労働生産年齢人口の減少、働き方の多様化など、企業と人事を取り巻く環境は急速に変わり続けている。また、近年は「人的資本経営」が注目されており、人事にはこれまで以上に経営やビジネスの現場との連携が求められている。こうした環境変化をどう捉えていけばよいのか。今回の講演では、法政大学名誉教授・諏訪康雄氏と、学習院大学名誉教授・今野浩一郎氏が登壇。Profuture代表の寺澤康介がファシリテーターとなり、ディスカッションを行った。
企業・人事を取り巻く“環境変化”にどう対応すべきか。「ジョブ型」・「AI」の時代のキャリア形成とは
今野 浩一郎 氏
登壇者:

学習院大学 名誉教授/学習院さくらアカデミー長 今野 浩一郎 氏

1973年東京工業大学大学院理工学研究科(経営工学専攻)修士課程修了。 神奈川大学、東京学芸大学を経て学習院大学経済学部経営学科教授。2017年から学習院大学 名誉教授、学習院さくらアカデミー長。主な著書に、『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社)、『高齢社員の人事管理』(中央経済社)、『同一労働同一賃金を活かす人事管理』(日本経済新聞出版)など多数。

諏訪 康雄 氏
登壇者:

法政大学 名誉教授/認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長 諏訪 康雄 氏

1970年に一橋大学法学部卒業後、ボローニャ大学(イタリア政府給費生)、 東京大学大学院博士課程(単位取得退学)、ニュー・サウス・ウェールズ大学客員研究員(豪州)、 ボローニャ大学客員教授、トレント大学客員教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、 厚生労働省・労働政策審議会会長等を経て、2013年から2017年まで中央労働委員会会長。 現在、法政大学名誉教授、認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長。主な著書に『雇用政策とキャリア権』(弘文堂・単著)、 『雇用と法』(放送大学教育振興会・単著)、『労使コミュニケーションと法』(日本労働研究機構・単著)、 『労使紛争の処理』(日本労使関係研究協会・単著)、『外資系企業の人事管理』(日本労働研究機構・共著)、 『キャリア・チェンジ!』(生産性出版・編著)など。

寺澤 康介
登壇者:

ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長 寺澤 康介

1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、2007年採用プロドットコム株式会社(2010年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

さまざまな「環境変化」に法律や制度はどう対応していくのか

ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長 寺澤 康介

企業・人事を取り巻く“環境変化”にどう対応すべきか。「ジョブ型」・「AI」の時代のキャリア形成とは
企業、雇用、人事を取り巻く環境変化を巡る、主なトピックスを取り上げてみたいと思います。まずは、「生産年齢の急速な減少」です。労働力の不足や国内需要の減少によって、様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念されています。そうした中、高齢者社員の活躍推進や女性活躍推進、外国人採用の強化に取り組む企業が多くなっています。一方で、コロナ禍を機に多様な働き方の広がりが進んでいます。また、コロナ禍での兼業・副業に関する企業の方針に関して言うと、「容認」と「禁止」の割合が半々という状態になっています。

次に、企業の「働き方改革」の推進ぶりを見ると、有給休暇の消化促進や多様な勤務時間の導入などに取り組む企業が多いと言えます。それに対して、「ジョブ型雇用」については、導入の必要性を認識している企業は5割強。企業規模別の導入状況も、1001名以上の企業で4割強と、企業規模が小さくなるほど導入する割合が減っています。

さらには、ChatGPTなどの大規模言語モデルが労働市場に大きな影響を与えていると指摘されています。他にも、人的資本経営への取り組みとしては、情報開示を含めさまざまな動きが出ています。しかも、大手企業だけでなく、中堅・中小企業も重視していることがわかります。

このような環境変化を、労働法などの法律、および人事管理や制度設計の観点からどう捉えられるのか、法律や制度はこの変化にどう対応しているのか、追いついているのか、また法律や制度はどのようになっていくのか。専門家である諏訪先生、今野先生にお話を伺いたいと思います。

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