タレントマネジメント導入企業事例

グローバルに展開する企業を中心に、日本でもタレントマネジメントを導入する企業が増えている。

日産自動車株式会社は、2002年以降、日本人ビジネスリーダーの育成強化に着手する中で、「グローバルタレントマネジメント」をスタート。グローバルな組織・人事・文化をベースに、グル―プ全体の人財を最適に配置・活用し、パフォーマンスを最大化することを目指している。
同社では、人材活用のグローバル化が進んだ結果、日本人が就くキーポストが減少し、優秀な日本人後継者の不足という事態に直面した。その問題を解消するため、少数精鋭でも戦えるよう、タレントマネジメントを取り入れた育成プログラムを仕組み化。適性検査だけでなく、能力検査やシミュレーション、インタビューなどを駆使して各人のポテンシャルを見極めるとともに、強みと育成課題を分析して、リーダーシップを発揮できるような配置ができることを目指している。

日立グループも、真のグローバル化を進める施策のひとつとして、タレントマネジメントを導入している。
終身雇用や年功序列などの古典的勤労制度にかわってグローバル時代の人材管理に必要な制度のひとつが、「高業績をあげる組織と人のパフォーマンスをあげるためのタレントマネジメント・パフォーマンスマネジメント」であると考え、国内外の日立グループ全体で従業員のタレントを一元管理するシステムを構築。一定の成果に繋がっているとの見解を示している。

タレントマネジメントの活用は時代の要請

グローバル化やダイバーシティ化が進む時代、企業と従業員の関係は、従来の忠誠的なものから、相互選択的なものへと変化している。働く人が求めているのは、キャリア形成や能力の発揮であり、それを実現できる場を提供できない企業は、優秀な人材を確保できなくなる危険を常にはらんでいると言える。

強い組織をつくり、マーケットでの競争優位性を高めるためには、タレントマネジメントなどの仕組みを活かし、従業員一人ひとりの才能を引き出し、活かすマネジメントが必要である。そして、人員を適材適所に配置することで、この人口減少時代において、最適な人数で成果を最大限にする経営が実現できるではないだろうか。
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