顧問は、企業や団体から依頼を受け、専門的な知識と経験でサポートする役職で、アドバイザーやブレーンと呼ばれることもある。2019年4月より「高度プロフェッショナル制度」がスタートするのを受け、高い専門知識を備えた顧問の採用に変化は起こるのだろうか。パーソルキャリアが運営する経営顧問の紹介サービス「i-common(アイコモン)」が、3月13日に発表した、「自社の顧問採用と顧問へのイメージに関する調査」の結果から現状どれくらいの企業が顧問採用を行なっており、またどれくらいの企業がそれに満足しているのかを紹介する。
なお、調査は2019年2月、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫に住む30~60代の経営者・役員400名を対象に、インターネットによるアンケート回答方式で行われたものだ。
自社の経営顧問に半数以上が「改善点がある」と回答。自社の顧問採用と顧問へのイメージに関する調査で判明

まず、全員に自社で顧問を採用したことがあるかを調べている。結果は下記の通りで、採用をしたことがある企業は31.5%であった。

■『あなたの会社では、顧問を採用したことがありますか?』(n=400)

自社の経営顧問に半数以上が「改善点がある」と回答。自社の顧問採用と顧問へのイメージに関する調査で判明
顧問の採用経験がある回答者に、自社の顧問の働きについて聞いた結果が、下の2つのグラフだ。

■『自社の顧問の働きに満足していますか?』(n=126)

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■『自社の顧問に対して、改善して欲しい点はありますか?』(n=126)

自社の経営顧問に半数以上が「改善点がある」と回答。自社の顧問採用と顧問へのイメージに関する調査で判明
自社顧問の働きについて4人に3人以上が「満足(75.4%)」しているものの、約6割が改善点を感じているという結果になった。

改善して欲しい点としては、「もう少し聞き上手になってこちらの要望を聞いて欲しい」、「これまでの経験をもっと若手に伝えて欲しい」など、“コミュニケーション上の問題”が多数挙がるとともに、「顧問に改善してほしい点などがあっても直接言いにくい」といった声もあった。これらのことから、顧問に改善要望を持ちつつも、それを適切に伝えられていない様子がうかがえる。

続けて、同じ対象者に採用する顧問の現状について複数の質問をしている。結果をまとめて紹介する。

■『顧問採用の雇用形態は?』(n=126)

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■『顧問採用で失敗したと感じたことはありますか?』(n=126)

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■『どのようにして顧問を採用しましたか?』(n=126)(※複数名採用したことがある場合は、最も多い形態)

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顧問の雇用形態は「正規」と「非正規」が約半々であった。『顧問採用で失敗したと感じたことはありますか?』との質問では、全体で4割以上が顧問の採用に失敗したと感じたことが「ある」と回答していた。これは、多いと言わざるを得ない結果といえるだろう。

顧問の採用方法を聞くと、「知人・関係者からの紹介」が48.4%で最多。次いで「自社退職者の再雇用(31.7%)」と続く。失敗できないはずの顧問採用が失敗してしまう一因は、閉鎖的な採用方法に偏っている点にあるのかも知れない。

結果から、顧問を社長や役員のネットワークから採用したり、親会社、関係会社からの出向を通じて受け入れたりするケースが多いと考えられる。当該企業や属する業界に関する高い知見を持っているとは思われるが、その企業を良い方向に導くようパフォーマンスを発揮できるかは別問題。顧問の採用においても、ミスマッチを防ぐべく、どんなことで手腕を発揮してもらうのか「スタンスを明確にする」ことや、「企業の社風や風土も含めて理解してもらう」といったことが必要だろう。

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