新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、「在宅勤務によるテレワーク」が急激に普及しましたが、在宅勤務においては、労務管理や環境整備などの課題もあります。とはいえ、「元の出社勤務に戻ることは難しい」と考える方は多いのではないでしょうか。そんな中、「サテライトオフィス勤務によるテレワーク」が注目されてきており、「地方創生テレワーク」を目的とした地方サテライトオフィスの設置も増えてきました。今回は、この「地方創生テレワーク」についてご紹介したいと思います。
「地方創生テレワーク」とは? 地方サテライトオフィスの設置で多様な働き方を促進し、エンゲージメント向上と優秀人材の確保へ

「地方創生テレワーク」で、時間と場所を有効活用

内閣府地方創生推進室および内閣官房による「地方創生テレワーク」のサイトでは、「地方創生テレワーク」について「地方におけるサテライトオフィスでの勤務等の地方創生に資するテレワークであり、地方の活性化に貢献するものです。ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方『テレワーク』が広がることで、今までと同じ仕事を今までと違う場所でできるようになります」と説明しています。現在、内閣府・内閣官房が推進する「地方創生テレワーク推進運動」の趣旨に賛同し、推進運動に参加するための「Action宣言」を行っている企業・団体は208件(2021年12月20日時点)に上っており、今後も増加していくものと考えられます。下図1が、「地方創生テレワーク推進運動 Action宣言」のロゴです。

図1

地方創生テレワーク推進運動 Action宣言ロゴ

出典:内閣府・内閣官房「地方創生テレワーク推進運動 Action宣言」

テレワークを継続するために、企業がすべきこと

従来の働き方としては、通勤時間をかけて、郊外からでも都心部の本社オフィスに出社するのが基本でした。しかしながら、コロナ禍により、多くの企業が半強制的に「在宅勤務によるテレワーク」にシフトしました。

総務省の「令和2年 通信利用動向調査報告書(企業編)」によりますと、「テレワーク普及のために必要な要素」のうち、「企業内における取組」として、「労務管理の適正化」や「執務環境の整備」があげられています(図2)。ただし、在宅勤務での労務管理の適正化や執務環境の整備には限界があり、在宅勤務が長期化するにつれて、さまざまな課題も出てきました。

図2

テレワーク普及のために必要な要素の推移

出典:総務省「令和2年 通信利用動向調査報告書(企業編)」

そこで、企業は都市にある本社オフィスの規模を縮小し、在宅勤務の他に、郊外のサテライトオフィス等を準備し、「サテライトオフィス勤務によるテレワーク」を可能にしてきました。これからは、郊外だけでなく、地方にもサテライトオフィス等を準備し、他地域のオフィスとネットワーク化するケースも増えてくるのではないでしょうか。

加えて、必要な時期に必要なだけ契約する家具備え付けの「ワークスペース施設」が、都市や郊外だけでなく地方にも増えてきました。企業が自社の専有スペースとして契約すれば、全拠点の共有ラウンジとして使用したり、会議室やイベントスペース、オンライン用ミーティングルームとして使用したりするなど、従業員による多種多様な活用が可能となります。企業は必要に応じて契約を変更したり、解約したりすることもできます。

本社オフィスの規模を縮小し、オフィスを分散させることで、従業員は自宅近くのサテライトオフィスでの勤務も、地方の実家近くのサテライトオフィスでの勤務も、気分転換に余暇を楽しみつつ仕事をするワーケーションも可能となり、個人が自身の働く場所を自由に選択できるようになります。また、在宅勤務の場合は、企業が一部の費用負担をするとはいえ、オフィスのようなセキュリティ環境や高性能の複合機等のオフィス用品までそろえることは不可能ですが、サテライトオフィスであればその設備が整っておりますので安心です。契約内容にもよりますが、必要なときに必要な分だけ利用し、費用を支払うことも可能です。

地方にサテライトオフィスを設置することで、各拠点での事業リスク分散や、全国からの幅広い人材の確保なども可能となり、企業にとってのメリットは多数あります。「地方創生テレワーク」が推進され、新たな人の流れが増えれば、地方の活性化にもつながります。地方で暮らしても、テレワークで都会と同じ仕事ができるようになるのです。

テレワークの普及により、ワーク・ライフ・バランスの向上、多様なライフスタイルの実現が可能になり、「働く場所」と「住む場所」を自由に選べるようになってきています。その選択肢の一つとして、「地方創生テレワーク」を検討してみてはいかがでしょうか。

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