い対面形式のインターンシップには、理系は企業を絞って参加している傾向が見られます。理系は卒業研究・論文、学会への参加等で、文系よりも時間的な余裕の少ないことが起因しているものと推測されます。

春季休暇はもはやインターンシップ参加のピークにあらず

続いて、インターンシップへの参加時期を「対面形式」と「オンライン形式」の形式別に比べてみましょう[図表2]。対面形式とオンライン形式の割合の差を捉えるために、母数は形式ごとの参加者数ではなく、インターンシップ全体での参加者数を共通の母数として扱っています。
[図表2]実施形式別インターンシップ参加時期(複数回答)
対面形式から見ていくと、「2021年8月」20%、「2021年9月」19%の夏季休暇中がピークとなりますが、それでも参加率は2割以下です。「2021年12月」が18%でそれに続きますが、「2021年7月」から「2022年1月」までは、他の月でも参加率は11~15%を維持しており、コンスタントに1割以上の学生が参加していることが分かります。

一方、オンライン形式を見ると、最多はやはり「2021年8月」で55%、次いで「2021年9月」50%となっています。「2021年12月」45%がそれに次ぎますが、「2022年1月」43%、「2021年10月」42%、「2021年11月」41%もそれほどの差がなく、長期休暇に関係なく参加している実態が浮かんできます。

経団連が就職ルールを主導していた時代は、夏季休暇の8・9月よりも、3月1日の会社広報解禁日を目前にした春季休暇の1・2月のほうが、企業のインターンシップ開催数も、学生の参加数も多い傾向にありましたが、政府主導に代わった2021年卒採用以降は、採用活動の前倒しがより顕著となり、夏季休暇中の開催数・参加数のほうが多くなる傾向にあります。「2022年2月」に至っては34%となっており、平常月である「2021年10月」や「2021年11月」を大きく下回っています。もはや2月は、インターンシップに参加する時期ではなく、面接選考を受ける時期になってしまっているようです。

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