HR総研:ウェルビーイング&健康経営に関するアンケート 結果報告【健康経営編】生産性向上効果の出ている企業では「3年以上継続」が7割以上
近年、従業員の価値を最大限に引き出すことによる中長期的視点の企業価値向上を目指し、「ウェルビーイング経営」や「健康経営」への注目度が改めて徐々に高まっている。コロナ禍を経た今、人々の価値観や働き方など様々な変化がある中、企業はどのようにウェルビーイングや健康経営を捉え、取り組んでいるのだろうか。
HR総研では、ウェルビーイングや健康経営の実態を把握するアンケートを実施した。その調査結果レポートを2回に分け、今回は「健康経営編」について以下に報告する。
「健康経営」の認知度は9割超、ほぼ全ての企業に周知
まず、「健康経営」の認知度について前回(2022年)調査の結果と比較して見てみる。
全体的に前回調査と同じ割合となっており、「以前から意味も知っている」の割合は69%、「以前から言葉だけは知っている」の割合は25%で、これらを合わせて94%と9割以上にも上っている(図表1)。「意味も知っている/言葉だけは知っている」の割合を認知度とすると、今回調査における認知度は極めて高く、既にほとんど全ての企業で認知されていることが分かる。
【図表1】「健康経営」の認知度(前回調査との比較)
健康経営の実践率は4割で前年とほぼ同等、大企業では過半数が実践中
健康経営の取組み実践率については、「実践している」の割合が今回調査では38%で、前回調査の36%より2ポイント増加と微増傾向となっている。また、「導入を準備中/検討中」(17%)と合わせた「前向きに対応中」(以下同じ)の企業の割合は55%と6割近くにも上っている(図表2-1)。
これを企業規模別に見ると、「前向きに対応中」の割合については、従業員数1,001名以上の大企業では71%と7割にも上り、301~1,000名の中堅企業では60%と6割、300名以下の中小企業では40%と4割で、企業規模が大きいほど実施率が高い傾向が顕著に見られる(図表2-2)。
【図表2-1】健康経営の取組み実践率(前回調査との比較)
半数の企業で、経営戦略や経営方針にて「健康経営」を位置づけ
次に、健康経営の実践継続期間については、「3~5年未満」が最も多く22%、次いで「1~2年未満」が21%、「2~3年未満」が19%などとなっている。「3年以上」(「3~5年未満」~「10年以上」の合計、以下同じ)は44%で4割を超えている(図表3-1)。
【図表3-1】健康経営の実践継続期間
健康経営が自社の経営戦略や経営方針の中に位置づけられているかについては、50%が「位置づけられている」としており、今はまだ位置づけられていなくとも「位置づける予定である」とする企業が31%で、これらを合計すると81%と8割の企業で今後、経営戦略や経営方針の中に位置づけられることが期待される(図表3-2)。
【図表3-2】健康経営の経営戦略・経営方針での位置づけ
増加した関連予算の項目は、「健康経営推進体制費」が最多で68%、次いで「健康教育費」が42%、「ハイリスクアプローチ費」が26%などとなっている(図表9-3)。
増額をしている企業の7割近くが挙げている「健康経営推進体制費」については、健康管理システムの導入、産業医等専門人材の配置、健康施策の企画・実行支援等が入っており、社員一人ひとりの健康管理をサポートしやすい環境整備を強化しようとしていることがうかがえる。
【図表9-3】増加した関連予算の項目
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「ウェルビーイングと健康経営」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2023年10月2~10日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・ウェルビーイングまたは健康経営担当者・人事担当者様
有効回答:229件
※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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Eメール:souken@hrpro.co.jp
※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
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著者:
HR総研
HR総研は働き方・採用・人材育成・マネジメントなどの領域で広く調査を実施し、 その結果を広く社会に共有する調査機関です。
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このように多くの企業で重要視されるようになっている「健康経営」は、どのような目的で実践される傾向にあるのだろうか。実践の目的としては、「社員の生産性維持向上」が最多で67%、次いで「社員のモチベーション維持向上」が62%、「企業全体の労働生産性向上」が60%などとなっている(図表4-1)。社員の心身健康が維持向上することで、社員個人の生産性向上に繋がり、さらには企業全体の生産性向上にも繋がることが期待されていることがうかがえる。【図表4-1】健康経営を実践する目的健康経営は、最近ではウェルビーイング推進の一環として実践する企業も多い中、ウェルビーイングを推進している企業と推進していない企業で健康経営の実践の目的がどのように異なるのかを確認してみる。上位に並ぶ項目はウェルビーイング推進の有無に関わらず同様となっているが、ほとんどの項目で「ウェルビーイング推進している企業」の方が「ウェルビーイング推進していない企業」より割合が高くなっている。特に、「社員の幸福感向上」については、「ウェルビーイング推進している企業」では52%と半数以上であり、「社員のエンゲージメント向上」と同じ割合であるのに対して、「ウェルビーイング推進していない企業」では26%と4分の1程度にとどまっている。やはり、ウェルビーイングの特徴である「幸福度」の向上にも着目して健康経営を実践しているか否かが顕著な違いとなっている(図表4-2)。【図表4-2】ウェルビーイング推進の有無別 健康経営の実践の目的健康経営の実践における取組み施策については、「ストレスチェックの実施」が最多で78%、次いで「社員の労働時間、休暇取得等の状況把握」が55%、「管理職・社員への教育」が48%などとなっている(図表5)。前回と同様に「ストレスチェックの実施」が最多であるのは、大企業や中堅企業ではストレスチェック義務化されていることが高い実施率の要因の一つと推測される。【図表5】健康経営の実践における取組み施策健康経営の実践で得られた効果については、「社員のモチベーション維持向上」が最多で37%、次いで「社員の生産性維持向上」が36%、「企業イメージの向上」と「社員のエンゲージメント向上」がともに29%などとなっており、概ね目的として上位に挙がる項目と同様の効果が得られている傾向がうかがえる(図表6-1)。【図表6-1】健康経営の実践で得られた効果このような得られた効果の中でも、最も多くの企業が目的として挙げている「社員の生産性維持向上」の効果が得られている企業に注目して、このような企業が取り組んでいる施策を見てみる。そうすると、最多となっている「ストレスチェックの実施」以外で上位に挙がる項目では、「生産性向上効果あり企業」の方が全体より割合が高くなっている。特に「オンラインを活用した社員への健康支援」については、「生産性向上効果あり企業」で52%であるのに対して、全体では35%にとどまり、17ポイントもの差異が生じている(図表6-2)。多くの企業で社員の働き方が多様化する中、健康経営をスムーズに運用していくためには、オンラインツールの活用が重要なポイントであることがうかがえる。【図表6-2】生産性向上効果がある企業における、健康経営での取組み施策さらに、生産性向上効果がある企業における、健康経営の実践期間も確認してみると、全体より「生産性向上効果あり企業」の実践期間の方が顕著に長い傾向にあることが分かる。「生産性向上効果あり企業」では「3年以上」の割合は74%で、全体の44%より30ポイントも高くなっている(図表6-3)。健康経営の実践で社員個人の生産性向上効果を得るためには3年程度以上はかかり、企業全体の生産性向上効果として表れてくるためにはさらに時間がかかることが推測される。企業は、短期的視点ではなく、長期的視点で健康経営を実践していくことが重要であるだろう。【図表6-3】生産性向上効果がある企業における、健康経営の実践期間(全体と比較)健康経営の取組みに特に積極的に参加している社員の特徴の傾向を見てみると、前回調査までと同様に「普段から健康に気を使っている健康意識の高い人」が最多で49%、次いで「全員」が31%などとなっている(図表7-1)。「普段から健康意識が低く、不摂生な生活習慣である人」が他の社員より積極的に参加するようにするのは至難の業だが、全員が積極的に取り組む企業がさらに増加することが望まれる。【図表7-1】健康経営の取組みに、特に積極的に参加している社員の特徴従業員エンゲージメントの高さ別に特に積極的に参加している社員の特徴の傾向を比較して見ると、従業員エンゲージメントが「高い・やや高い状態」の企業群では「全員」が最多で48%とほぼ半数、次いで「普段から健康に気を使っている健康意識の高い人」が35%などとなっている。「高くない状態」の企業群では「全員」の割合は22%と2割にとどまっており、「高い・やや高い状態」の企業群の方が26ポイントも高くなっている(図表7-2)。したがって、従業員エンゲージメントが高い企業ほど、より多くの社員が積極的に健康経営への取組みに参加しており、生産性の向上にも繋がっているという好循環が生まれていることが推測される。【図表7-2】従業員エンゲージメントの高さ別 特に積極的に参加している社員の特徴健康経営の実践に関する課題を見てみると、「全般的な効果・メリットの見える化」が圧倒的に多く51%、次いで「取組み参加への従業員の意識醸成」が33%、「生産性向上効果の見える化」が25%などとなっている(図表8)。ウェルビーイング推進における課題と同様に、効果の可視化に課題を抱える企業が多いことが分かる。ただし、ウェルビーイング推進の「幸福度」のような概念的な項目ではなく、生産性向上やエンゲージメント向上を目的にしているのであれば、エンゲージメントサーベイを活用するなどで効果の可視化を比較的しやすいだろう。【図表8】健康経営の実践に関する課題実践開始当初からの関連予算の変化については、全体では「変わらない」が圧倒的に多く75%、「増加した」は22%で、「減少した」の3%より19ポイント高く顕著な違いが生じている(図表9-1)。【図表9-1】実践開始当初からの関連予算の変化関連予算の変化の変化について、「離職率の課題の有無」によって傾向を比較してみると、「増加した」の割合は、離職率に「課題感がある」企業群で25%、「課題感はない」企業群では僅か5%となっており、「課題感がある」企業群の方が関連予算を増加した企業の割合が顕著に高いことが分かる(図表9-2)。自社の離職率に課題感を感じている企業では、健康経営の実践によって社員が健康的に生き生きと働ける環境づくりに投資することで、少しでも離職率が低下することを狙っているのだろう。それでは、関連予算を増加した企業ではどのような項目で増額しているのだろうか。【図表9-2】離職率の課題有無別 実践開始当初からの関連予算の変化このような健康経営の実践に関わる施策の取組みや、それによって得られている効果について、どこまで情報開示しているかを確認してみる。「施策の取組み状況」については、「社外に公開している」が21%、「社内全体に公開している」が44%で、これらを合わせた「社外または社内全体に公開している」は65%と7割近くに上っている。また、「得られている効果」の情報開示については、「社外に公開している」は15%、「社内に全体公開している」が29%となっており、「社外または社内全体に公開している」は44%で「施策の取り組み状況」より21ポイントも低い状況となっている(図表10)。【図表10】健康経営に関する施策の取組み・効果の情報開示最後に、「健康経営とウェルビーイングの今後の推進予定」について見てみる。「積極的に推進していく」の割合は、健康経営では16%、ウェルビーイングでは12%と、健康経営の方が4ポイント高い状況となっている。「ある程度、推進していく」はそれぞれ31%と30%でほぼ同等となっており、これらを合計した「推進していく派」はそれぞれ47%、42%で、ともに4割以上に上っている。一方、「取り組む予定はない」はそれぞれ22%、25%となっており、少なくとも7割以上の企業で何らかの取組みが継続されていく見込みであることがうかがえる(図表11)。【図表11】健康経営とウェルビーイングの今後の推進予定
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