今回、HR総研では企業におけるウェルビーイング推進の実施状況、浸透度、推進体制、施策の特徴、AI・HRテック導入の効果実感などについて調査を行った。前回の「ウェルビーイング編」に続き、本稿では、そのうち「ウェルビーイング浸透とAI時代の働き方」に関する結果を以下に報告する。
大企業の6割近くで進む「ウェルビーイングの社内浸透」。得られている効果は?
まず、「ウェルビーイング」推進に関する社員への浸透状況を企業規模別に確認してみると、大企業において突出して「ウェルビーイングの推進」が社内で浸透する企業が多い傾向となっている。
従業員規模1,001名以上の大企業では「浸透している」が27%、「やや浸透している」が31%とともに3割程度となり、これらを合計した「浸透している派」(以下同じ)は58%と6割近くにも上っている。301~1,000名の中堅企業では「浸透している派」は25%と4分の1、300名以下の中小企業では28%と3割以下にとどまっている。一方、「浸透していない」と「あまり浸透していない」を合計した「浸透していない派」の割合は、大企業では16%と2割以下であるのに対して、中堅企業では38%、中小企業では39%とともに4割近くに上っている(図表1-1)。
【図表1-1】企業規模別 「ウェルビーイング」推進に関する社員への浸透状況

ウェルビーイングを推進している企業において、どのような効果が得られているかを見てみると、大企業と中堅企業では「社員のエンゲージメントの向上」が最多でそれぞれ58%、57%と6割近く、中小企業では「社員のモチベーションの向上」が最多で63%と6割以上に上っている。中小企業ではこれに次いで「社員の幸福感の向上」(58%)や「社内コミュニケーションの活性化」(47%)の割合が、大企業や中堅企業より顕著に高くなっていることも特徴的となっている(図表1-2)。大企業や中堅企業ではウェルビーイング推進によって組織への貢献意識や愛着感の向上に繋がっているという感触を持ち、中小企業では社員の仕事への意欲に繋がっているという感触を持つ企業が多く、企業規模によってウェルビーイング推進効果の向き方が異なっていることがうかがえる。
【図表1-2】企業規模別 「ウェルビーイング」の推進により得られている効果

大企業では「育成・研修」へのAI・HRテック導入が最多で6割近く
ここで、企業において人事分野へのAIやHRテックの導入がどれだけ進んでいるかを確認してみる。
その結果、大企業では「限定的に導入している」が最多で42%、中堅・中小企業では「全く導入していない」が最多でそれぞれ35%、61%となり、企業規模によって導入状況が全く異なっている。最も導入が進んでいる大企業では、「ほぼ全面的に導入している」~「限定的に導入している」までを合計した「導入している」(以下同じ)の割合は74%と7割以上に上り、中堅企業の37%、中小企業の26%より顕著に高い水準となっている(図表2-1)。
【図表2-1】企業規模別 人事分野へのAIやHRテックの導入状況

次に、人事分野にAIやHRテックを導入している企業において、どのような人事分野に導入しているのかを確認する。その結果、大企業では「育成・研修」が最多で56%と6割近く、次いで「エンゲージメント調査・定着支援」が48%と半数近く、「採用」が44%と4割程度に上っている。大企業だからこそ様々な背景や価値観を持った社員に対して、AIを活用してパーソナライズ化したリスキリングの提供や離職リスクの早期発見など、細やかな人事施策の推進に活用していることが推測される。中堅企業では「採用」が最多で39%と4割近くがAIやHRテックを導入している。様々なチャネルを活用して多くの予算を使って採用活動を行う中、ATSなど採用一括管理ができるHRテックツールや、入社後のミスマッチ防止のためにAIを活用したマッチングツールの導入が進んでいる企業が、中堅企業においても増加していることが推測される。中小企業では導入率(「導入している」の割合)自体が4分の1程度と低い中ではあるものの、「育成・研修」「エンゲージメント調査・定着支援」「労務管理」への導入が並んで最多で、36%と4割近くとなっている(図表2-2)。
【図表2-2】企業規模別 AIやHRテックを導入している人事分野

さらに、ウェルビーイングの浸透状況について「浸透している群」と「浸透していない群」の2グループに分けて、AIやHRテックを導入している人事分野の状況を確認してみる。
その結果、「浸透している群」で最も多く導入しているのが「育成・研修」で62%と6割以上に上る一方、「浸透していない群」では23%と2割程度にとどまり、その差は39ポイントと顕著な違いが見られている。また、「人事評価」について「浸透している群」では32%と3割が導入し、「浸透していない群」での18%と14ポイント差で高くなっている。一方、「人事データ分析・戦略立案」については「浸透している群」で21%に対して「浸透していない群」では36%と4割近くとなり、浸透していない方がAIやHRテックを導入している傾向となっている。たとえば人員計画や人的資本開示への対応など、直接的に社員の働き方に関わらない業務へのAIやHRテックの導入については、それが社員のウェルビーイング推進に繋がるには時間がかかることも考えられる。さらに、「エンゲージメント調査・定着支援」についてはウェルビーイング浸透状況に関わりなく半数程度が既に導入しており、エンゲージメントの把握やサーベイ結果の定着支援は、日本企業において全体的に浸透してきていることがうかがえる(図表2-3)。
【図表2-3】ウェルビーイング浸透状況別 AIやHRテックを導入している人事分野

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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】ウェルビーイングとAI時代の働き方に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2025年10月6日~10月15日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:215件
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