ピアニスト、ユジャワンの生演奏を聴いた。ミニスカートや、股関節に届きそうなスリットの入ったコスチュームでも話題の美人ピアニストである。自由自在な演奏はジェットコースターに乗っている気分。目まぐるしく展開する光景、冴えた音色にワクワクドキドキする。また、後ろを大きくカットした衣裳から見える背中のすばらしさにもうっとりした。上体がくねくねすることはなく、やや前傾する程度で、あとはまっすぐな姿勢で超絶技巧の曲にも楽々と、軽々と指が動く。まるでアスリートだ。
正しい姿勢とハイパフォーマンス

ゆがんだ姿勢は、仕事の質をも左右する?

私はというと、パソコンの使い過ぎでテニス肘になり、しばらく腕をつる羽目になった。
日頃から体の手入れはしているし、指は強いつもりだったので、少なからずショックだった。 

原因は姿勢からくるもので、手首のそりの無理が手の甲から肘の部分に負担をかけ、腫れてしまっていた。おかげさまで、暫く安静の日々を過ごす羽目になった。これを機に、椅子とキーボードの位置、パームレストの使用、マウス選び、タッチパッドの有無、操作の仕方など、悪い習慣が続いてはいないか、改めてパソコン環境を見直す必要性を痛感した。悪い習慣が続くと、心身を害する要因になる。
ユジャワンに学ぶように、美しい姿勢はよいパフォーマンスを生むのである。
彼女は歩く姿もかっこいい。姿勢と共に歩き方もアウトプットの質を左右する。

ウオーキングと散歩の違いは、肘を曲げているか、伸ばしっぱなしかである。犬のリードを持って肘が伸びているのは「お散歩」である。ウオーキングは、一直線上を真っすぐ重心を移動する。視線は、身長の3倍から5倍程度前方をむける。するとやや前のめりの感じがする。重要なことは肘を振ることで、お散歩との分かれ目である。肘を軽く曲げ、前後に振ることで上半身と下半身にヒネリが生じ、内臓にもよい効果を生む。散歩とウオーキングの違いを体感すると、普段の歩きに勢いが生まれる。
スイスイと気持ちよく前進していくのを感じるだろう。こちらも合理的な姿勢がポイントだ。 
若者から老人の歩き方になるのは、重心の置きどころが違ってくるからである。重心がブレないとまっすぐ進めるが、そのうちに足が開く、そして顎がでる。 
体の重心を保つポイントは足の親指側に力をいれること。小指に力がはいると足ががにまたになり開く。すると骨盤が開く、内臓が下垂するなどいいことがない。

ビジネスマナー研修などではお辞儀の仕方や座り方に加え、歩き方を学ぶことも重要だ。歩く姿は自身のイメージを与える重要な要素である。歩く姿勢はそのまま、自身の仕事に向かう姿勢と重なる所がある。良い時は胸を張りたくなるし、ダメな時はうつむき加減になっている。

イメージばかりでなく、悪いクセがつくと、骨格、内臓へ影響を与え病気のもとになっていく。体の歪みはすべて悪いわけではなく、弱っている内臓を守るために姿勢がそうなる、という場合もある。
姿勢、歩き方におかしな点があったら、健康面、精神面にも問題がある、と考えた方がよい。
うつむき加減に座っていたり、歩いている社員はいないだろうか。同じ姿勢を長時間続けている社員はいないだろうか。また、自身はどうだろうか。

歪みやかたよりが身につくと、異常なことしかできない筋肉が発達し、何をしてもうまくいかないからだになっていく。ユジャワンの素晴らしい姿勢は、彼女の感性や筋肉、からだ全体が最高のパフォーマンスを生み出す状態を作っているのだと証明している。一方、私は偏った動作を長くつづけ、からだの一部分だけを過度に使用したりすることで、異常の信号が出た。

姿勢や歩きに注目し、気づき、修正を促すことには、それほどお金はかからない。お金をかけると効き目がありそうな錯覚を起こすが、この一番シンプルなことが一番重要なことである。
日常生活での「歩き」は移動手段の一つとして欠かせないものである。普通に働いてくれる時はたいして有難くも感じないが、いざ働いてくれないとなると、自由を奪われる。重篤になれば人間の尊厳が奪われることにもなる。

正しい姿勢を保ち、正しい動作、歩きをすることは健康のため、仕事の質に関わることだけではない
なによりも人間が人間になりうる所以である。そして、この姿勢は自分でつくることができるのである。
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