ネットセミナーへの取り組み、複数回参加学生に対する配慮

学生の反応を見ると、セミナーで最も重要なのは、社員や人事の説明や質問への対応であることが分かります。プログラム内容や登壇者の人選、演出の吟味も必要でしょう。今回の調査でも複数セミナーに出席して理解を深めた学生が多かったですし、1Dayインターンシップは説明会と内容が似通ってしまうことを考えると、何回も参加する学生が飽きないようにする工夫がこれまで以上に重要になるはずです。

また、企業セミナーへの出席は、会だけでなく会場までの往復でも学生の時間を奪います。移動せずに参加できるネットセミナーや地方への出張セミナーを歓迎する学生は多くなっています。リアルなセミナーで学生に直接熱意を感じてもらうことも大切ですが、地方学生や時間に制約のある学生への対応をどうしていくのか、考える必要がありそうです。5Gの時代を迎えるに当たり、来年からすぐにとはいかないまでも、今まで以上に工夫の範囲は広がりそうです。

9割の学生は、面接官が志望度に影響

最後に「面接官」の好感度ランキングです。面接官が志望度に与える影響は大きく、インターンシップやセミナー・説明会等で築き上げてきた志望度をさらに高めることもある反面、マイナスに作用することもあります[図表2]。「非常に影響した」学生は文系で51%、理系で42%、「影響した」は文系で40%、理系で43%、合わせると文系の91%、理系の85%が、志望度において面接官から影響を受けていると回答しています。理系は文系より影響されることがやや少ないようですが、志望理由における専門性のウエートが高いからでしょう。
第104回 学生が選ぶ「印象の良かったセミナー・面接」ランキングから見えてくること ── ポイントは“傾聴力”
「影響した」にもプラスとマイナスがあります。親身になって話を聞いてくれる面接官に対しては志望度を上げる効果がありますが、逆に、圧迫面接などの上から目線の面接官に対しては嫌悪する学生が多く、志望度を落とす原因にもなります。

学生の話を聞こうとするJAL

印象の良い理由で共通するのは「傾聴力」です。話を遮らず、言葉に詰まっても待ち、学生を理解しようとする面接官を評価しています。学生コメントで目立つキーワードは「笑顔」「うなずき」「よく聞いてくれた」「見てくれた」などです。どの企業に対しても同じようなコメントが見られますが、その言葉の遣い方に注意するとニュアンスの違いが分かります。
第104回 学生が選ぶ「印象の良かったセミナー・面接」ランキングから見えてくること ── ポイントは“傾聴力”
総合トップ10([図表3]。同率9位が6社あるので14社)の1位は、文系18ポイント、理系0ポイントの日本航空(JAL/就職人気企業ランキング9位)です。「セミナー・説明会」好感度ランキングと並んでのトップです。理由コメントの大学クラスを見ると、「その他私立大」と「上位私立大」の女性が多くなっています。

「和やか」「話しやすい雰囲気」「圧迫など一切なく、常に優しい」などの言葉があり、柔和な人が面接し、学生の話を聞こうとしている様子が伝わってきます。

・一人ひとりの話を聞いてくださっている印象であったため(文系・その他私立大)
・柔らかな雰囲気でお話を聞いてくださった(文系・上位私立大)
・こちら側の話に興味を持って聞いてくれ、リアクションをしてくれたこと(文系・早慶大クラス)

学生を尊重する東京海上日動火災保険

2位は東京海上日動火災保険(同49位)。「一生懸命私のことを知ろうとしてくださった」(その他国公立大)や「緊張感漂う中でもより詳しく知ろうとしてくれた」(上位私立大)と学生を理解しようとする意欲が強いと受け止められているようです。理由コメントでは、旧帝大クラスと早慶クラスの多さが目立ちます。

・笑顔でうなずきながら話を聞いてくれて、話しやすかった(文系・旧帝大クラス)
・内定承諾を待ってくれた。ぜひ来てほしいからこそ、意思を尊重すると言ってくれた(文系・旧帝大クラス)
・1人当たりに割く時間が非常に多く、また幼少期のことまで聞いてくれて、より多面的に自分を見てくれたと感じたから(文系・早慶大クラス)

ウイットある会話を学生と交わすアクセンチュア

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