HR総研:2018年新卒就職活動動向調査 結果報告(6月下旬調査)採用活動の落とし穴、今一度見直すべきインターンシップ落選者のケア

6月19日〜26日に、『楽天みん就』会員を対象に実施した就職活動動向調査の結果を報告する。
インターンシップと応募・内定の関係、内定社数、内定企業規模、内定辞退報告、今後の活動継続意向などを見ていく。今回新たに聞いた設問からは、驚くべき事実が炙り出されることとなった。

インターンシップ参加者の7-8割は複数社のインターンシップに参加

就活生のうち、インターンシップに参加した経験のある学生だけに参加した社数を聞いたところ、「1社」だけとの回答は文系で23%、理系で32%に留まり、逆に言えば、文系の77%、理系でも68%の学生は2社以上のインターンシップに参加している。中には「7社以上」という学生も文系で14%、理系でも6%もいる。従来の1週間や2週間といったタイプではなく、セミナーまがいの半日型や1日型が増えたためにそれだけの社数のインターンシップに参加が可能となっている。

[図表1:インターンシップ参加社数]

インターンシップ参加者の1割は志望度下がる

今や新卒採用のための早期企業広報の一環となったインターンシップ。企業側が実施する目的は、業界理解、企業理解、仕事理解を深めることで、自社への志望度を高めてもらうこと。果たしてその目的は達成されているのだろうか。インターンシップ参加者に、参加してみてその企業への志望度に変化があったかを聞いてみた。すると、文系、理系ともにほぼ同じ結果となった。7割の学生は、「(志望度が)上がった」と答えているものの、2割の学生は「変わらない」、そして1割の学生は「(志望度が)下がった」と回答。大学の授業としてのインターンシップであれば、もともと志望企業がインターンシップ先とは限らず、「変わらない」としても致し方ないだろう。残り1割の「下がった」学生について考えてみたい。就労体験等を通じて、表面的なセミナーではわからない部分まで学び取ってもらうものであり、ミスマッチ防止の観点からは、「自分には合わない」と感じる学生もいて当たり前だ。早く気づくことができたことを考えれば、それは意味がある。ただし、インターンシップの内容や対応がまずくて「下がった」のであれば、企業としては問題である。

[図表2:インターンシップ参加後の志望度の変化]

参加者の8割近くが正式応募

インターンシップに参加した企業に最終的に応募したかを聞いたところ、文系、理系ともに8割近くが応募している。この数字は、昨年と比べると10ポイントほどアップしている。このポイントのアップは、インターンシップを実施する企業が増え、採用を視野に入れた自由応募型のインターンシップに参加する学生が増えたためである。自由応募型のインターンシップでは、1〜2週間の就労体験型ではなく、半日〜1日型が増え、まさに就職志望者に向けた早期セミナー的な意味合いが強くなってきている。就労体験型と比べて受け入れ人数も多く、ポイントを大きく底上げしている。「応募しなかった学生」は、前項で見た「(志望度が)下がった」学生と、もともと志望企業と関係なくインターンシップに参加している単位認定型のインターンシップ参加者がほとんどである。

[図表3:インターンシップ先への応募」

インターンシップ参加者の4割以上が参加した企業から内定を取得

インターンシップと採用がどの程度結びついているかの一つの指標として、学生側から見た場合に、インターンシップ先企業に応募した学生のうち、どのくらいが採用内定に至っているのであろうか。複数のインターンシップに参加して応募した場合には、最も選考が進んだものについて回答してもらっている。「内定が出た」とする学生が文系、理系ともに4割を超え、「選考前」や「選考中」の企業もあることを考えると、理系においては5割に達する可能性もある。これらのデータを見れば、学生はインターンシップに参加せざるをえなくなるだろう。

[図表4:インターンシップ先に応募した結果]

6割以上がインターンシップ事前選考で落選経験あり

インターンシップの参加枠は、職場での就業体験型の場合、少ない場合にはわずか数名ということもある。受け入れ人数の多い半日・1日型のインターンシップと言えども、応募学生を青天井で全員受け入れることはできない。結果、「エントリーシート」「適性検査」「面接」等で絞り込むことになる。
学生に、インターンシップに参加するための事前選考で落選したことがあるかを聞いたところ、文系、理系ともに6割以上の学生が落選を経験している。人気企業のインターンシップともなれば、定員に対して何十倍〜何百倍の応募が集まるわけで、落選を経験することはある意味当たり前とも言える。複数のインターンシップに応募して「落選したことがない」という学生の方が貴重だと言える。

[図表5:インターンシップ事前選考での落選経験]

事前選考落選で志望度が後退した学生は3割以上

では、インターンシップの事前選考で落選した学生は、その企業に対しての志望度にどんな変化をもたらすのであろうか。最も多かったのは「変わらない」で、文系で58%、理系では65%に上る。中には、それだけ多くの学生が関心を寄せている企業であるとして、「(かえって志望度が)上がった」という学生も数%いることはいるが、残りの3割から4割近い学生は「(志望度が)下がった」と回答している。インターンシップの選考ですら合格しないのであれば、本選考で合格することなど不可能だと思ってしまうのだろうか。あるいは、事前選考、合否連絡の一連の企業の対応の中で、学生から見た場合に志望度が下がるようなことがあったのであろうか。いずれにしても、インターンシップ合格者だけが本選考の対象者でない限り、この落選者のうち志望度が下がってしまう学生の割合が3割から4割近くあることは、企業からすれば目を背けられない重要な事実である。

[図表6:インターンシップ事前選考落ち企業への志望度の変化]

事前選考落選で4割以上の学生が応募取りやめ

インターンシップの事前選考で落選した学生が、本選考に応募したかを確認した結果がこちらのデータである。前項で志望度の変化を見てみたが、応募の有無ではさらに驚くべき結果となった。文系、理系ともに4割を超える学生が「応募していない(する予定はない)」と回答しているのである。これは志望度が下がった学生の割合を超えている。すでに他の企業から内定を取得したとか、他に選考が進んだ企業があったからという学生もいるだろうが、これだけの割合の学生が応募を取りやめたという事実は重大である。インターンシップは、参加者の志望度向上には大いに役立つことはわかっているが、事前選考で落選した学生のケアを怠ると、かえって応募者を減らしてしまうリスクと背中合わせであることを認識すべきである。インターンシップ参加者へ向けたフォローに気が行ってしまいがちであるが、それよりも事前選考で不合格にしてまった学生をどうケアして、本番に正式応募してもらうかをもっと真剣に考える必要がある。

[図表7:インターンシップ事前選考落ち企業への応募]

内定率の大学格差は減少

次は、インターンシップとは関係なく、全学生を対象に6月下旬時点での内定社数を聞いたデータを見てみよう。まずは文系から。「0社」の学生、すなわち未内定学生は、「旧帝大クラス」と「早慶クラス」でわずか9%、「中堅私大クラス」「その他私大」でも22%と、その差は最大でも13ポイントしかない。かつて、「4月 面接選考解禁」のスケジュールであった時代の4月下旬時点での調査では、「旧帝大クラス」「早慶クラス」と「その他私大」では30ポイント以上の開きがあったものである。それと比べると今年の内定率の状況は、解禁1カ月時点ですでに大学間格差はほとんどない状況にあると言える。
また、2社以上の内定を取得している学生の割合が、「早慶クラス」では63%、全体でも55%と過半数に達している。中には「10社以上」という猛者もいる。

[図表8:大学クラス別内定社数(文系)]
続いて理系の状況も見てみよう。理系では、「その他私大」の未内定率が9%と低いのに対して、「中堅私大クラス」が20%と高くなっている。自由応募での大手企業狙いに失敗した学生が、他のクラスよりも多かったのかもしれない。最も未内定者が少ないのは「上位私大クラス」で、すでにわずか4%という結果になっている。
推薦応募利用者は、通常複数内定を取得することはありえないことを考えると、自由応募学生で内定社数が1社のみという学生は、文系と比較して極めて少ないものと推測される。

[図表9:大学クラス別内定社数(理系)]

内定先の企業規模では依然として大学格差あり

内定率では、大学間格差は減少していると述べたが、内定した企業規模を比べてみると、依然として大学間格差が残っていることが確認できる。「旧帝大クラス」では、「5,001名以上」の超大手企業からの内定を取得した学生が最も多く55%、次いで「1,001〜5,000名」からが40%に上る。「早慶クラス」も「1,001〜5,000名」からが54%、「次いで「5,001名以上からが51%で続く。
一方、「その他私大」を見ると、内定取得先として最も多いのは「501〜1,000名」からの37%、次いで「1,001〜5,000名」からの34%、「5,001名以上」は20%に留まる。「301〜500名」が29%、「101〜300名」も28%と比較的高い割合になっている。かつて内定率において、「早慶クラス」と「その他私大」で30ポイントもの開きがあった頃は、大企業の選考が早く、それが落ち着いてから中堅企業、さらには中小企業が選考するという流れがあったため、解禁後1カ月あたりでは大企業の内定は出ているものの、中堅・中小企業の内定出しはこれからというタイミングであった。そのため、大企業からの内定が多い上位校と、その他の大学では内定率に大きな差が生まれていたのである。今年は、大企業だけでなく、中堅・中小企業の内定出しも進んでいるため、結果的に「率」の上では大きな差が出なくなったというわけである。
今回、データとしては文系のみを掲載するが、傾向は理系も同様である。

[図表10:内定企業の企業規模(文系)]

文系の7割、理系の8割超は就活終了

内定を取得した学生に就職活動を続けるかどうかを聞いたのがこちらである。文系の69%、理系の85%は、就活を終了すると答えているが、残りの学生はまだ就活を継続すると回答している。文系の就活終了割合は前年とほぼ同様であるが、理系は前年よりも終了学生の割合が高まっている。「第1志望の企業に内定したので終了する」とした学生が、前年の61%から7ポイント伸びているためである。優秀な理系学生の争奪戦は、依然として文系よりも激しいものがある。

[図表11:内定取得学生の就活継続意向]

文系の4割はまだ内定辞退をしていない

複数内定を取得した学生に、入社予定でない企業への内定辞退をすでに申し出ているかを確認したところ、文系の39%、理系の22%はまだ辞退を連絡していない企業があると回答している。大学クラス別でみると、辞退連絡が遅れている学生は、大企業からの内定が少ない「中堅私大クラス」や「その他私大」で多くなっている。例えば、「中堅私大クラス」文系では48%、理系では29%、「その他私大」では文系では50%、理系では44%といった具合である。これらの層の内定者には、まだまだ安心はできないということである。

[図表12:内定辞退連絡の状況]

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:『楽天みん就』
調査対象:2018年卒業予定の就活生(学部生、院生)
調査方法:webアンケート
調査期間:2017年6月19日〜6月26日
有効回答:2,513名(文系 1,566名、理系 947名)