ストレスチェック義務化、ホワイトカラーエクゼンンプションと横文字の話題続きに、マイナンバーが加わり、まずは私のストレスを計ってくれ、といいたい方も多いだろう。
3つとも労働生産性に関っている。
日本の労働生産性を上げるには体内時計の活用を

日本の生産性はスペイン15位、イタリア18位より低い20位

ちょっとショッキングな話しがある。
日本生産性本部がまとめた“日本の生産性の動向 2013年版“によれば、OECD加盟国34カ国の就業1時間当たりの国際比較をみると、日本は20位である。スペイン15位、イタリア18位。美味しいもの食べてのんびり働いているイメージのある2カ国より下位である。世界一勤勉だと思っていたが、働き方、労働時間の中身を見直す時期と捉えたほうがよさそうである。みっちり働き、よく休み、アモーレ、ブオーノを大切にするにはどうしたらよいのか。

労働人口減少の中で、女性や高齢者に期待をする際にも、労働時間の長さではなく、効率のよい働き方、生活の質に重点をおくことが必要になる。死ぬほど働くスタイルではやっていけないいうことだ。因みに1位はノルウェーである。昼食30分、4時には退社というTV番組を思い出した。米国は4位だ。

一方、平成23年のデータに基づいた厚労省の調査結果の中にWHOの資料に基づいた自殺死亡率の国際比較があり、日本は8位、ノルウェーは36位、スペイン56位、イタリアは62位であった。大まかな傾向として知っていてもよい情報である。

体内時計をつかって生産性向上を

生産性を上げる枠組み、環境をつくる必要があるが、すぐできる働き方、生活の仕方の見直しとして体内時計をあげてみたい。
私達は24時間という人間が決めた計測できるリズムに従って生活しているが、体の中にも時計をもっている。 

時間医学の専門家である大塚邦明氏の“体内時計の謎に迫る”から一部を要約、紹介させて頂く。

私達は朝7時になったから起きる、というよりも本来朝になれば自然に目が覚め、夜になれば眠くなる。時計が先にあるわけではなく、人の身体の働きに約24時間のリズムがある。つまり地球と共に私達の身体も自転しているのだ。先ほどの自然に起きる、眠る、を規則正しく毎日繰り返す、約24時間のリズムを作り出す時計、それを生体時計という。生物はバクテリアから深海魚まで皆、時計を持っており、未来を予測する手段として地球の自転周期を選択した。生体時計を獲得できなかった生命体は地球上から滅亡していった。

私達の身体には、なぜ、何のため生体リズムが備わっているかを、生物時計であるための必要条件として、次の3つの特徴がある。
1. 他から時刻情報を受け取ることなく、自動的に時を刻み続ける能力があること
2. 環境(とりわけ周囲の温度)に左右されることなくリズムが安定であること
3. 本当の時刻とずれたときに、時計の針を合わせることができること

人は健康を保つための知恵として生体リズムを奏でているが、電気や電灯、飛行機などで生体リズムが乱れてしまい、いろいろなトラブルを起こしている。不眠、生活習慣病などの原因になる。太陽の恩恵をうけつつ地球上の生命はすべて、“生物時計”というキーワードで鎖のように繋がった、いのちのシステムを生態系として形づくっている、とある。  

私達1人1人、また各細胞にすら組み込まれた生体時計がよく指揮されて一体のリズムを奏でることで生命が成り立っているとは驚きである。生体リズムが乱れないような働き方、乱れても調整できることがポイントになる。

24時間のリズムをサーカディアンリズムという。90分リズムもあり、サーカディアンリズムを保持し、強化するための基本リズムであると考えられている。よく講義は90分が限度だ、という根拠である。 
7日のリズム性もあるという。7日の半分3.5のリズムの周期性の方が本来の基本リズムではないかという説もあり、3日坊主もこのリズムに由来するかもしれないとある。

生体リズムを守る具体的なコツもいくつか紹介されている。大切なポイントは3つ。朝の太陽光を浴びること、夜のメラトニン分泌(カーテンで真っ暗にするなど)。

食事は朝食に重点を置く。空腹の時間が長いほど時計の針を合わせる力が強い。決った時間にとる、家族と共にするなど質も重要。食事の栄養刺激で、末梢時計の針の調整がされ、同時に親時計(脳)の針もあわせていく、というメカニズムがあるのだ。

健康診断、メンタルヘルスチェックとセットで体内時計チェックなども行われて、ずれ加減と不調の関係が計測される日がくるかもしれない。体内時計がわかるリストウオッチ型のPCもでき、今ずれてます、1時間休んで下さい、はい、調整完了、と表示されるのだろう。
特別に効率のよい働き方を考える時に、生物としての摂理にあった生活が生産性の向上の大前提であるということだ。 

私達は星なのだという説がある。地球にいる間、よく働き、よく休み、楽しく食べ、幸せに暮らしたいものだ。 
また星となるまで。
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