タレントマネジメントシステムを取り入れ、人材に関わるデータを利活用し、よりよい人材育成・配置に取り組む企業が増えている。一方、テクノロジーをどのように現場の人事施策に取り入れていくべきか、悩んでいる企業も多いのではないだろうか。ブラザー工業株式会社では、経営人材候補輩出のスピードアップのために、『人材開発グランドデザイン』を策定。マーケティング発想と外部タレントマネジメントシステムの効果的な活用により、現場と密着した部門間連携による人材開発を進めている。そのHRBPとしての活動や、次世代リーダーの抜擢促進に繋げる取り組みが高く評価され、第6回HRテクノロジー大賞『人事マネジメント部門優秀賞』を受賞した。同社は、どのような座組で、次世代リーダーの育成に取り組み、テクノロジーをどのように活用しているのだろうか。経営企画部 プロジェクト・マネジャー 小椋 浩一氏と、人事部長 岡田 英嗣氏に話を聞いた。

第6回HRテクノロジー大賞『人事マネジメント部門優秀賞』

ブラザー工業株式会社

全社『人材開発グランドデザイン』に基づく、次世代リーダー育成のスピードアップ、およびそのためのHRテック活用と経験設計の推進

マーケティング発想と外部システムの効果的な活用により、次世代リーダー候補者とキーポジションデータの最大化、ハイパフォーマー要件分析などからベストマッチングを図る仕組みを構築し、過去だけでなく意思決定のための将来予測や、要強化スキルの優先順位付けを可能にするなど、現場と密着した部門間連携による人材開発を進めることで、HRBPとしての活動の標準化と尺度開発を次世代リーダーの抜擢促進に繋げる取り組みが、高く評価されました。

プロフィール

  • 小椋 浩一 氏

    小椋 浩一 氏

    ブラザー工業株式会社
    経営企画部 プロジェクト・マネジャー

    1965年生まれ(55歳)。1988年4月ブラザー工業株式会社入社(新卒)後、経営企画、人事、マレーシア工場財務(海外出向)、人事、カンパニー経営企画、CSR推進、新規事業推進、マーケティング企画センター(全社横串の事務系人財育成担当)を経て現在に至る。
  • 岡田 英嗣 氏

    岡田 英嗣 氏

    ブラザー工業株式会社
    人事部長

    1970年生まれ(51歳)。1994年4月ブラザー工業株式会社入社(新卒)後、経理、カンパニー経営企画、香港機能子会社取締役(海外出向)、中国工場財務(海外出向)、人事、ベトナム工場取締役(海外出向)を経て、2021年4月から現職。

次世代リーダー層の成長スピードに対する危機感から生まれた施策

――まずは、「人材開発グランドデザイン」とはどのような施策なのか、その背景と概要について教えていただけますでしょうか。

小椋氏:背景には、未来の経営陣候補である「次世代リーダー層の成長が遅い」という経営トップの強烈な問題意識があります。以前は若いころから修羅場経験を積んで成長できる環境が自慢の会社でしたが、組織が成熟してきた現在はそれが徐々になくなってきました。そこで、次世代幹部育成のスピードアップを目的として、「人材開発グランドデザイン」を策定しました。

概要としては、経営人材候補の輩出スピードを上げるため、「役員候補を45歳以下で常時○名以上プールする」というゴールを掲げ、そこからバックキャスティングの形で採用戦略までさかのぼり、ワンストーリーで部門間連携を図るものです。まずは経営企画担当役員のリーダーシップの下、事務系社員からスタートしましたが、採用・配属・教育・パフォーマンス別経験設計・次世代幹部育成など、プロセスごとに具体的な施策を現場と議論しながら進めています。

――経営企画部と人事部が、うまく連携して施策を進めていらっしゃいます。ここは様々な企業が難しさを感じていますが、どのような役割分担で取り組みを進められましたか。

小椋氏:当社の場合、人事部が全社人事制度および全社人材開発体系を、経営企画部はその内の全社の事務系を横串に、現場に密着した人材開発の具体的推進を担っています。現時点、人材開発グランドデザインはまだ事務系社員だけを対象としており、開発系、製造系など他職種の人材については、開発センターおよび品質製造センターがそれぞれ、全社横串に推進しています。

この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
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●ロミンガーの法則をヒントに、リーダーの学びの7割を占める「経験設計」に取り組む
●テクノロジーを活用し、現場との議論やタレントの見える化をスムーズに
●「ローテーションの納得感」や「部門間の異動の活発化」など、見えてきた取り組みの成果
●全部門の連携に向け、今後も地道に参加部門を拡大させていく


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