ProFuture代表の寺澤です。
10月30日、政府は就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議を開催し、2021年度卒業・修了予定者(2022年卒)の就職・採用活動日程について、現行日程である「広報活動開始:3月1日以降、採用選考活動開始:6月1日以降、正式内定日:10月1日以降」を踏襲することを決めました。
経団連と大学関係団体の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が4月に公表した「中間とりまとめと共同提言」の中で、従来の新卒一括採用に加えてジョブ型採用などを含めた、複線的で多様な採用形態に移行すべきとしたことや、6月に政府が閣議決定した「成長戦略実行計画」の中で、新卒一括採用中心の採用制度の見直しを図る必要があるとしたことは認めながらも、新卒採用だけでなく、終身雇用や年功賃金等も含めた日本の雇用全体にかかわる問題であり、引き続き未来投資会議において議論すべき課題だとして先送りしています。
就職・採用活動のルールが急激に変更されることは、学生の混乱を招くこと、就職活動の早期化・長期化が進み学生の学修時間が確保されないこと、中小企業の採用選考活動の負担が増大すること等への懸念も理由とされていますが、これらは最初から想定されていたことであり、これらをも踏まえた「中間とりまとめと共同提言」や「成長戦略実行計画」ではなかったのかと思わざるを得ません。

エアライン2社が上位独占

さて、今回も前回に引き続き、HR総研が2020年3月卒業予定の「楽天みん就」会員を対象に行った就職活動動向調査の中から、個別企業が実施した選考施策に対する好感度ランキングを見ていきたいと思います。

まずは、「セミナー・会社説明会」です[図表1]。総合の1位、2位は日本航空(JAL/就職人気企業ランキング9位)と全日本空輸(ANA/同4位)のエアライン系2社です。スコアにはかなり差があり、JALは39ポイント、ANA29ポイントと10ポイントの差があります。この2社は文系で圧倒的に評価が高く、JALは33ポイント、ANAは25ポイントに上ります。3位以下の企業が10ポイント台にすぎないことを考えると、この2社の突出ぶりが分かります。ただし、理系ではJALが6ポイント、ANAは4ポイントと少ない状態です。また、旧帝大クラスでコメントした学生は皆無で、上位私立大の学生が目立つのも特徴といえます。
好印象の理由を読むと、両社ともにセミナーの雰囲気と社員の人柄の良さを挙げる学生が多くなっています。JALに対しては次のようなコメントが寄せられ、社員、特にCAを動員していることが分かります。

・メッセージカードをくれた(文系・上位私立大)
・時間すべてを社員座談会に使っていた(文系・上位私立大)
・参加者が圧倒的に多い業界なのに一人ひとりと真摯に向き合ってくれている感じがした(文系・その他私立大)
・実際に働いているCAさんがたくさんいらっしゃってワクワクしたし、生の声が聞けたので良かった(文系・上位私立大)

学生がJALを研究すれば、2010年に経営破綻した歴史を知ることになります。しかし、JALはそれを隠そうとせず、そこからの再生の過程を明らかにする姿勢が好感されているようです。

・経営破綻の内容を包み隠さず、むしろ成長している過程を知れたことと、以前と社風が異なっていたこと(文系・中堅私立大)


ANAのセミナーもJALと似た雰囲気のようです。JALはメッセージカードをプレゼントしたようですが、ANAはクリアファイルとお茶。こういう小さなプレゼントで、たぶん学生は距離の近さや優しさを感じとっているのでしょう。

・一人ひとりにクリアファイルとお茶をくれた(文系・上位私立大)
・現役の社員の方を呼んで生の声が聞けたため(文系・中堅私立大)
・就活生への、気遣いに感銘を受けたため(理系・その他国公立大)
・業界説明から個別の展望、どんなところを学生に見ているか、教えてくれた(文系・上位私立大)
・そこでしか知らない情報を知れたため(文系・上位私立大)

味の素は「福利厚生」をきちんと説明