ProFuture代表の寺澤です。
HR総研が、人事採用担当者を対象に2022年11月28日~12月9日に実施した「2023年&2024年新卒採用動向調査」によると、この時点で2023年卒採用を「継続している」企業の割合は39%と4割近くに上ることが分かりました[図表1]。1001名以上の大企業では26%ですが、301~1000名の中堅企業は40%、300名以下の中小企業では48%と半数近くにもなっています。
第142回 23卒学生の“企業に対する本音”は? 新卒就活生の「採用選考」・「採用面接」への声を紹介
[図表1]2023年新卒採用活動の継続状況
一般的に新卒採用は、「企業(選考して採用する側)=強者」「学生(選考を受けて採用される側)=弱者」と一括りに捉えられがちですが、決してそんなことはありません。学生も「企業を選ぶ」側であり、企業も学生から「選別される」側であることを学生や一般の人にも理解してもらいたいところです。今後、企業と学生、企業と従業員の関係は、これまで以上に互いに「選び、選ばれる」、対等な関係の側面が強くなることでしょう。企業はこれまで以上に、学生や従業員に対して、「個」を尊重した、「個」への対応を迫られそうです。

HR総研では、価値ある情報をこれからもしっかりとお届けしてまいります。本年も何とぞよろしくお願いいたします。

志望度向上には「個」への対応がカギ

さて、今回は前回に引き続き、HR総研が「楽天みん就」と共同で2022年6月に実施した「2023年卒学生就活動向調査」の結果を基に、就活生の自由記述による回答を紹介していきます。2023年卒学生の本音の声を確認いただき、ぜひ今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。

まずは、「企業の選考を受ける中で、志望度が上がったエピソード」を取り上げます。企業の欠点の開示や質問への丁寧な対応のほか、応募者を「マス」としてひとまとめに対応するのではなく、応募学生一人ひとりへの個別の対応が非常に重要であることが分かります。

・一番志望度が変化する機会は面接で、ただ一方的な質問をされるのではなく、こちらからも質問をすることができ、「すり合わせ」をしてくれた時(文系、中堅私立大)
・面接の中で興味関心を丁寧にヒアリングしてくださり、「うちの会社のここの部門にはとてもマッチしそうだね」というお話をしてくださったこと。本当にその会社で自分の能力を生かせると信じられるような面接を展開してくださったこと(文系、中堅私立大)
・面接官の方が面接中に話しやすくしてくださったり、採用担当の方が面接前後に親切に対応してくださったりと、人柄が非常に良いと感じられたこと。説明会で、残業や福利厚生などについて、正直に話すふりではなく本当に正直に話してくださったこと(文系、上位私立大)
・面接でエントリーシートに書いた作文の感想をわざわざ伝えてくださり、「すごく素敵な文章だったから会ってみたいと思っていた」と伝えてくださった時、就活生一人ひとりを見てくれていると感じ、志望度が上がった(文系、その他私立大)
・お世話をしてくださったリクルーターの方々がとても優しく、最終面接のときには仕事の途中にもかかわらずわざわざ会いに来て直接励ましてくださった(文系、旧帝大クラス)
・就活に対して、私と似た考えを持った先輩社員の方の話を聞き、自分のやりたいこととこの会社でできることが一致していると感じた時、志望度が高まった(理系、旧帝大クラス)
・面接官の印象は非常に志望度に影響した。コミュ力が期待値ナンバーワンとフィードバックいただいた時に認められた感じがして、とてもうれしく志望度は上がった(文系、上位私立大)
・Web座談会に参加したら、人事の方から「ぜひ会社見学に来てほしい」と言われ、会社見学をさせていただいたところ、社員の皆さまが笑顔で働いており、職場環境について知れる良い機会になったとともに、そのような場を与えてくださったことに感謝し、志望度が高まった(文系、上位国公立大)
・エントリーシートに書いていた大学の制度についてわざわざ調べてくれていたこと。採用に真摯に取り組んでいると感じた(理系、その他私立大)
・YouTubeに、その企業が行おうとしていることがアニメーション形式で上げられており魅力的に感じたため(理系、その他私立大)
・本来なら4回面接があるところ、2回目の面接の際に「3回目は免除します」と言っていただいたこと(文系、旧帝大クラス)
・会社の欠点を誠実に教えてくれて、かつそれをこれからどう改善しようとしているのかも教えてくれた企業があったが、そこの志望度は高くなった(文系、早慶大クラス)
・インターンシップ等で、会社の良さや実績をゴリ押しするのではなく、会社内や社員の事例を通して社会勉強ができたり、こういったことを意識してほしい等の汎用性のある情報を与えてくれたりする会社は、経験が豊富で余裕のある経営ができていると思うことができ、志望度が増した(理系、旧帝大クラス)
・対面での面接の後、すぐに電話をいただき、面接のフィードバックを細かく行っていただいたこと。毎回変わる面接官の間でもしっかりと情報共有がされていて、毎回矛盾なく面接を進めることができたこと(理系、その他私立大)
・人事の方がとても丁寧。一人ひとりをきちんと見ていることが伝わってきて、フィードバックをくれ、不安に思っていることがないかなどを選考段階で聞いてくれた。言葉や行動の端々に就活生、人、社員を大切にしていることが感じられ、この人たちと働きたいと思うことができた(理系、上位国公立大)
・自身の興味や選考を踏まえてその企業でどのような仕事に取り組めるか、企業側から教えていただいたこと(理系、旧帝大クラス)
・面接官の方が私自身に興味を持っている(少なくともそう見せている)感じが伝わった企業は、非常に選考に対するモチベーションが上がった(理系、上位私立大)
・OB訪問やリクルーター面談、人事面接、人事課長面接、最終面接、人事部の方との面談など、どの部分をとっても威圧的な雰囲気を感じたことがなく、どの選考ステップでも志望度が上がったため、運命的だと感じた(文系、旧帝大クラス)
・最終面接の前に、一人ひとりに人事の方が会いに来てくださり、温かい言葉をかけてくださったこと。ドアの前まで案内してくださり激励をしてくださったこと。大人数いる中でも一人ひとり丁寧に接してくださりうれしかった(理系、上位国公立大)

志望度は面接官や人事担当者の対応で簡単に下がるもの

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